「人としてどうあるか」経営者として今一度考える
先日、尊敬するある経営者を埼玉県に訪れた。ひざを交えてじっくりお話しをさせていただくのは実に久しぶりのことである。
社員のこと、業績のこと、販売促進のこと、後継体制のこと、海外展開のこと等々。話しは多岐に及んだが、ただ、そこには一貫したある考えが伺えた。それは、「人(経営者)としてどうあるか!」という哲学や理念であった。
例えば、事業のお話しをされていても、自らの人としての生き様や、人生で何が大切かという視点が強く折り込まれていたからだ。
そのことを最も感じたのは、ご夫婦の話題になった時のことだ。「夫婦はフィフティ・フィフティ(50:50)がいい。それが、8対2や9対1では、夫婦の本当の力を発揮できない。
夫婦は足し算ではなく、掛け算にならないと価値がない。
夫婦が足し算なら、先程の8+2も9+1も10になる。
しかし、掛け算だとするならば、8×2=16、9×1=9にしかならない。
一番最大になるのは? ・・・・、そう、5×5=25だ。夫婦は平等でイーブンイーブンであるのが一番素晴らしい!」
パートナーシップを築き上げる経営者であれ
このお話しを伺った時に、私は頭を何かで叩かれた様な強烈な衝撃を受けた。
夫婦の関係、ひいては、友人関係、上司と部下、親と子、仕事の発注元と発注先(業者)等々、ありとあらゆる相手との関係創り(パートナーシップ)について、新たな視点で見直すことの大切さに改めて気付きをいただいた。
一般的に、上下関係や、支配(コントロールする側)と被支配(コントロールされる側)という単なる関係づくりには行き詰まりがあるとする意見が増えてきている。
「社員の自発性を引き出したい!」
「相手からの意見や提案が増えたらいいな~」等々。私も同感である。
規律やけじめといった面は妥協すべきではないが、相手への尊敬と感謝、何でも言い合える関係、自由な雰囲気等々が、互いに求める成果を生み出す上で大切だと想う。
パートナーシップという相手との本当の意味での関係づくり、それを生み出し育て上げる土壌の必要性を今回強く感じたのである。
パートナーシップを見つめなおすことで経営者自身の人生も充実
そこで私は
「パートナーシップは、50対50(フィフティ・フィフティ)」
という視点から、自分の仕事や生活を見つめ直してみた。
そこには、いかに自分が上下関係に頼っているか、頭ごなしに話している面が多いのではないか、専制的にまた高圧的に人と接していないか等々、自分でも認めたくない点が多く見えてきたように想う。
普通、指示命令できる立場にある人は、その地位から発言すればそれに従う者はでるのかもしれない。
だが、その地位を離れた時、人間力やその人自身の魅力で果たしてどれだけの人についてきてもらい協力してもらえるだろうか!
妻(配偶者)や部下をはじめとする自分の周りの人は、指示を出した時に素直に返事はするかもしれない。しかし、それは空返事で行動を伴わないことがあったなら、相手の行動力を責める前に、自らの姿勢を厳しく見直すべきだと想う。
「人間関係の充実なくして、自分の人生の充実なし」
――このようなことを痛感する毎日である。
企業は『トップ』の人なり(組織は経営者の器以上にはならない)
経営者にとって、言い古された言葉ではある「企業(組織)は人なり」という言葉。
この言葉は、社員育成(組織強化、家族の絆づくり)の重要性を説く時によく引用される。そこには経営や人生の真理があるように想う。
ただ、「人なり」の「人」が、トップ自身をまず指しているのだと認識することが何より大切なことだと想う。
企業(組織)の長は、「人育て」と「自分育て」のバランスが肝心だ。さらには、自らに矢印を当て、自分次第・トップ次第・経営者次第で物事に取り組む姿勢が求められていることだけは間違いのないところだ。
「企業は『トップ』の人なり(組織は経営者の器以上にはならない)」
「企業は経営者で99%決まる」「育児は『育自』」
あなたご自身は何を感じられ、何をどのような想いで進めておられますか?
毎日の言葉
- 「人(経営者)としてどうあるか!」
- 「夫婦はフィフティ・フィフティ(50:50)」
- 「夫婦は足し算ではなく、掛け算」
- 「相手との関係創り(パートナーシップ)」
- 「人間関係の充実なくして、自分の人生の充実なし」
- 「組織は経営者の器以上にはならない」
- 「企業は経営者で99%決まる」
- 「育児は育自」
自分を見つめる問い掛け
- あなたは相手との関係をさらに良くし、成果を生み出すためには何が重要であと感じておられますか?
- あなたが、日頃身近な人に接する姿勢・態度はどのようなものでしょうか?
(2021年3月15日リライト)