ある変革型リーダーの挑戦事例
ある業界で変革を生み出すリーダーから、原点を見直す意味でとても意義深いお話をいただいた。
それは、「利益は、参入障壁に比例する」という言葉だ。
「参入障壁が低い事業だと、すぐに他社の追随を許し競争が激化し、挙句の果てには利益が薄くなる。
逆に、参入障壁が高いと、オンリーワンであり、適正な利益を永年にわたって得ることが可能だ」というものであった。
日々多くの変革型リーダーや経営者とお会いする私にとって、このご指摘は自分自身の体験や出会った事例と照らし合わせても、まさしく言われる通りだと感じ入った。
そこで、他社との差異化(差別化)を実現し、より大きな利益や成果を手にするために何が必要だろうか?
自社がもつ参入障壁というバリアを自社が乗り越える(あるいは他社に乗り越えさせない)ためには、何が大切かという2点に想いが膨らんだのである。
この経営者のお考えでは、
1.インフラ力(知的所有権等)
2.資金力
3.ブランド力
4.人材力
の4つ、特に中小企業の経営者や変革型リーダーには後ろの2つが大切とするご意見であった。
抵抗感や抵抗勢力は変革を生み出し、本来前向きに捉えるもの
この変革型リーダーと別れて、「参入障壁」という言葉が耳に強く残っていた私に、その帰り道である会話が浮かんだ。
それはちょうど冒頭の変革型リーダーとお会いする前の、別のリーダーとの出来事であった。
「営業畑一筋でこれまできた自分にとって、月次の損益や、資金管理、回収チェック等の経理・財務面でのことが億劫(おっくう)になりがちなのですね。もちろんリーダーとして、今挙げたようなことはとても大切なのはわかっているのですが・・・。何か抵抗感があって、こころがそちらに向かわない時があるのです」
その時、丁度車に乗っていたということもあり、私はこのように申し上げた。
「車の運転を普通にできる人にとっては、車を通常通り運転することはまったくストレスや抵抗はない。でも、そこから新たに気付くことや、運転ができることの喜び、できないことができるようになったという変革等々は、生まれてこないですね。その人にとって、抵抗感のあるテーマこそが、自分や周りに大きな変革や違いを生み出すのではないでしょうか」
私の頭の中では、「参入障壁が利益を生む」という言葉と、「抵抗感とは、変革を生むもの」という言葉が重なった瞬間であった。
自分の心に立ちはだかる3つの抵抗感「わからない」「できない」「やれない」
今回の出来事を通じて、「抵抗感があればあるほど乗り越えたとき大きな変革を生み出す」ということを想い起こした私は、その視点から日常の仕事や生活を見渡してみた。
そこからの新たな気付きと発見は、「3つの“ない”」を言う人やその場面が意外にも多いということだ。
それは、「わからない」・「できない」・「やれない」の言葉である。
そして根底には、「どうせ自分なんか・・・」と想っているその人がいるように感じた。
人は、壁が外に立ちはだかっているのではなく、自分のこころの内側に大きな抵抗感(メンタルブロック、こころの参入障壁)となって抱えてしまっている場合が実に多いように想う。
変革度合いは、抵抗感の大きさに比例する
人は「これは無理!」と感じた時、自分の持てる全ての能力を捨ててしまっているに等しい。
しかし、「これはやれる!」ととらえると、能力以上の壁を乗り越えることができるものだ。
困難に見えているもの―これを自分が無意識のうちに困難だと決め付けているのが原因であり、自分でも意外と気付かないで当たり前に体質化してしまっているのが、このメンタルブロックである。
だからこそ、気付きにくいし、そこから離れにくいのかもしれない。
この人生に仕組まれた大きなワナに落ちることなく、「こころの抵抗感」や参入障壁を前向きに捉え、自分にとって有意義な人生をおくりたいものだ。
冒頭の経営者の教えに感謝し、その主旨をそのままに、語句を変えた言葉で締めくくりたい。
「変革度合は、抵抗感の大きさに比例する」
あなたご自身は何を感じ、何に取り組んでおられますか?
変革型リーダーのあなたへの言葉
- 「利益は、参入障壁に比例する」
- 「何か抵抗があって、こころがそちらに向かわない」
- 「わからない」・「できない」・「やれない」
- 「「どうせ自分なんか・・・」と想っている」
- 「自分のこころの内側に大きな抵抗感(メンタルブロック、こころの参入障壁)」
- 「変革度合は、抵抗感の大きさに比例する」
- あなたは、自分にとっての「こころの参入障壁」は何だと想われますか?
- あなたは、どのような事や場面に一番抵抗感が生まれますか?
(2021年2月23日リライト)