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経営者に必要なノウハウ

判断は変えても、軸は手放さない。方針変更を、チームの納得につなげるには?

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ふさぽ

後継者をホンマモンに育む、応援をしています。社長を19年経験してわかったこと。それは'トップ自らの人生'を豊かにすること…人との”ツナガリ”づくりを通して。その入り口として、口癖にこだわり、Xでは発信中。『口ぐせは生きグセ』人生観に裏うちされた、事業づくりがトクイ種目。 ホンマデッカァw

水野秀則
水野秀則

こんにちは。経営写コンサルタント®の水野秀則です。皆さんは、一度決めたことを変えるとき、どのような言葉で周りに伝えておられますか。「状況が変わったから」「今はこちらを優先してほしい」。自分では必要な説明をしたつもりでも、相手の表情がどこか晴れない。そんな場面はないでしょうか。

経営者は、決める立場です。そして、決めたことを見直す立場でもあります。お客様の動き、現場の余力、入ってくる情報。昨日まで見えていなかったものが、今日になって見えることもあるでしょう。前に進めるために、いったん止める。大切な約束を果たすために、やり方を変える。経営の現場には、そのような判断が確かにあります。

一方、その判断を受け取る側では、別の時間が流れています。資料を整え、担当者と話し、予定を組み、ようやく動き始めたところだったかもしれません。そこへ新しい指示が来る。経営者には連続している考えが、現場には突然の転換に見えることがあります。この間を、どうつないでいけばよいのでしょうか。

9月16日に12名で開催した「経営者シン感覚プレセッション」でも、方針や判断が変わることへの戸惑いが話題になりました。今日は、その論点から、リーダーの決断とチームの実行をつなぐ関わり方を考えてみたいと思います。判断を変えるときこそ、自分たちが何を大切にしているのかを、確かめ合う機会にできる。私は、そこに経営の伸びしろがあると感じています。

「また変わった」の一言に、どんな思いがあるでしょうか

例えば、週明けの打ち合わせで進めることになった企画が、数日後に保留になる場面を想像してください。担当者の手帳には、すでに面談の予定が入っています。共有フォルダには、何度も直した資料が並んでいる。協力を頼んだ人には、今週中に一度説明すると伝えてある。その状態で「いったん止めよう」と言われたら、どのようなことが頭に浮かぶでしょうか。

止める理由を知りたい、という気持ちはもちろんあると思います。それに加えて、誰にどこまで連絡すればよいのか、これまでの説明をどう訂正するのか、今朝まで優先していた仕事は何だったのか。細かな問いが一度に生まれます。「また変わった」という短い言葉の中には、こうした実務上の困りごとが含まれているかもしれません。

それを、変化を嫌う人だと受け止めてしまうと、話がかみ合いません。反対しているように見えて、実際には切り替え方が分からないだけの場合もあるからです。まず「何が一番困りそうですか」と尋ねてみる。すると、方針そのものへの意見と、変更に伴う仕事の問題を、分けて話せるようになります。

経営者の頭の中だけで、話が進んでいないか

経営者は、会議と会議の間にも判断材料を受け取っています。お客様と話し、数字を確認し、別の案件の進み具合を聞く。その中で、優先順位が少しずつ変わっていく。しかし、社員が最後に聞いた説明は、週明けの打ち合わせのままかもしれません。経営者の中では何段階も考えた結果でも、受け手には最初と最後だけが見えているのです。

ですから、結論を伝える前に、その間に何が分かったのかを言葉にする必要があります。「月曜日にはこの条件で進められると考えていました。その後、確認が必要な点が出てきました」。この一言があるだけでも、相手は判断の道筋をたどりやすくなるでしょう。自分が知っていることを、相手も知っているとは限らない。その前提に立ちたいのです。

私が大切にしている経営写という視点も、ここに関わります。自分では筋が通っているつもりでも、周りからはどのように見えているのか。伝えたつもりの説明が、相手の仕事に必要な情報になっているのか。自分の頭の中を確認するだけでなく、相手に映っている姿も見てみる。それが、判断を生かす最初の一歩ではないでしょうか。

目的地、現在地、進み方を分けてみる

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私は、経営を考えるうえで、目的地と現在地の両方を明らかにすることを大切にしています。どこへ行きたいかだけでは、今日の行動は決まりません。今どこにいて、どのような力や条件があるのか。それが分かって初めて、進む方向を考えられます。方針を見直すときにも、この二つを確かめると、話が整理しやすくなります。

