1.人に感動を与える仕事ーーその原点は人の遊び心と感じた事例
4泊6日にわたって、アメリカのラスベガスを訪れる機会を得た。
ゴージャスなイルミネーションに彩られ、24時間眠らない街。ショーやイベントで笑顔や感動が絶えない街。テロ後いったん落ち込みはしたものの全世界から年間3500万人もの人を集める街。
到着の瞬間、私は街そのものが一大アミューズメント空間だと感じた。単なるカジノ=ギャンブルの街ではない。人を感動の渦に巻き込むメガリゾート。これは私がラスベガスから受けた強烈な印象である。そんな異次元空間に自分の心と体をどっぷりと浸すことができた貴重な96時間、丸4日間であった。
一つひとつのホテル等の施設やイベントの規模や、壮大なスケールに愕然とするとともに、何よりその企画や設計が従来の枠組みを大きく超えているという、これまで体験したことのない驚きである。
例えば、メインストリートの北部にある地上277mのストラトスフィアタワー。ベガスのライトアップされた街並み、それが窓越しではなく、外に出て直接見渡せる。それだけではない。いくつかの度肝を抜かれる新鮮な趣向が施されている。なんとタワーの最上部にジェットコースターがあり、それが実に最大斜度32度、最高時速48kmで6周できるのである。さらに、タワーの突端にフリーフォール(アトラクションの一つ)が設置され、これまた地上300m以上の空間を時速72kmで上下動する。ぞくっとするスリルとワイドに広がる美しい夜景。──それはもう別世界の体験だ。
こうして、イルミネーションやホテル・ショッピングセンター・アトラクション等の建物・施設といった形になったものに触れるうちに、私は形ではなく、どうしてこのような空間が誕生したのか、それを構想・企画・設計した人の遊び心に関心が高まっていった。様々なアミューズメントやエンターテイメントを生み出す、その発想の豊かさ、壮大さ、斬新さ、そのことに興味が集中した。
ラスベガスの地に立って、人に感動を与えるその原点は、やはり人でありその発想であるとしみじみと感じたのも事実である。
2.【働き方改革】残業カットではなく、人生を楽しみ、今を楽しく
ラスベガスという街が生まれた背景をさらに詳しくインプットすることによって、この街がもつ実に不思議な力、誰もをニコニコと笑顔に変えてしまうすごい力を少しは理解できたように想う。
ラスベガスは19世紀中頃まではメキシコの勢力下にあったという(1864年に36番目の州として合衆国に加盟)。だからこの地域はロサンジェルス同様、現在でもメキシコをはじめとする中南米特有のラテン系人種の色合いが強く存在している。
また、砂漠だけが広がるこのラスベガスの近郊に、1935年フーバーダムが完成、その建設関係者や、大陸横断鉄道等の西部開拓者が、娯楽を求めてこの街に殺到した。
陽気な人々が集い、人生を楽しみ、今を大切にし、今を楽しく真剣に生きる遊び心があってこそ、たぐいまれなエンターテイメント・シティーが誕生したものと実感出来たのである。単なる残業カットの発想から、真の働き方改革は生まれない様にも感じた。
3.真の遊びを知っているから、その遊びを再び手にしたいため行動する
今回の旅行を通じて、私のこころには小学生の頃、校舎に掲げてあった『よく遊び、よく学べ!』という文字が湧き上がってきた。先生が「宿題やった?」という言葉を口にする中、子供ごころになぜ「よく遊び」が勉強より前の位置なのかと想ったものである。
その答えが実感として、今回の体験を通じて迫ってきた。生きていく中で学ぶということは、何かをより高める一つの手段に過ぎない。遊ぶこと、すなわちイキイキ・ワクワク・ドキドキすることこそが、我々を豊かな人生に導くスタートラインではないだろうか。学ぶだけではとうてい得ることのできない感動を、遊びは提供してくれる面がある。また、遊びの中から集中力や独創力・個性といったものに、無限の磨きをかけることもできる。
真の遊びを知っているから、その遊びを手にするため色々と学び行動するのが人間であるということをこれまで以上に感じたのである。
4.遊びを通したリラックス体験が、新たな集中力を生む
毎日をこころ豊かに暮らす上で、『遊ぶ』ということの意味を今回の旅で私はさらに深めたように想う。『遊び』を通したリラックス体験が、日々の生活や仕事に新たな『集中力』を生むと心に刻み込まれたようだ。日々、忙しさにかまけて、「忙」という言葉の通りに、「(りっしんべん=心)を亡くす」ということに陥らないように、本当の意味で遊びごころを忘れず、毎日ワクワク生きたいものである。
「勉強、勉強!」「仕事、仕事!」・・・とピーンと張り詰めた緊張の連続では、決してすぐれた発想も生まれないだろう。人生の中で日々の生活の中でちょっとしたおどり場(リラックスの時間)を自分でつくってみる。遊ぶために遊ぶのではなく、次なる充実の日々のために『じっくり遊ぶ』―こうすると、ラスベガスにいる時と同じように、生きていておもしろいという『感動』の輪がこころの中に広がっていく様に感じるのである。
遊びを生活の中に大きく取り込むことで、固定観念や単なる体験主義とは違った自由な枠組みが生まれ、独創性や斬新性、個性といったものが育まれるものではないかとしみじみと想う。それを体験した周りの人から結果、感動という二文字が心に鳴り響くのだ。
あなたご自身は何を感じられ、どのように進めておられますか?
5.仕事で感動を生み出すのあなたへの言葉
- 「人に感動を与えるその原点は、やはり人でありその遊び心である」
- 「人生を楽しみ、今を楽しく生きる遊び心」
- 「よく遊び、よく学べ!」
- 「『遊び』というリラックス体験が、仕事に新たな『集中』を生む」
6.遊び心をもつあなたへの問い掛け
- あなたは遊ぶことで、何が生まれると感じておられますか?
- あなたはどのようにして、遊びごころを日々の生活や仕事に生かしておられますか?
(2019年3月16日リライト)