1. 課長研修のテーマを何にするのか、何であったのか?(事例)
先日、ある会社の三日間研修が終わった。課長クラスを対象にした研修であり、いくつかのテーマ(ご要望から決め込んだポイント)について、取り組ませていただいた。
テーマの一つは、人を通じて成果を生み出せる課長(リーダー)でいること。ともすれば課長自身が実務の細かいところまでやってしまいがちで、上手く部下や周りの力を引き出しきれていない現場が多い。個々の力を伸ばし、課長一人の10歩でなく、メンバー10人の一歩ずつ(それが、2歩3歩に進化すれば、20歩30歩に飛躍できる)を実現できる上司への進化等々。
別のテーマは、変化を柔軟に感じ取り自らに革新を生み出し、会社全体に影響を与えられる課長になること。課内の誰よりも時代の変化や顧客・マーケットの動きに対して、より機敏で的確な動きが取れる存在であることが大切。(頭では分かっていて、部下や周りには言っているが、変化に対応し切れていない部分への歯止め。)特に人的資源を生かしきることを考えた場合、課内で見られる具体的な課題の発見と解決。従来の個人が蓄積したノウハウ(場合によっては陳腐化してることもあり)の押し付け型リーダーから、引き付け型リーダーへの転換(両方の型が使える変幻自在型へ)等々。押し付け型リーダーから、引き付け型リーダーへの転換(両方の型が使える変幻自在型へ)等々。
2. 研修レポートから深める、いま課長に求められる役割
研修の翌日、この研修を支えてもらったある社外パートナーの女性スタッフの方から、三日間の研修レポートとお礼のメールが届いた。研修に対する印象や感じられた点が詳細綴られたその文章の中に、興味深い言葉を見出したのである。
「全三日間を想い起こすと、1日目は意識革新(知得)、2日目は行動革新(体得)、約2ヶ月の現場での実践期間を経て3日目となるフォロー研修は、体質革新(会得)だったように思います。やはり課長ともなると、これまで自己流で会得してきた部分がどうしても多く、受講生の皆様もある面知らぬ間に自分のスタイルに凝り固まりがちな頭を切り替えることができず苦労されていたと感じました。
前回2日間と今回の1日あわせて3 日間で学んだことを、研修最後のコメントであった様に、今後些細なことでも現場で活かしきっていくことで、“しっている”を“している”に変えていって欲しいと願っています。」
3. そもそも、研修を実施する意味とは何か?(人事担当が陥りやすいワナ)
私が3日間を通じて受講生に伝えたいと想ってきた本質をズバリ短い文章で表現されていた。単なる研修会のための研修ではなく、実務と連動した研修。──現場での実践期間を織り込み、受講生一人ひとりに行動ベースで変化が生まれ、繰り返しの取り組みの中から担当組織に変化と成果が生まれる研修を実現する、という今の私の想いそのものを受け止めてもらった感があり、非常に嬉しく感じたのである。
また、この女性スタッフは私へのメールをとても軽やかに送ってこられているように想った。“業務だから”、“やらないといけないから”等という雰囲気はまったくない。日々、目標や課題を持ち、前向きに仕事に取り組んでおられるからこそ、の空気感が文章にも存在する。軽やかなこころ持ちがご自身の言葉で綴られたメールにもにじみ出ているのだ。
4.組織のリーダーとしての課長の心得、それは「知っているではなく、していること」
高ストレス社会の今、人は様々なことを短時間で行うことが求められる。ましてビジネスであれば成果を上げることももちろんだ。そういった中、「~しないとダメ」「~できなきゃいけない」等々、何かにいつも追われている感が強い方が世間では少なくない。
ノルマvs目標、問題vs課題、頑張るvs張り切る、やらされ感vsやっている感、安堵感vs達成感。どちらが現時点のあなたにとって身近であり、日頃接している言葉だろうか。
「~できればいいね」「~が実現すると素敵だ」といった姿勢を前提にもち、こころ軽やかに取り組める工夫をしてみたらどうだろう。リーダー自身が軽やかなこころ持ちで取り組んでいると、メンバーにも連動していくに違いない。
今回の研修や頂いたメールを通じて、「知っている」だけではリーダーとして役割不充分と改めて感じ入った。組織全体に渦を巻き起こす行動を開始しようする課長の姿を研修現場で再認識する中で、「している」リーダーでいるには、こころの軽やかさが重要だと実感したのだ。脅迫観念や義務感からではなく、リーダーの想いや願望から自然と湧き出てくるパワーの源=軽やかさ(自然さ・愉しさ・ワクワク感)というものを振り返る素晴らしい機会となった。
あなたご自身は何を感じ、何に取り組んでおられますか?
5.組織のリーダーとして実践につなげたい言葉
- 「人を通じて成果を生み出せるリーダー」
- 「変化を柔軟に感じ取り自らに革新を生み出し、会社(社会)全体に影響を与えられるリーダー」
- 「押し付け型リーダーから、引き付け型リーダーへの転換(両方の型が使える変幻自在型へ)」
- 「意識革新(知得)・行動革新(体得)・体質革新(会得)」
「“しっている”を、“している”に」 - 「実務と連動した研修、担当組織に変化と成果が生まれる研修」
6.組織のリーダーが自分を見つめる問いかけ
- あなたは最近こころ軽(かろ)やかですか?重く感じられますか?
- ノルマvs目標、問題vs課題、頑張るvs張り切る、やらされ感vsやっている感、安堵感vs達成感。どちらが現時点のあなたにとって身近であり、日頃接している言葉でしょうか?