1)コロナ禍で、リーダーに求められていることでなく、逆にリーダーが求めているものとは?
コロナ禍において、リーダーとしていかがお過ごしでしょうか?
社会の状況が刻々と変わり、われわれリーダーは、常にアップデイトがいま求められている。
コロナに感染した時に、どう対応するのか?
第二波で緊急事態宣言が発令されたら?
リモートワークや働き方改革の推進をどう進めるか?
巣篭りマーケットへの対応、スタッフのモチベーション維持、給付金助成金対応、家賃等固定費削減等々、
進めるテーマ・想定しておくテーマはつきない。
その中で、
「リーダーとしての自分はこれでいいのだろうか」
「自分はずれたことをやっていないだろうか」
と、不安や焦り・取り残され感が心に広がってくることも少なくないのかもしれない。
「リーダーとして、当面の方針や対応策はだしたものの、、、」
「他社や他のリーダーは何をしているだろうか?」
と、リーダーとして行動をしてるが、今一歩自信や確信をもち切れているとは誰しも言えない時代の到来だ。
それを示すように、再開しつつあるオンライン講座や研修で、ご質問や不安の声を聴くことが増えている。
また、わざわざSNSやお電話・メール等でリーダーの方々から、ご連絡をいただくことも多い。
「営業訪問できない中、リモート活用はじめ他社はどうしていますか?」
「いろいろ不安になって、ちょっと話したくなって、、、」等々。
不安の煽りにもつながる一部のメディア報道。
実際に現場の問題が次々と起こり、メンバーからの不安の声が噴出。
リーダーが必死にそれらの一つひとつを受け止めている姿が浮かぶ。
火の粉をあび、メンタルが低下し、傷つきある面さまよっているかのようなリーダーの姿。
「何とかものごとを前に進めよう」としてもがいている姿、等々。
この様な中、リーダーに求められているものは多くあるが、逆に、リーダーが求めているものは何だろうか?
2)「リーダーは孤独」という側面から、リーダーべき論でなくリーダーたい論へ
この「リーダーが求めているのは何か」を考える際に、原点となるのは
リーダーが置かれている立場を感じることと想う。
それは、ずばり「リーダーは孤独」という考えだ。
「ちょっと待ってよ、リーダーは常にたくさんの人に囲まれ、むしろ人の輪の中心にあるように思うんだけど、、、」
という意見もある。それも事実だし、異論を唱えたり、どれが正解か議論をしたいわけではない。
ご提案したいのは、リーダーが孤独という側面をとらえ、そこへの備えをしませんかというものだ。
「スタッフはこれを言えば不安に思うから、言わない方がいいのでは?」
「リーダーである自分が弱気やマイナス発言を言うと、動揺するのではないか?」等々。
「リーダーとして役割をまっとうしたいから、スタッフから慕われるリーダーで居たいから」と
独りで抱え込み、人一倍頑張りすぎて、孤独な側面が結果増加してはないだろうか?
特に、今は平時の時ではなく、有事の時だ。
平時の時はある意味、リーダーは不在でいいのかもしれない。
リーダーの真価が問われるのは、まさしく有事の時。
だからこそ、無理をしがちであったり、孤独になりがちな側面が広がっていないだろうか。
いま、コロナ禍を、ピンチと捉えるのかチャンスと捉えるのか?
コロナショックとらえるのか、コロナバブルととらえるのか?
それはわれわれリーダーのものの見方・考え方にかかっている。
しかし、頭では理解しつつも、不安感や焦り、さらにはある面恐怖に支配されているリーダーとして
自分の真実の姿や状況に気づかない限り、冷静は判断は望めない。
「お客さんが戻ってこないんじゃないだろうか」
「会社やお店・組織は、存続できるのだろうか?」
「倒産や縮小してしまうのではないか」
といった湧き上がってくる想いの数々。
その感情をまずは吐き出すことが必要ではないか!
受け止めてくれる人が必要ではないか!
自分らしく自然体で語れる場が必要ではないか!