山を歩く場面に置き換えると、分かりやすいかもしれません。私は50歳からトレイルランニングを始め、自然の中に身を置く時間も大切にしています。山の道を考えるとき、目的の場所だけを見ていても十分ではありません。現在いる場所、残っている時間、周りの状況を確かめて、これからどう進むかを考えます。経営でも、似た問いが必要だと感じるのです。

ここで、経営の話を三つに分けてみましょう。何のために取り組むのかという目的。今どのような状況にあるかという現在地。そして、何を、どの順番で、どのように行うかという進み方です。例えば、お客様に安心して使っていただけるサービスを届けるという目的は同じでも、提供の順番や開始の時期を見直すことはあり得ます。

変えたものと、変えていないものを言葉にする

「今回は変更します」とだけ伝えると、相手には全部が変わったように聞こえることがあります。そこで、「届けたい価値は変わりません。今回は、提供を始める範囲を見直します」と、変更する部分を示してみる。目的まで白紙に戻ったのか、手段を調整するのかが分かれば、これまでの準備の何を生かせるかも考えやすくなります。

もちろん、目的そのものを問い直す場面もあるでしょう。そのときまで、変わっていないと言い張る必要はありません。「これまで大切にしてきた考え方を、今回は見直したい」と、変更の大きさにふさわしい対話をすることです。小さな修正のように扱ってしまえば、後になって、話が違うという戸惑いが広がりかねません。

軸を持つというのは、昔の言葉を守り続けることだけではないと思います。誰にどのような価値を届けたいのか、何を犠牲にしてまで成果を求めることはしないのか。その判断のよりどころを、自分たちの言葉で説明できることです。変える部分が明確になるほど、守りたいものも具体的になる。そんな確かめ方をしてみてはいかがでしょうか。

理念を、目の前の選択に使える言葉へ

「お客様を大切にする」「社員とともに成長する」。大切な言葉です。ただ、選択肢がぶつかったときに、それだけで答えが決まるとは限りません。早くお届けすることがお客様のためになる一方、確認が不十分なら負担をかけてしまう。社員に挑戦の機会をつくりたい一方、今の仕事との両立も考える必要がある。理念は、こうした具体的な場面でこそ問われます。

例えば、サービスの開始時期を決めるとします。期日を守るために範囲を絞るのか、範囲を守るために時期を調整するのか。どちらにも理由があります。その場で「お客様第一だから」と結論だけを押し出すと、異なる意見を持つ人は、お客様を大切にしていないと言われたように感じるかもしれません。理念の言葉が、話し合いを閉じてしまうこともあるのです。

そこで、「今回のお客様は、まず何ができれば助かるのか」「どの部分に不確かなまま進められない問題があるのか」と、判断する対象を具体的にします。理念を唱えたうえで、選択肢それぞれが、その理念にどうつながるのかを考える。同じ言葉の下にある解釈を確かめることで、単なる賛否から一歩進んだ話ができます。

二つとも大切なとき、今回は何を優先するか

私は「右手に経営理念、左手に決算書」という考え方を大切にしています。想いだけで進めても続けられない。数字だけを見ていても、何のための事業かを見失ってしまう。両方を見ながら、今回の条件の中で何を選ぶかを考える必要があります。これは、きれいな答えを一つ決めて終わる話ではなく、日々の選択に関わることです。

経営者が「どちらも大切だが、今回はこの順番で進める」と説明すれば、選ばなかった側の価値まで否定せずに済みます。例えば、新しい取り組みの可能性を認めながら、今は既存のお客様への対応を整えることを優先する。その場合は、新しい取り組みをいつ、どんな条件で再び検討するのかも伝えたいところです。そうすれば、保留が忘却になりにくくなります。

皆さんの会社では、何かを見送ったとき、見送られた提案はどのように扱われていますか。否定されたものとして置かれるのか、条件が整えば再び考えるものとして残されるのか。同じ結論でも、その扱いには違いがあります。判断の軸は、採用した案への説明だけでなく、採用しなかった案に向ける言葉にも表れると思うのです。

方針を変えるときに共有したい、三つのこと

変更を伝えるとき、私は三つの問いを手元に置いておくとよいと思います。「何を大切にするか」「何が変わったのか」「次に何をするか」です。立派な説明資料にする必要はありません。この三つがつながっていれば、受け手は判断の背景と自分の行動を結びつけやすくなります。逆に一つ欠けると、気持ちは分かっても動けない、ということが起きます。

