かたい、働かない、回らない、頭を柔らかくするコツ

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1.かたい頭にはーー「新」が注目されがちだが、「転」を意識

四月はとりわけ『』という文字が気になる季節である。新人・新任・新入学・新生活等々。先日もある経営者の方と『今年の新入社員の特徴は?! どのように育成を図ればよいか?』というテーマで話がはずんだ。

話が進むにつれ、その方は「人材育成の中では、新人はやりやすい方でしょうか。それにひきかえ転属や転職組の育成は難しいですね」と、視点を少し変えて話された。「新人は無色透明、何事も素直に聞き入れ貪欲に吸収していく。けれでも一度色のついた人間は、我にこだわることが多いので育成がなかなか難しい」と。私もまったく同感である。

この方との会話から、私は『』という文字を改めて意識するようになる。この季節は『新』が注目されているが、時代の大きなうねりの中ではむしろ『転』に注目すべきではと感じたのである。昨今、転勤・転属・転職・転業等、好むと好まざるとに関わらず、『転』という環境変化に直面する人は非常に多い。これまでの環境に馴染んできた人が新しい生活や仕事にいちはやく適応し、成果をあげるには何が不可欠だろうか。

2.働かない頭にはーー和魂洋才(わこんようさい:日本の魂に西洋の才覚)に学ぶ

劇的な環境変化に素晴らしい対応をした例といえば、まず明治時代の日本人のことが頭に浮かぶ。ちょんまげを結い、刀をさしていた時代から一転。文明開化・富国強兵の旗印のもと、ひとり一人が意識転換・行動転換をとてつもないスピードで成し遂げたのであった。

それは、「当時の日本人に脈々と流れていたある想いがあったから実現ができた」と、とらえることができる。『和魂洋才(わこんようさい:日本の魂に西洋の才覚)』という言葉がそれである。西洋の技術や文明を貪欲に全て吸収する。しかしそれと同時に、あくまでも日本人としての魂は捨てなかったのである。

反面、第2次世界大戦以降、日本人は日本の文化や日本人らしさというものを軽視してきた面がなかったであろうか。現代の日本人は『洋魂洋才』極言すれば『無魂洋才』に傾きつつあるのかもしれない。明治の日本人はひょっとすれば自己の生きざまを主張しながらも技術やノウハウは西欧のものを大いに取り入れ、バランスよく時代を生き抜いたのではなかろうか。

3.回らない頭にはー━周りの意見やアドバイスに耳を傾け、どん欲に吸収すること

転職・転業・転勤等で成功するには?というテーマを深く掘り下げる上で、「和魂洋才」という言葉を重ね合わせることで色々なものが見えてくる。平成という時代に生きるわれわれは、明治時代とは比べ様もない位、変化の落差が大きく、かつ超高速の環境にいる。それなのに、明治時代の先人の貴重な成功体験に十二分学べていない様に感じるのは一人私だけだろうか。

そこで、環境変化に直面する機会が多いわれわれにとって、明治の人々が大事にしていた先の言葉につながる表現が、ひらめいたのである。それは、『自魂他才(じこんたさい)』(筆者の造語)というものだ。この意味は自らの意志を大切にするとともに、周りの人の意見やアドバイスに愚直に耳を傾け、技術やノウハウを貪欲に吸収するということである。

4.自分のこころに白いペンキを塗ったうえで、「意志は固く、頭は柔らかく」

今回、明治という時代と現代の日本人との比較に思いをはせたことで、変化の激しい時代において何を大事にすればよいかという面で多くの気付きが得られた。

人は経験・体験した以上のことを発想したり行動したりするのは、難しくやりづらいという側面をもっている。以前の業界や職場・人間関係で成果をあげたものがそのまま新しい環境の中でも使えるとは限らないからである。むしろそれが邪魔になって伸び悩む人も多い。例えとして、緑のペンキの上に、そのまま直接赤いペンキを塗ってもきれいな赤い色にはならないのとよく似ている。一度白いペンキで、もとの緑の色を消す。そうすると、赤いペンキを鮮やかに輝かせることができる。これと同じように自分のこころに白いペンキをしっかりと塗る。素直になった上で、周りの人の意見やアドバイスに耳を傾けることが大切だと思うのである。

それと共に、不易流行(世の中には積極的に変えていくべきものと、変えてはならないものとがある)の不易の部分、つまり時代が変わっても変わることのない自らの想いや成し遂げたいことにはますます磨きをかけていくことが大変重要なことになる。

これまで慣れ親しんだ環境から、全く新しい環境に身をおく上で『意志は固く、頭は柔らかく』(これがともすれば逆になり、「意志は弱く、頭は固く」になりがちである)を実践することが新しい生活や仕事で成功するための絶対条件ではないだろうか。

あなたご自身は何を感じられ、どのように進めておられますか?

5.リーダーのあなたへの言葉

  • 「和魂洋才(わこんようさい:日本の魂に西洋の才覚)」
  • 「自己の生きざまを主張しながらも技術やノウハウは大いに取り入れる」
  • 「自魂他才(じこんたさい)」
  • 「自からの意志を大切にするとともに、周りの人の意見やアドバイスに愚直に耳を傾ける」
  • 「意志は固く、頭は柔らかく」

6.リーダーのあなたへの問い掛け

  1. あなたが転勤・転属・転職・転業・転居をむかえられた時、どういったことを重視されますか?
  2. あなたはどのようにして、頭やこころの柔軟性を高めておられますか?

(2019年3月17日リライト)

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