この書籍の副題は、魅力のない商品を、いかにセールスするか。
ただ、この本はセールス本として読むだけではもったいない。
時代の急激な変化に伴い、我々リーダーや組織は常に変革・革新を求められています。
誰もができないと固定観念をもっている、まさしくそこに風穴をあけていく。
それこそが我々リーダーの1つの存在価値化もしれません。
リーダーが組織に波及したい「変革をいかに進めるのか」をこの本は
導いてくれている様に感じます。さていかに?
こんにちは! 水野です。
この衝撃的なタイトル、出版から 十数年たった今も色褪せることのない迫力がある様に感じます。
内容においても著者自身が成し遂げた実話であり、我々にとっても身近なスポーツのことが題材です。
具体的に言えば、NBAで観客動員数最下位だった、プロバスケットボールチーム、ニュージャージー・ネッツ。
この球団を、スポーツマーケティングを駆使し、27球団中一位のチケット収入伸び率を実現に導いたリーダー。
そのジョンスポールストラが実際行ったことを、「ジャンプスタートマーケティング」という名称をつけ、われわれに熱く語りかけてきます。
冒頭では
1. 「われわれのマーケットとは何なのか?」
2. 「商品はどうやって売り込むか?」
3. 「何をターゲットにするか?」
等々、ドラッカーのマネジメントを彷彿とさせるような本質を突いた問い掛けが迫ってきます。
興味深いのは、二番目の問いに対して、スポールストラトラ自身の答えは、
「対戦相手を売り込もうとした!」とあるところ。
さっそく、基本を大切にしながらも、変革を生み出していくスタイルが登場し、
単なるセールス本だけでないと強く感じる場面ではないでしょうか。
また、複雑に考えがちな我々を、
「うまく売り込むためには、商品特性は1つあればいい。それでいってみよう!」
と優しく背中を押してくれます。
この基本と変革の絶妙なバランスを感じるのは、第2章にもあります。
それは、
「すぐに効果があらわれる、万能のカンフル剤は何か?」
大々的な広告キャンペーンでも、パンフレットを配布することでも
電話セールスを展開することでもない。
「現在の顧客一人ひとりに、もう少し買ってもらう」
という、ごく当たり前のことが書かれてあります。
しかし、意外と当たり前すぎて経費もかからず手間もかからずを見過ごしている。
視点を変えることこそが変革で大切なことなのだ!と、提案してもらえている様にここを読むと強く私は感じます。
読み進む中で、一瞬目を疑う様な、ドキッとする提案も
革新を促すうえでは、とても参考になるアイデアが散りばめてあります。
特に、私のお気に入りは以下の3つです。
1 「ミスにボーナスを払う」
背景:「人間は変化を好まない」
「社員は革新的なものを避けようとする」
「ちょっとした実験が、社風を変える」
「新しいアイデアや改善のための思考プロセスを重視」
2 「テロリストグループをつくる」
背景:「自分の商品がわれわれを救うことはない」
「成功が見込めそうなマーケティングの分野を限定し、戦略をつくりだす」
3 「クライアントをヒーローにする」
背景:「素晴らしい仕事をするだけでは十分ではない」
「クライアントの上役にそのクライアントがヒーローであることを証明する」
この本はエスキモーに無理強いする本ではありません。
それは著者自身が本の中でも伝えているように、
「促進」することであり、「変革」することがキーワードである様に判断します。
「ジャンプスタートマーケティングとは、誰もが欲しがらない商品を消費者に
無理に押しつけることではない。
誰もが欲しがらない商品を取り上げて、その販売戦略を変え、作り直し、
あるいは中身を入れ替えて、お客が買わずにいられないものにすること」
今日の問い掛け
1. 「われわれのマーケットとは何なのか?」
2. 「商品はどうやって売り込むか?」
3. 「何をターゲットにするか?」
4. 「すぐに効果があらわれる、万能のカンフル剤は何か?」
今日のメッセージ
1. 「 うまく売り込むためには、商品特性は1つあればいい」
2. 「現在の顧客一人ひとりに、もう少し買ってもらう」
3. 「ミスにボーナスを払う」
4. 「テロリストグループをつくる」
5. 「クライアントをヒーローにする」
最後になりました、同じスポーツ(野球、米大リーグ)を題材にし、
映画にもなった「マネーボール」もリーダーには合わせてお薦めです。
貧乏球団・オークランド・アスレチックスをビリー・ビーンGMが
常勝集団にチームビルディングしていく、こちらも実話です。