こんな出来事が!
先日、恒例となっている“今年の新入社員のタイプ”について日本生産性本部より調査発表があった。
──既に報道等で知っておられる方も少なくないと思うが、ご自分の新入社員に対するイメージを膨らませ、先に答えを推察して頂きたい。
自部門や関係先に配属され、日々身近に接している新入社員を、組織のリーダーとしてあなたはどのように感じ、見ているのだろうか。
例えば「人当たりはソフトで決して悪くはないが、
「何を考えているのか真意がわかりにくい」
「携帯・PC等IT機器には強いが、こころのバーを開き、打ち解けるためにはスピードを落とし、焦らないで接していくことが大切である」
等といったところかもしれない。
─―これらの印象等を踏まえ、今年(平成22年度)の新入社員は“ETC型”と命名されている。あなたご自身のイメージと近いものだっただろうか。また、同感するところはあるだろうか?
私の想い
私自身、コンサルティングや新人研修等を通じて、今年も数多くの新入社員と接してきている。
しかし、その中で関心をもっていることは、タイプ・○○型という分類より、彼らが何に不安や問題を抱えているのか? 成長のためのスイッチ(突破口)はどこか? といった視点だ。
ここで、研修等でよく新入社員に問い掛けることをひとつご紹介しよう。
それは、「今の自分を漢字一文字で表現すると何でしょうか?」というものである。
これに対する答えは、人それぞれの個性や今の心情が映し出され、とても興味深い。
ある人は「燃」という字で、今のヤル気に漲(みなぎ)った感覚を表現する。
逆に、「焦」で焦っている自分であったり、「恐」という字で上司先輩がテキパキと仕事に取り組む中、ある面ビビっている自分を表す人もいる。
また「学」という字で、学生気分がまだまだ抜けていない自分の現在地をさらけ出すと共に、社会人としてこれから素直に学んでいく自分の熱い想いを伝えた人もいる。
実に多様性に富んでいて面白い。
日々への影響
この様な新入社員との取り組みを通じる中、不思議と私は一般的に言われていることと逆の側面を感じる。
一般的に「学生の当たり前が、社会人の当たり前と違う!」ということは強調されて、よく言われる。
もちろんそういった側面は大切だし、新人としてそれを学ぶことを否定するものではない。
しかし、学生も社会人も同じ人間である以上、先程の逆の側面の「学生の当たり前も社会人の当たり前と同じ!」という視点も大切である様に感じる。
学生だから社会人だからというよりも“人間だから”という視点で、成長のためのスイッチを入れていく取り組みの必要性を感じるのだ。
生活・志(仕)事の中での実践
具体的な取り組み提案をあげると、次の様なイメージになる。
新入社員に提案している「3つの込み(思い込み・抱え込み・しり込み)」への歯止めを、リーダーであるあなたが現場でさらに率先して実践するというものだ。
実際に目の前で見るリーダーの行動や習慣はこの上ない見本となり、与える効果も大きい。
1) 自分本位で考え早合点し、ピンボケ仕事をしでかす思い込み病
⇒ 顧客本意・相手本意に転換し、周りから「ありがとう」「役に立っているよ」「助かった」をどれだけ言ってもらえるか。
2) 周りの人に相談せず、土壇場になってできていないことが発覚し迷惑をかける抱え込み病
⇒ 我流でなく素直で吸収力のある自分を前面に出し、常に確認・質問・相談を怠らない。
3) 誰かがやるだろう、と依存傾向が強くプレッシャーに弱いしり込み病
⇒ ちょっとした勇気や積極性を行動・言動でPRし、「私がやります!」と率先して実行し失敗を恐れない。
「育児は育自(子育ては、究極自分育て)!」という言葉がある。
新入社員を育てる視点も大切だが、新入社員で(を通じて)リーダーである自分自身を育てる視点も決して忘れてはならない。
人はまわりの環境に育まれ、適応していく能力を兼ね備えた動物であり、新人は組織のリーダーであるあなた自身が常に成長している姿を見て育つものだから──。
この新入社員加入という絶好の機会を捉え、率先垂範で組織の活性化アップにつなげていきたい。
あなたご自身は何を感じ、何に取り組んでおられますか?
毎日の言葉
- 「今年の新入社員はETC型」
- 「“人間だから”という視点で、成長のためのスイッチを入れていく取り組み」
- 「3つの込み(思い込み・抱え込み・しり込み)」
- 「育児は育自」
- 「新入社員で(を通じて)リーダーである自分自身を育てる視点」
- 「人は環境の動物である(新人は組織のリーダーであるあなたの姿勢に染まる)」
- リーダーとしてのあなたのタイプや、成長のスイッチは何だと思われますか?
- あなたにとって、思い込み・抱え込み・しり込みへの歯止め策は何でしょうか?
(2019年7月14日リライト)