事例体験から学びたい!

職場の声掛けを徹底し、リーダー発の組織風土改革を!

「ご安全に!」という声掛けと、素敵な笑顔の事例

先日、所属している経営者団体からお誘いをいただき、企業視察に参加してきた。

中でも最初に伺った企業が特に興味深く、印象に残っている。

そこでのひとコマをご紹介したい。

 

我々が視察の順路に従い現場を歩いていると、すぐに感じることがあった。

明らかに他社の多くの現場と何かが違うのである。

それは、すれ違う社員の方々の挨拶だ。

必ず「ご安全に!」という声掛けと素敵な笑顔、すれ違って行かれるのである。

これは不慣れな我々訪問者に対して、というだけではなく、会社全体として社員相互でも同じ声掛けが行われているようだ。

 

ここでは、摂氏1200度を超える火を熾し、全ての産業の基盤を支える超大型の製品を生み出している。60万平方メートルに及ぶ広大な敷地面積の中を大型トラックが数多く行き来し、設備機械も超特大級である。

 

そこには、一度事故が起きると大惨事になりかねない側面をもった管理体制と緊張感が常に存在する。

 

だからこそ、安全に対する意識と取り組みが全く違う。それは、職場の至る所に掲げられている安全は全てに優先するという精神からも強く感じ取ることができたのだった。

所が変われば、声掛けも変わるという事例

この体験を通じてある挨拶の光景が浮かび上がってきた。

それは、過去に私が海外駐在で暮らした中華民国・台湾における日常の中国語での挨拶だ。

吃飯了?(ツゥーファンラー:ご飯食べた?)

という相手への声掛けである。

 

日本であれば挨拶の際「いいお天気ですね」「夕方から雨が降るみたいですね」等々、天候に関することを話題にすることが多い。

 

四季があり、気候風土が豊かな日本では、天候に関する意識が高く、それを基にした相互の声掛けが日常よく交わされる。

 

そこで中国の話に戻ると、彼らが“食”に関して意識が高いことが自然と解るのではないだろうか。

私自身はこの“食”への貪欲さに関しては、瞼の奥にありありと蘇ってくるような台湾の友人との触れ合いがある。

 

─観賞用の魚が入っている水槽を見て「この魚、美味しそうだね」と笑いながら言っていた表情。

 

また別の場面では「四本の足があるものは、机と椅子以外は何でも食べるよ(笑)!」等と話していたことを懐かしくも象徴的な言葉として想い出すのである。

声掛けが組織風土を如実に表す

今回の企業視察や台湾での挨拶を通じて、自分の当たり前が、他者の当たり前と違う、自職場の当然が、他職場の当然と違う、ということを改めて感じた。

 

そして大切なことは、声掛けが組織風土を如実に表すという実感がより深まったことである。

 

その組織に所属する人から見れば何気ない当たり前の声掛け一つを取っても、企業文化・職場風土・家庭の絆・友人関係がくっきりと浮かびあがっているという感覚だ。

 

たかが声掛け、されど声掛け

リーダーとしてのあなたの姿勢(立ち位置や意識)が、組織や現場に大写しに投影されているのは間違いないだろう。

 

「笛吹けど踊らず」と嘆く前に、我われ組織のリーダーが、声掛けから変革を生み出す取り組みが求められていると強く想う。

言葉を変えれば、組織風土を変えよう!と連呼するのではなく、声掛けや挨拶という習慣性の高い行動一つを先ず変えていくということだ。

 

まずは我々リーダーの声掛けと挨拶

ここで、挨拶を通じて具体的な現場や職場の変革を意識しているリーダーの事例を紹介してみたい。

1)私⇒私たち(我われ)  リーダー(私)とメンバー(あなた)という対立関係でなく、同じ立場とする「私たち」という声掛けを使い、参画意識・当事者意識を高めている。

 

2)お疲れ様⇒お元気様  ねぎらう言葉を掛け合うことも大切だが、仕事とは「志事」であるので自らが志していることに取り組めば取り組むほど、愉しくなる、元気になるとの想いから徹底している。

 

3)頑張って⇒張り切って  頑張るの“頑”は頑強・頑丈・頑固と堅い松の木のイメージ。松の強さでなく、柳の強さやしなやかさを求め、張りを切るという言葉で気持ちを入れ替えることの大切さを風土に定着させることを取り組んでいる。

 

 

──先ずは我われリーダーの声掛けから、である。何よりこの四月から大きな希望を胸に抱いた新入社員・新配属の社員が自職場に来るのだから。

あなたご自身は何を感じ、何に取り組んでおられますか?

 

声掛けに取り組む、リーダーのあなたへの言葉

  • 「『ご安全に!』という言葉を、笑顔で投げ掛け」
  • 「安全は全てに優先する」
  • 「自分の当たり前が、他者の当たり前と違う、自職場の当然が、他職場の当然と違う」
  • 「挨拶が組織風土を如実に表す」
  • 「『笛吹けど踊らず』と嘆く前に、我われ組織のリーダーが、声掛けから変革を生み出す」
  • 「私たち(我われ)・お元気様・張り切って」
水野秀則
水野秀則

  1. あなたが普段おこなっておられる声掛けから、何が見えてきますか?
  2. あなたは組織風土を変革するために、さらにどの様な声掛けをされますか?

(2020年11月17日リライト)

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