一つ目は、大切にしたいことです。「継続して安心して使ってもらうことを優先したい」。二つ目は、新しく分かったことです。「想定していた確認が、今の体制では開始日までに終わらないと分かった」。三つ目は、次の行動です。「提供範囲を絞り、説明資料を修正し、対象のお客様への案内を担当者と確認する」。このように、目的から仕事までの道筋を示します。

ここで気をつけたいのは、分かっていることと、見込みを混ぜないことです。まだ確認していない可能性を、確定した事情のように話せば、後の修正がまた混乱を招きます。「ここは確認済みです。こちらはまだ見込みです。それでも今判断する必要があるので、まずこの範囲で動きます」。不確かな部分も言葉にしたうえで、決断することはできます。

分からないことにも、扱い方を決めておく

すべて分かるまで待っていたら、進められない仕事もあります。その場合は、何が不明かに加えて、いつ、誰が確かめるかを決めます。「先方の意向は明日確認します。それまでは資料の内部修正だけを進め、外部への案内は待ってください」。このように区切れば、仮の判断が、いつの間にか正式な決定として広がることを防ぎやすくなります。

説明を終えた後には、「質問はありますか」だけでなく、「この変更で、今日の仕事はどう変わりますか」と尋ねてみるのもよいでしょう。相手の理解を試すためではありません。自分の説明が、実際の仕事に置き換えられる形になっていたかを確かめるためです。そこで初めて、伝え忘れた相手や、止められない作業が見つかることがあります。

伝える相手によって、必要な詳しさも違います。判断を支える幹部には選択肢を比較した背景が必要でしょうし、今日の作業を切り替える担当者には、対象と期限の明確さが必要でしょう。同じ軸を共有しながら、相手の役割に応じて説明する。全員に同じ資料を送ることと、全員が必要なことを理解することは、必ずしも同じではありません。

新しい指示と一緒に、止める仕事を決めていますか

方針を変えたのに、現場の忙しさだけが増えていく。そんなときは、以前の仕事が残っていないかを確かめたいと思います。新しく頼まれたことは明確でも、それまでの仕事を誰が止めてよいのか分からない。担当者は念のため両方を進める。その結果、変更によって集中するはずだった力が、分散してしまうことがあります。

例えば、企画を縮小すると決めても、会場への確認、社内の申請、説明資料の更新などが、それぞれ別の人の手元に残っているかもしれません。「企画は縮小になりました」という連絡だけでは、個々の作業が自動的に切り替わるわけではありません。誰が何を続け、何を止め、どこまで済んでいることを誰に伝えるか。そこまで見て初めて、変更が現場に届きます。

短い打ち合わせでも構いません。進行中の仕事を並べ、続けるもの、止めるもの、確認してから決めるものを分けてみる。止めることで困る相手がいれば、その対応も決める。新しい仕事を足す前に、今ある仕事を見直す時間を持つことは、担当者を守るだけでなく、経営者の決断を実行できるものにするためにも必要です。

これまでの準備を、なかったことにしない

前回の記事では、能力への評価と労力への感謝について考えました。今回も、切り替えの場面で相手の働きを受け止めることは大切です。ただ、「ここまでありがとう」と伝えるだけでは、作業の負担は消えません。整えた資料のうち何を生かせるか、関係者への説明を誰が引き受けるかまで、一緒に確認したいのです。

特に、経営者の判断で変更したのに、担当者だけが先方への説明に回り続ける形には気をつけたいと思います。担当者には決められないことを尋ねられ、言葉に詰まり、また社内へ持ち帰る。その往復が続けば、相手との関係も苦しくなります。必要な場面では決めた側が説明に加わる。少なくとも、担当者が伝えてよい内容と、その先の相談先を明確にすることです。

また、ここまで使った時間が惜しいからといって、必ず続けるべきだとも限りません。準備してきた人を大切にすることと、以前の計画を残すことは別に考える必要があります。判断を変えるなら、その仕事から分かったことや、次に使えるものを残す。中止を、関わった人の力まで否定する出来事にしない。その配慮を持ちたいと思います。

