「着眼大局、着手小局」のことわざの大切さを実感する、経営者としてのお金観の確認

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「着眼大局、着手小局」のことわざの大切さを実感する、経営者としてのお金観の確認

1.経営者のお金観の確認につながる、2つの数字【企業倒産と自己破産】

ある情報を調べている時、予想をはるかに越える意外なことを発見した。それは、インターネットで企業の倒産件数の動向を追っていた時だ。

ふと脳裏をよぎったのは、「法人の経済的な破綻は倒産だけど、個人の経済的な破綻を意味する『自己破産』はどの位の数で推移しているのだろうか?」ということであった。

日頃、新聞・テレビ等マスコミを通じて、その件数が多いという認識はあったが、「具体的にズバリこの数値だ」というものが私には浮かんでこなかったのである。

そこで、当時の最高裁判所のデータをひろってみた。そして驚いた。実に21万4千件という自己破産申し立ての数字が飛び出してきた。

私が驚いたのは、東京ドーム収容人数の4倍に当たる人がこの一年間で自己破産をしている事実だけではない。ここ数年の増加率のすごさにある。

それは、年を追うごとに増え続け、実に5倍にもなっていたのだ。その上、まったく歯止めがかかっていない。それも前年比3%や5%という生易しい数値ではない

 33%・45%という脅威的な伸びなのである。(また、破産まで到っていないが、多重債務で生活上ストレスを感じている人は100万人をくだらないという情報も当時あった)

私は、自己破産の急増を実感するにつけ、企業の倒産件数が一瞬かすんでしまうかのような錯覚に陥ったのだ。企業倒産件数だけでなく、自己破産件数から、経営者のお金とは何なのかといったお金の価値観、お金観について、深め確認する切っ掛けにつながったのは言うまでもない。

企業倒産件数が、当時戦後2番目の高水準を記録し1万9千件になっていたとはいえ、前年比0.1%増、8年前と比べても30%増である(負債総額では約1.5倍増、出典:帝国データバンク)。これと比べて、当時の年平均増加率が23%にも及ぶ自己破産の驚異的な数字から迫ってくるものとに大きな違いが生まれたからであろうか。

2.経営者としてお金や人生を大局的にみることの大切さ

私は、自己破産が増加している背景を当時色々と探って見ていた。なぜこのようなすさまじい数字になるのだろうかと。もちろんバブル崩壊、未曾有の大不況を背景にした日本経済も大きな要素に違いない。その他、現金がなくともモノがいとも簡単に買えるクレジット社会。まるで“お金をもっと借りないと・・・”と言わんばかりのCMが、消費者金融の会社から日常的に流れる社会等々、構造的な変化が大きいという社会的な要素も考えられる。

しかし、幼い頃からお金のことを真剣に・体系的に・継続的に・教えていない社会にも問題があるように映ったのである。

そこから生まれるのは、お金に対する甘さや無理解。そしてムリやアンバランス――つまり、お金に対する認識不足が生む恐ろしさである。これが人生設計を大きく狂わせる要因になっているのではないか。目先だけよければという姿勢から、大局的に人生を見る姿勢へとモードを入れ替えないと大変なことになる。

これまでの自分自身のお金についての考え方を振り返ってみても、お金の事を学ぶ機会は極めて少なかったように思う。原因自分論でみれば、お金の本質を学ぼうとする意識があまりにも低かったようにも感じる。経営やビジネス上のお金の数字だけでなく、大局観をもって、人生の視点からお金を見ることの大切さを感じたのである。

3.経営者への名言「経営は哲学とソロバン」で深める大局観やお金観

今回の2つの数字、企業倒産件数と自己破産件数の確認。そこから人生とお金というテーマについてこれまでの意識を振り返るよい機会を得て、様々な気付きがあった。一番感じたのは、ライフプランの中で成し遂げたいことや大切にしていること(夢・目標や想い)と、お金の両面からみたバランスの取れた人生設計の重要性である。

経営は哲学とソロバン』が大切であると言われる。人生でも自分の想いだけが先行してお金に対する意識が低ければ、決してバランスの取れた歩みを続けることはできない。『想いとお金のバランス』が、確かな前進の絶対条件――「聖書だけでも生活ができないし、またパンだけでも生活できない」というヨーロッパの諺が蘇ってきた。

 もちろん人生はお金だけではない。が、「1円の金を無駄にする者は、1円の金に泣く」と言われるように、お金は人生では大事な要素である。お金を稼ぐことより大切に扱うという意識、収入と支出のバランスを考える堅実な取り組み、お金についてのケジメをしっかりつける姿勢――ここから大局的に見た人生での本当のゆとりが生まれてくることは間違いのないところだ。(マネーストレスからマネーフリー〔とらわれが無くなる〕の生活へ) 。

4.『着眼大局、着手小局』のことわざを実感する、人生の視点でお金を確認する取り組み

人生とお金というものの本質を考える中で、今回多くの人との会話を通しても新たな気付きが得られた。それは、お金と一言にいっても、人によって見る角度がまったく違うということだ。

お金は稼ぐものと映っている(節約するや、運用して殖やすという視点が不足している)場合もあれば、その逆もある。また、稼いだり殖やしたりするという一面だけを見ていて、いかに有効に使うかという視点が欠如している人もいる。

かけがえのない人生の中でお金というものを見る時に、その視点の偏りに経営者として気付き、大局的な人生設計の中で、固定観念を振り払い、バランスよくセンスをアップしていくことが大切だと改めて強く想ったことである。人生はやはり『着眼大局、着手小局』が基本なのだと。

 お金を稼ぐ、節約する、貯める、殖やす、使う、借りる、返す――お金に対して真正面から向き合い確認することで、自分が描く未来を確実に手に入れるチャンスが高まるのは間違いないところであろう。

あなたご自身は何を感じられ、何を進めておられますか?

5.お金について大局的に見る、経営者のあなたへの言葉

  • 「自己破産21万4千件、年平均増加率は23%」
  • 「お金の扱いを教えていない社会、お金を学ぼうとする意識が相対的に低い社会」
  • 「目先だけよければという姿勢から、大局的に人生を考える姿勢へとモードを入れ替える」
  • 「自分の想いとお金の両面からみたバランスのとれた人生設計」
  • 「聖書だけでも生活ができないし、またパンだけでも生活できない」
  • 「1円の金を無駄にする者は、1円の金に泣く」
  • 「マネーストレスからマネーフリーへ」
  • 「大局的な人生設計の中で、お金に対する視点の偏りに気付き、バランスよくセンスのアップを」
  • 「人生は『着眼大局、着手小局』が基本」

6.人生の視点でお金を大切にする、経営者のあなたへの問い掛け

  1. あなたにとってのお金に対する視点や固定概念はどのようなものですか?
  2. あなたは大局的な人生設計の中で、お金のセンスをアップするために何に取り組んでおられますか?

(2019年3月24日リライト)

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