経営者の奥様に学ぶ「怒ったら負け」

事例体験から学びたい!

経営者の奥様に学ぶ「怒ったら負け」

2020年5月6日

アンガーマネジメントや人育てのモデル、それは経営者の奥様!

中小企業経営者のご支援という仕事柄、私は経営者の奥様ともお話をする機会が多い。

先日も、数人の奥様との子育てのお話から、リーダーとしてのアンガーマネジメントを高めるための貴重なヒントを頂いた。

ある経営者夫人は、「親が子供に何らかの理由で心から向き合えていない時、次第に荒れてくる(反抗的になったり、問題行動を起こす)」とご自身の経験を話された。

また別の経営者夫人は、こうも話してくださった。

「親が子供の話を聴かずに一方的に話す状態の時、子供の話を自分のフィルターで選別して聴いている(このことは聴く、このことは聴かない)時は、親子関係に真の絆は生まれにくい。親が自分の理屈や考え方を通して、聴こう!聴こう!といくら努力しても、本当の傾聴(アクティブリスニング)にはつながっていない。子供に今起こっていること、子供が感じていることを丸ごと受けとめ、そのまま飲み込む度量が大切なのでは!」

未来の経営者を育てる重責をもつ経営者夫人

私はある経営者夫人が話された次の言葉が今でも忘れられない。

「子供との関係は、とにかく『怒ったら負け!』。どんなことがあっても怒るということは、相手と同じ土俵に引き込まれてしまっていますよね。ある時、この自分の行為が全く効果的ではないと強く感じたのです。それ以来、理不尽なことを言ってくる子供に対して、『怒ったら負け、受け止めたら成功よ』自分に呪文の様に言い聞かせてやってきました。特に効果的なのは、カッとした時、深呼吸をして一呼吸置き子供が投げかけたその言葉を受け止めるようにしたことです」

その方の母性の温かさや深みに今更ながら感じ入ると共に「未来の経営者(現経営者の後継者)を育む」という立場に立っておられる方のご意見には、学ばせていただく点が非常に多いとしみじみ感じる。

アンガーマネジメントは、ダイバーシティ社会で尊重しあうこと

私は子供に関わる母親の姿を通して、大人の論理や話し手の論理━例えば、押し付けや、指示・命令、説教・説得等━がまったく通用しない時、それらに変わって何が大切なのかというテーマを深める機会をいただいたように想う。

我々、組織のリーダーは、今の時代(個性化社会、価値観や、生き様・働き様の多様化「ダイバーシティ」社会)だからこそ、単なる上下関係や権限で人を動かすのではなく、こころからの信頼や互いに尊敬し合える関係をベースにした関わりが強く求められるように実感するのである。

先の経営者夫人は、

「子供のために怒らないということを決めている面はあるが、結局はそれも自分のためなのですよね。怒ると不愉快な感情が後から後から湧き出てきて、一日が台無しになってしまいます。嫌な気持ちを引きずったり、イライラ・モヤモヤしていると自分が何よりも損だと、気付きました。」

そこには親としての義務感や我慢している感じが全く存在せず、その考え方の「軽やかさ」がとても印象的だったのだ。

もちろんアンガーマネジメントという言葉だけの空回りや、表面的な怒りを抑えるテクニック論に終始するようなことはない。

アンガーマネジメントの本質を理解した上での実践

今回の出来事を通じて、対人関係で嫌な言葉を投げかけられたり、ストレスがたまる状況に追い込まれたとしても、リーダーがこころの平安を自ら保ち続けることの大切さを学ばせていただいた。

そこには全てが自分次第、リーダー次第(※ここで注意が必要なのは、自分のせい、リーダーのせいと取り違え、自分を責めてパワーダウンしてしまわないことだ)で、取り組む姿勢の効果を再認識したことも見逃せない。

我々を取り巻く時代や環境はめまぐるしく変化している。

その変化のスピードに対応する中で、異常なまでのストレス社会になってきているのかもしれない。

(その結果が、過労死や過労自殺の増加、うつ病やメンタル面での障害を抱えた方の増加等に現れている)

だが、その周りの環境や、人間関係をも、リーダー自らが、軽やかに、いつも自分らしく居続けるには?という視点を持ち、感情に左右されずに自分を磨くこと(ストレス耐性・ストレス対処法等)を継続すれば、意外と簡単に状況は変化していくものだと感じたのである。

今回多くの気付きときっかけをいただいた次の世代の人間を育む素晴らしいお母様方に感謝の念で一杯だ。

あなたご自身は何を感じ、何に取り組んでおられますか?

アンガーマネジメントを深める毎日の言葉

  • 「心から向き合えていない」
  • 「子供の話を自分のフィルターで選別して聴いている」
  • 「丸ごと受けとめ、そのまま飲み込む」
  • 「怒ったら負けよ!受け止めたら成功よ!」
  • 「こころからの信頼や互いに尊敬し合える関係をベースにした関わり」
水野秀則
水野秀則

  1. 職場や日常活動で、相手が自分にとって不愉快な言葉や態度を目の前でした時、 あなたはどのような反応をされますか?
  2. リーダーとして、あなた自らのメンタルヘルス(こころの健康)は、どのように保っておられるでしょうか?(軽やかに、自分らしく居続けるために

アンガーマネジメント本、怒りやイライラが消えていく、経営者リーダーこの1冊

『状況が人を作る?』性格にとらわれない心理学の新しい視点
『状況が人を作る?』性格にとらわれない心理学の新しい視点

ウォルター・ミシェルと状況論の背景 性格よりも「状況」が行動に与える影響とは? ウォルター・ミシェルが提唱した「状況論」は、「人の行動はその人の性格よりも、その時々の状況に左右されやすい」という考え方 ...

続きを見る

メンタルヘルス(心の健康)関連記事

【メンタルヘルス特集】ストレスは受け止め方次第でプラスに働く?
【メンタルヘルス特集】ストレスは受け止め方次第でプラスに働く?

あなたは心の健康管理をしていますか? 我われビジネスリーダーに、貴重な情報を発信し勇気付けてくれる組織・団体がいくつかある。 その一つが商工会議所・商工会であり、私にとっても身近な存在だ。 特に講演の ...

続きを見る

(2020年5月7日リライト)

    この記事はご満足いただけましたか?

    メールアドレス(任意)

    ご意見・ご要望(任意)

    プライバシーポリシーに同意の上でお申込みください

    -事例体験から学びたい!
    -, , , ,

    PAGE TOP