「人生80年は25億秒」を実感
ゴールデンウィークも終わった5月のこの時期になると、いつも思い出すことがある。
それは、もうかれこれ十数年前、ある経営者からいただいたちょっと風変わりな問い掛けだ。
あなたがオギァ~と生まれたその時からソロバンの玉をはじけるとする。
そこで、生まれたその瞬間から、1秒に1つずつ一の玉を入れていく。
5秒になれば、五の玉に置き換える。
10秒になれば十の位の玉を動かす。
仮にそうした動作を続けるとすれば、人生というとても長い80年間で、はたしてどれくらいの数のソロバンがいるだろうか?
貴方は、この問い掛けに直感でいくつと答えられるだろうか? もちろん計算したり、理論的に答えるのではなくて
その時、私は「ソロバンの玉が一の位が十、百、千の位にあがっていくことを考慮しても、これは相当数のソロバンがいるのでは・・・」と感じた。
「社長、それは人生80年という長い年月ですから、ソロバンは少なくとも100個くらいはいるのではないでしょうか・・・」
その経営者は、にこやかな笑顔と暖かな眼差しで
「答えは・・・ソロバン1つで充分なのです。しかも、10桁分の玉しか使わないのに、人生80年間はあっという間に過ぎ去ってしまうのです」
と、話されたのである。
「えぇ~、あれだけ長い人生なのに~、ソロバンはたったの1つ、しかも10桁!」
計算すれば当たり前のことかもしれないが、まだ20代であった私には、人生80年を秒に換算すると、果てしもなく大きな数値をイメージしていたのである。
「人生80年、25億秒、10桁の人生」を貴方はどのように受け止められますか!
(参考までに、人生は80年として、2万9千200日、70万時間、4200万分)
十数年前、私がちょっと立ち止まって迷いごころが芽生えた時、喝を入れていただいたこの経営者の方の問い掛け――
「人生は長いようで短い、こころを定めて歩むことの大切さ」
――を昨日のことのように思い出すのである。
「人生は長いようで短い」という気づきが、タイムマネジメントの原点となる
当時の私は、「人生80年で、いつかは死ぬものだ」ということを頭では理解していた。
そして、「人生は長い」と考えていた。
それが、「人生は長いようで、本当は短いもの」「だから、一瞬一瞬が大切なのだ」と、自らが感じるようになった素晴らしい問い掛けであったように思う。
(そして、人生はまた短いようで長いとも言える)
人間弱いもので、その時は人生の長さ・短さということに理解が深まっても、日常の様々な出来事に追われ、ともすれば忘れがちになっていた時もあった。
自分のこころに実感として、「明日死ぬかもしれない」ということが迫ってきたのは、やはり30代半ばで自分自身が病におかされた瞬間であるのは間違いない。
(今では完全に回復し、嘘のように元気だが)
今この瞬間を生きる姿勢が、仕事で集中力を生む
水、空気、安全、健康、時間、そのどれを取っても、人間にとっては極めて貴重なもの、かけがえのないものだ。
そして、そのどれもが失って(失いかけて)初めて、その大切さに深く気付くものではないだろうか。
日常の生活や仕事の中で、日々当たり前のこととして見失いがちなことは、決して当たり前のことではないはずだ。
そして、失った時間は取り戻す事はできない。
人生における時間もまさにその一つである。
また、時間はストックしておくこともできない。
時間の再生は不可能である。人生において、時間を味方にすることがどれだけ意義のあるものなのか
だからこそ「今、この瞬間を生きる姿勢」「瞬間勝負」が、仕事で集中力を生むものであるとしみじみと想う。
仕事(志事)も人生も、自ら期限を切り、自らが挑む
人生の折り返し点を越えて迎えた今年の5月。
いつものことながら「人生と時間」というものを、今一度真剣に見直す機会を得たことは非常に有意義なことであった。
そして、以前から自問し続けてきた言葉がさらに一歩迫ってきた。
それは「いつまでに(期限)を意識することで、集中力・能力が飛躍的に高まる」ということである。
これからも、自らを高める有効な手立てとして、「自らが期限を切り、自らが挑む」ということをさらに実践し続けることを改めて誓ったものである。
(日常の様々な場面で「いつまでに、何時までに」を合言葉として徹底する。)
人生も期限付き、志事(仕事)も期限付きなのだから。
あなたご自身は人生と時間について何を感じられ、時間を味方にするために何をどのように進めておられますか?
(この毎月の原稿も、ご満足をいただくという質の面と、短時間に書き上げるという時間の面の両立を目指しております。時間生産性を高めるべく、原稿作成時間を設け、自己新記録に毎回チャレンジ中です)
タイムマネジメントに挑む、リーダーのあなたへの言葉
- 「人生25億秒、10桁の人生」
- 「人生は長いようで、短い」
- 「明日死ぬかもしれない」という緊張感
- 「失って(失いかけて)はじめて、その大切さに深く気付く」
- 「今、この瞬間を生きる」「瞬間勝負」
- 「自らが期限を切り、自らが挑む」
- 「人生も期限付き、志事(仕事)も期限付き」
- 「人間、期限があって、緊張感が生まれる」
- あなたは、「人生は長い」、「人生は短い」と、どのような瞬間に感じられますか?
- あなたご自身は、集中力・能力を高めるために、時間とどのように向き合い、何を実践しておられますか?
(2020年5月11日リライト)