上司の厳しい愛情が、部下の成長を生む【プロジェクトX山口良治監督の名言に学ぶ】

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1.プロジェクトXの山口良治監督の名言に学ぶ

ある会社の経営方針発表会の場で、スクリーンに大写しになった画面から身につまされる熱い言葉が参加者の一人ひとりに投げ掛けられた瞬間であった。

今年、この会社の方針発表会には、ビデオの時間を盛り込ませていただいた。NHK制作 プロジェクトX 挑戦者たち 第30回「ツッパリ生徒と泣き虫先生」~伏見工業ラグビー部・日本一への挑戦~に、経営者をはじめ全社員が、強烈に引き込まれていったのが冒頭の場面である。

内容は、当時の山口良治監督(現、京都市スポーツ政策監・伏見工業高校ラグビー部総監督、)率いる伏見工業高校ラグビー部の物語である。荒廃していた学校でツッパリ達が集まったラグビー部が、京都府一、さらには全国制覇まで登りつめるドキュメントである。落ちこぼれ軍団の奇跡「スクールウォーズ」として、以前から本になったりTVドラマ化されていたのでご存知の方も多いと思う。

このビデオでは、山口先生赴任直後の新生ラグビー部を、当初反抗しながらも卒業までやり通した小畑道弘氏が、山口先生を評して次のように語っておられたのが印象的であった。「こころの底から叱ってくれる先生であった」そして「自分達は先生から『ほっぺたの痛みはすぐ消える、お前を殴らなあかん私の傷は一生や』とよく言われた」と続けた。

私の隣に座っておられたこの会社の経営者のこころには、感動が波のように打ち寄せていたのが手にとるように感じられた。「自分の子供だったら注意するでしょう、人の子だからどうでもいいのですか」という名言等々。後の休憩時間には、社員とのこれまでの関わりを振り返られ、私に「自分は今までやって見せ、関わっていくことがまだまだ少なかった・・・」と、静かに口を開かれた。社員との信頼関係をこよなく大切にされ、私が敬愛するこの経営者をしてこの言葉なのである。もちろん、多くの幹部も社員も社長と山口先生をダブらせて社長への一層の信頼感を深めたに違いない。

2.「愛情」の反対語は「憎悪」ではなく「無関心」

教育現場が荒れていると叫ばれて久しい。教師の暴力をマスコミが非難する。はたして現象のみを見て「殴るから悪い、殴らないから良い」という程度のものですまされてよいのだろうか。また生徒の方も「厳しいから避ける、優しいから近づく」だけで本当の成長や感動が生まれるのだろうか。私のこころには、「『愛情』(好き)という言葉の反対語は『憎悪』(嫌い)ではなく、『無関心』だ」という言葉と共に、これらの疑問が湧き上がっていた。

暴力は確かにいけないかもしれない。しかし、それ以上にいけないのは、「無関心」であり、「無視」ではないだろうか。暴力がただの暴力ではなく(この場合もはや暴力とはいえない)、導く側と導かれる側で「愛のムチ」になっていることも多いのではないだろうかと自分の過去を振返って感じていた。

山口先生の口癖は、「信は力なり」であり、「相手に『不』をつける前に、涙が湧き上がってくる気持ち(愛情)を相手に持て!」という言葉は身にしみた。

3.上司の厳しい愛情(あり方)が、部下を成長に導く

今回のビデオを通して、この経営者と「人と関わる」・「信は力なり」ということについて様々な角度から意見を交わした中で、多くの気付きを与えていただいた。

私は上司とと部下とが互いの関係を育む中で、「関心」や「信は力なり」という、言うなれば土台のことを意識して、し過ぎることはないと、今更ながらに感じたのである。ともすれば土台は当たり前のことと見過ごされがちで、その上に構築する建物(いわば成果や目標)にばかり目が奪われていたのでは・・・と。歯を食いしばっても何とかやり遂げようとする日々の厳しいやり取りや、その厳しさから生まれる「成長」という二文字は、愛情・関心・信頼という土台がベースになってこそ初めて確かなものになるのだと実感した。

さらに「どのようにして相手とのよい関係を育むか」というやり方・方法を自らに問う前に、「自分は相手と本当にどのような関係でありたいのか」という『あり方』そのものを先に問うことが大事だとさらに感ずるようになった。(この経営者の生き様は、まさに土台づくりの継続・徹底であったと感銘を深めたのである。)

表面的なやり方・方法に惑わされることなく、愛情をベースにした厳しい関わりが、互いの真の成長を生むものだという確信に近づいたのである。

4.名言「この人がいなかったら、今の自分はない」を聴いた、山口監督の喜びと涙

これまで生きてきた中で、「この人がいなかったら、今の自分はない」と言える人が何人いるだろうか?とふと自分を振返ってみた。また、生まれてから志事をはじめ様々な人との交流の中で、「一緒にいてもらってよかった」と言っていただける方がどれ位おられるかと、想いをはせてみたのである。さらには、どのような関係でこれまできたのだろうか、ということを改めて振返ることにも取り組んだ。

そこで見えてきたのは、暖かく見守っていただきながら、苦言を呈してくれる、妥協を許さない厳しい人こそが、自分を伸ばしこころを豊かにしてくれる最高の人(いわゆる人生の師匠、志事の師匠という方)だということを確信するに至った。

伏見工業のラグビー八坂の慎吾の名言「自分もこんな体験したい」。私自身も山口監督の様に部下から「この人がいなかったら、今の自分はない」と言ってくださる様な厳しい愛情が広がることに取り組んでいきたい。

あなたご自身は何を感じ、どのように進めておられますか?

5.リーダーのあなたへの言葉

  • 「自分の子供だったら注意するでしょう、人の子だからどうでもいいのですか」
  • 「自分は今までやって見せ、関わっていくことがまだまだ少なかった」
  • 「『愛情』という言葉の反対語は『憎悪』ではなく、『無関心』」
  • 「相手に『不』をつける前に、涙が湧き上がってくる気持ちを相手に持て」
  • 「やり方・方法を自らに問う前に、『あり方』そのものを先に問う」
  • 「この人がいなかったら、今の自分はない」
  • 「愛情をベースにした厳しい関わりが、互いの真の成長を生む」

6.厳しい愛情が広がる、上司のあなたへの問い掛け

  1. あなたを導き育まれた上司はどのような方で、どのような愛情を降り注いでくださいましたか?
  2. あなたは今、上司として厳しい愛情を、どの様に取り組んでおられますか?

(2019年3月9日リライト)

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