後継者インタビュー

独自性のある商品を創り出す!株式会社イノウエ 井上旭氏インタビュー

株式会社イノウエ 

ファション小物類製造販売業
代表取締役社長 井上旭 氏

〒252-0155 神奈川県相模原市緑区鳥屋750番地

親父さんと違って、調子がいいなぁ

人生と事業が大きく動く前の状況

私の父が今の会社を昭和3年に創業しました。

親父は新しく切り拓く想いが強く、まるでブルドーザーの様な人でした。

リーダーとしての人間力にも満ちあふれていた様に想います。

親父が事業の土台づくりを成し遂げたので、私は「上へ上へと何とか建物を伸ばしたい」という考えをもっていました。

会社は“城づくり”とよく言われます。

立派な天守閣までいかないまでも「わが社にふさわしい『屋根』を創るぞ!」という意気込みで事業に取り組み始めたのです。

経営者・リーダーとして、こころにしみたあの言葉

当時、若さもあって前へ前へと突き進んでいました。

お客様に対して口八丁手八丁で風呂敷を広げ過ぎていた点は否めないかもしれません。

その様な時、あるお取引先の方から

親父さんと違って、(息子は)調子がいいなぁ~

と言われたのです。

はっと我に返った瞬間でした─。

これが転機となり、以後自分を心して戒める様になったのです。

特に、親父からもらった商売の原点

──「相手(消費者=お客様)を裏切るな!

を、理屈でなく実践でできているか、日々振り返る口火となりました。

人生・事業で何がシフト(転換)したか

自分が変わったからかもしれませんが、親父に対する見方が大きく変わったのもこのことがあってからです。

「親父はただがむしゃらだったのではなく、お客様にとって『誠実(言ったことを守る・裏切らない)』であることに一所懸命だった」と。

また、私自身の誠実さに対する姿勢や行動面が桁違いに変わったのは言うまでもありません。

相手(お客様)を通して、自分の姿が見えます。これからも、自分の鏡である相手を通して、経営者として年齢や立場を言い訳にすることなく自分を振り返り高めていきます。

「誠実」――でいるために、

水野秀則

  1. 相手を裏切らない 言ったことを守る(理屈でなく実践)
  2. 自分の鏡である相手を通して自分を振り返り戒めること
  3. が大切であることを実感する素晴らしいご体験談であった。

同じことをしていると食い合いになる!

人生と事業が大きく動く前の状況

40年程前、当時の企業の多くがそうであった様に、わが社でも経営の力点を“不良の少ない良い製品を作ること”に置いていた様に思います。

良い材料を調達し、良い製品を効率的に安定生産・安定供給する

(わが社で言えば、女性の髪を結うヘアーゴムを黒色でむら無く大量にいかに染め、裁断できるか)

──その体制づくりに血まなこになっていました。

この、商品を生み出す者として基本であるところへの想いは、もちろん今も変わっていません。

しかし、その前提となる大切なポイントを当時はまだまだ認識できていなかった様に思います。

経営者・リーダーとして、こころにしみたあの言葉

そのことに気づかせてもらったのは、ある偶然の出来事から始まりました。

親父に他の用事が出来、いつも出ている会合に私が代理出席したのです。

この時、同業者の方々の話に耳を傾けていてゾッとする様な感覚が襲って来ました。

同じことをしていると、これでは(同業者間で将来間違いなく)食い合いになる!

という内なる言葉が聞こえてきたのです。

人生・事業で何がシフト(転換)したか

以来、自社ならではの独自性のある商品を創るにはどうしたらいいか? 

現在の生産(調達)技術を生かしながら隙間商品を創るには? 

女性のこころが動き、喜んでお買い求めいただく商品を生み出すには? 

等々、自身の現状に問い掛ける質問が大きく変わりました。

そこから、染色効率等自社の都合を度外視にした17色にも及ぶカラフルなヘアーゴムの開発を、業界に先掛けてはじめたのです。

開発後、4年という長きに渡り、苦汁をなめた期間もありました。

しかし、女性の社会進出や、機能+(プラス)ファッション性という時代の流れを的確につかみ、今では当時の60倍もの販売実績を叩き出す商品にまで成長したのです。

そしてこれこそが、わが社における“顧客本意かつ、高機能+α”という開発力を創り上げる突破口となりました。

他にはない独自の商品を創る体質が出来た今、続々と開発される新商品が売上の拡大に大きな影響をもたらし、社内に活気を運んできています。

水野秀則

「“実質的な売上げ拡大に連動する”開発型企業」―でいるために、

  1. プロダクトアウトの製品ではなく、マーケットインで商品開発に力点
  2. 物真似(まね)を嫌う独自商品創りへのこだわり
  3. 機能+αの演出が大切

であることを実感する素晴らしいご体験談であった。

プレッシャーのない人生はつまらない!

人生と事業が大きく動く前の状況

私は45歳の時に、二代目として経営のバトンをようやく引き継ぎました。

35歳の頃から実質的な経営の采配はしていました。

しかし、内外共に正式に“経営者”として認めてもらえるまでに10年の歳月を要したのです。

当時を振り返ると、やはりその重責から「全てがプレッシャーだ!」と感じていた面がありました。

胃が痛くなる、胸が締め付けられる、吐き気がする等々、身体にもその症状は現れていたのです。

経営者・リーダーとして、こころにしみたあの言葉

今考えると、プレッシャーを感じる要因は、他の会社と比べて少し多かったのかもしれません。

例えば、

早い段階からガラス張り経営を推進。数字や成果がオープンに共有され、変に隠すことができない。

手形商売をよしとせず、常に現金取引が原則

一社取引が全売上げの70%に急増。そのリスクをいかに軽減するかに苦戦等々。

しかし、いくつもの山と谷を経験し、今そのバトンを渡す立場になってこころの中にふつふつと湧き上がってくる想いがあります。

それは、「プレッシャーのない人生はつまらない!」というもの。

プレッシャーがあるからこそ、達成感や充実感もあり、人間としてさらに大きくなれたように思うのです。

人生・事業で何がシフト(転換)したか

社員が充実感をもって愉しく働ける、仕入先・協力業者と共に発展していく、独自性豊かな真に良いものを創りお客様に喜んでもらう・・・等々、経営の現場を推進するに当たり、実に様々なことがありました。

バトンを親父から譲り受けることができなかった時代は、目先の事にただただガムシャラに取り組むだけだった感じがします。

しかし、経営者として独り立ちした頃には、プレッシャーを愉しみ、「起伏のある人生がいい!」と心の底から実感する自分に転換していたのは間違いありません。

そして今、このことを後進や三代目にもさらに伝えていきたいと心から感じています。

水野秀則

「地に足がついた後進(後継者)育成」―─を展開するために、

  1. ものの見方・考え方・捉え方を継承
  2. プレッシャーを愉しむ(屈するは伸びんがためなり)というメンタルの強さを育む
  3. 起伏のある人生が充実感を生む(プレッシャーは人生のスパイス)という考えを促進すること

が大切であることを実感する素晴らしいご体験談であった。

(2019年12月23日リライト)※記事内の役職は当時のものです。

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