信頼している配偶者や家族だからこそ、いまの不安な気持ちやマイナス感情を吐露することに自らが歯止めをかけてしまう。
友人やリーダー仲間といっても、泣き言や愚痴に捉えられてしまうので、出したくない。
同業の方や業界内では、情報が漏れるのが心配等。
どうしてもリーダーは、「自分がやらねば」「自分さえ耐え忍べば」と、偏った頑張りになりがちなのかもしれない。
ちょうど想い出したものは、戦時中の山本五十六の言葉とされている「男の修行」の文言だ。
この教えが効果的な人も時代もあるだろう。逆に頑張りすぎて、抱えすぎて、つぶれてしまう。
この様な時代に転換した今だからこそ、旧来型のリーダーのイメージが効果的でないリーダーもまた居るのかもしれない。
リーダーとして、こうすべき、コロナだからこうあるべきといった考えを、私は「リーダーべき論」と言っている。
それだけで本来の力を発揮し続けることは可能だろうか。
無理は続かない、というのが私の自論だ。
そこで、「リーダーたい論」というのが、逆側にある。リーダーが本来持っている感情や
望むことを軸に進めていく考えだ。
3)今、成果を生み出せる強いリーダーとは? 事例に学ぶ、感謝を本気で伝えるリーダー
このようなリーダー論を考える中、いつものリーダーシップカフェ関西(第57回オンライン開催の講座)で、参画者(参加者)同志の語らいを通じて気づいたことをご紹介したい。
今回、リーダーAさんが現場で、部下育成のことをケーススタディとして出された。
「コロナの負荷がかかる中、接点が少ないハンデを吹き飛ばし、ある部下の育成を進めたい。が、どうしても彼の至らない点が気になって仕方ない。成長スピードも遅く困っているというものだった」
それに対して、皆でリーダーとしてどう臨めばいいか意見を出し合った。
その時、別の会社から参画されたリーダーBさんがある意見を出されたのである。
「私が同じ状況になったならば、まずその部下に対して、日ごろの感謝の想いをじっくりと伝えます」と。
Aさんは、この言葉にハッと気づかれ、
「リーダーの自分を支えてくれている人への感謝が足りてなかったこと、焦りやおごりがあったのか、相手に矢印を向けていた自分に気づきました」
と振り返られた。
その後、今後に向けた行動変容を高らかに宣言されたのは言うまでもない。
リーダーとは何か?
リーダーしていまの自分が、ともすれば忘れかけていたものに気づかれたのである。
変化が激しくストレスが高まる中業務を進めているスタッフ。
有事の時だからこそ、感謝の気持ちを伝えるリーダーの本気さが、チームの強さに繋がっているのではないか
リーダーはともすれば権限、ともすれば権力まで振り回し、上から目線に陥りがちだ。
この様な考えが当たり前の組織では、指示命令でしか業務は進まず、主体的な取り組みとは程遠い。
今、成果を生み出せるリーダーとは? またその組織とは?
現場スタッフに心の底から感謝を身体全体で伝えるリーダー。
互いの感謝やプラス感情で、信頼関係が育まれている組織。
このことを実感する講座の一場面であった。
4)いま、成果を生み出せる強いリーダーとは? 事例に学ぶ、自分が勇気づけられる居場所・つながりをもつ人
続くお二人目に紹介したいリーダーCさんは、自分の現在地を実感できたことを同じ講座で吐露された。
「今日も、企業や組織を超えて、他のリーダーの方と率直に語らい、多くの気づきを得た。リーダーとしの一言一句が、コロナ禍だからこそ、増幅されメンバーに届いていることを実感。リーダーの自分が後ろ向きで言い訳をしているのか、前向きに打って出ているのか。それを本質的に気づかせてくれる良い時代だ。そして、リーダーの言動を表面上や短期的にどうこうするのではなく、やはり今の環境をどう捉えるかという、ものの見方が長期的には大事なんだ。安定して前向きにメンバーと関わりをもち続けるには、日頃から自分の本音や状況を語らい合える同志が不可欠であり、そのままを受け止めてもらえる場の重要性を感じました」
この様な発言の中で、「組織はリーダーの影」 という言葉が蘇ってきた。
現場でメンバーを勇気づけるリーダー。
そのリーダー自身が、自分を勇気づけることができる場の存在。
メンバーを勇気づけるには、先ずリーダー自身が自分を勇気づけること。
自分が自分らしく何でも語り、人との温かなつながりに居心地を感じ、こここそが居場所だと言える時空間がある。
自然とリーダーとその組織は本来の力を発揮するのではないだろうか。
このようなことを感じる、素敵なリーダーの方々との語らいの場であった。感謝。
リーダーへの問い掛け
あなたがリーダーとして、今求めているもの(感情)は何でしょうか?
【リーダー自身が自分を勇気づける】
リーダーしてのあなたの居心地の良さを感じたり、自分の居場所と感じる所はどこでしょうか?
【何でも言い合える場づくり・組織づくり】