あるトップリーダーの辞める判断【事例】
正月気分も覚めやらぬある新年、国の予算をつかさどるトップリーダー、財務大臣が退陣した。
政府予算案閣議決定前という、最終案をまとめあげる大切な時期。その直前に下された辞める判断は、健康上の理由によるものだった。
お屠蘇(とそ)の酔いもあってか、「真相は別のところにある」といった様々な憶測や意見も飛び交った面がある。
ただ、それは政治の世界の常であり、人の世の常なのかもしれない。
ご本人の想いに触れようと、報道記事だけでなくオフィシャルホームページでご自身の言葉をつぶさに追ってみた。
その中で「私の心情」欄にあった、77歳というご高齢にありながらも予算編成に掛ける熱い想いが目に留まったのである。
「予算は国の基本的方向を内外に示す重要な意義をもつもの。経済なくして、財政健全化はない」等々とあり、氏の志高い気持ちが伝わってきた。
ここから、我々経営者にとって他人事ではない「経営者の健康や前向きさを阻害するものvs(ヴァーサス:対)成し遂げたい熱い想い」というテーマが私に身近に迫ってきたのである。
経営者にとっての真の健康(状態)とは?
新年のご挨拶まわりの中で、今年の抱負の一つとして健康面をあげる経営者も少なくなかった。
いい機会なので、前述のテーマ(健康を阻害するものvs熱い想い)を投げ掛け、共に考えを深めていった。
ここで交わされたのは、
「健康を阻害する最たるものはストレスやプレッシャーであり、熱い想いに水を掛けられ押し潰されそうになる時がある」
「熱い想いを減少もさせ増幅もさせるもの――それはお客様や社員、人との関係だ」
といった言葉の数々。経営者の皆様の心の底からの本音であろう。
──視点は少し異なるが興味深かったのは、
健康って、そもそもどの様な状態だろうか?
「前提となる健康というもののイメージが意外と人によって違う」という話題だ。
きわめつけは
「経営者にとっての真の健康(状態)とは?」
という問い掛けであった。
経営者が学ぶ、健康の定義(WHO)「単に疾病又は病弱の存在しないことではない」
例えば、WHO(世界保健機関、World Health Organization)では健康の定義を憲章の前文に掲げている。
引用すると「完全な肉体的、精神的及び社会福祉の状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない Health is a (dynamic)state of complete physical, mental, (spiritual) and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.」とある。
半世紀も前に創られたものであるが、かなり広く深い視点が盛り込まれている。
さらには、2つの新しいキーワードを盛り込む改正案も審議されている(英文の括弧内を参照)。
経営判断を支えるのは、①集中力 ②行動力 ③持続力
社員に多大な影響を与える経営者。
その経営者の本当の意味での健康(状態)を表すキーワードは“判断力”━━という想いが浮かび上がってきた。
人は身心(しんじん)ともに高い位置で充実していなければ、類まれなる事業アイデアや革新への方策を的確に取捨選択することはできない。
一つの判断が組織に大きな影響を与え、結果として莫大な成果を生んだり、損失を生じさせたりする。経営者一人の健全な(健康体質から下される)経営判断が、組織百人の成長を生むのだ。
多くの経営者と接する中で感じた、この“判断力”こそが、経営者の健康基準として見えてきた。
そしてこの経営判断を支える、①集中力 ②行動力 ③持続力が伴っているかどうかが、経営者にとっての本当の意味での健康の証なのかもしれない。
あなたご自身は何を感じ、何に取り組んでおられますか?
健全な判断をくだす経営者のあなたへの言葉
- 「予算は国(組織)の基本的方向を内外に示す重要な意義をもつもの」
- 「経営者の健康や前向きさを阻害するものvs(ヴァーサス:対)成し遂げたい熱い想い」
- 「(健康とは)完全な肉体的、精神的及び社会福祉の状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない」
- 「経営者一人の健全な(健康体質から下される)経営判断が、組織百人の成長を生む」
- 「経営判断を支える、①集中力 ②行動力 ③持続力」
- あなたは経営者にとって真の健康な状態とはどの様なものだと想われますか?
- あなたは判断力を高めるために、どの様に健康に留意されておられますか?
(2019年3月16日リライト)