「朝令暮改」を、経営者の免罪符にしない

状況に合わせて判断を変える柔軟さは必要です。しかし、変えることが常に優れた経営判断である、とも言えません。新しい事実が分かったのか、誰かの一言に気持ちが動いたのか、目の前の不安を早く消したくなったのか。自分の内側で起きていることも、いったん確かめてみる必要があるのではないでしょうか。

例えば、他社の新しい取り組みを聞いた直後に、自社でもすぐ始めたくなることがあるかもしれません。刺激を受けること自体はよいことです。ただ、その提案が、先週決めた優先順位にどう関わるのかは、別に考えたい。よい話を聞いたからという理由だけで現場を動かす前に、今の自社の課題にどう役立つかを確かめる時間を持つことです。

忙しく、心に余裕がないときほど、結論を早く出して安心したくなることもあるでしょう。経営者も一人の人間ですから、そうした気持ちが起こるのは自然なことだと思います。だからこそ、「今分かった事実は何か」「急いで決めなければ何が起きるか」と、自分に問いかける。気持ちを否定するのではなく、そのまま指示にしてしまう前に整理するのです。

自分の判断を、短く残しておく

判断を見直すために、大がかりな仕組みから始める必要はありません。決めた日、目的、その時点で分かっていたこと、選んだ進め方、次に確かめる時期。これらを数行で残してみる。後で変更を考える際に読むと、最初から見落としていたのか、後から条件が変わったのかを分けて考えやすくなります。

この記録は、誰かの責任を追及するためのものにしたくありません。以前の判断を、そのとき得られた情報の中で振り返り、次に何を確かめればよいかを学ぶためのものです。結果だけを見て「最初から分かっていたはずだ」と言ってしまえば、周りは不確かな段階で考えを出しにくくなるでしょう。決断した経営者自身も、その振り返りの中に入ることが大切です。

もし自分の見立てが甘かったと分かったなら、そこは率直に伝えたいと思います。「最初の確認が足りませんでした。切り替えの負担をかけます。今度は、この条件を確かめてから進めます」。謝ることに加えて、何を改めるかを示す。そうすることで、変更は繰り返される混乱の一つではなく、仕事の進め方をよくする機会になります。

現場の異論を、判断をよくする材料にする

方針変更を伝えたとき、現場から異論が出ることがあります。決めるまでに悩んだ経営者ほど、その反応がつらく感じられるかもしれません。ようやく決めたのに、なぜ分かってもらえないのか。しかし、その異論には、経営者の手元にまだ届いていない情報が含まれている可能性があります。まずは、意見の背景を聞きたいところです。

「その進め方では難しいと思います」と言われたら、「何が難しくなりますか」と尋ねる。すでにお客様へ伝えたことがあるのか、別の工程が動き始めているのか、担当できる人が限られているのか。具体的な事情が分かれば、方針を維持しながら実施方法を調整できることもあります。反対を受け入れるか退けるかという二択に、すぐにしないことです。

もちろん、すべての意見を採用することはできません。最終的には、責任を持つ人が決めなければならないでしょう。それでも「その懸念は理解しました。今回はこの理由で進めます。指摘のあった部分は、ここで確認します」と返すことはできます。意見を聞いた結果がどこに反映されたかを伝えることで、話したことが仕事につながっていると分かります。

納得は、全員が同じ意見になることではない

私は、納得を、反対意見がなくなることと同じには考えていません。自分なら別の案を選ぶとしても、なぜその判断になったかは理解できる。自分の懸念も伝えられた。次に何を担うかも分かっている。そこまで整えば、意見の違いを残しながら、一緒に仕事を進められる場合があります。

経営者が求めたいのは、表面上の賛成だけではないはずです。会議では全員がうなずいたのに、終わってから誰も動けない。それよりも、会議の中で困りごとが出て、必要な調整をしたうえで動けるほうが、実行につながります。質問の多さを、理解が足りない証拠と決めつけず、実行のために確かめているのかもしれないと受け止めたいのです。

変更を受け取る側にも、できることがあります。「また変わった」で話を終えず、「今回も優先したいことは同じですか」「前の仕事はどこまで止めてよいですか」と、必要な確認を言葉にする。経営者の気持ちを推測し続けるより、仕事に必要な条件を確かめる。そのやり取りを歓迎することも、リーダーの役割ではないでしょうか。

変更した後に、確かめる日を決めておく

方針を伝え終わると、経営者の関心は次の課題へ向かいがちです。しかし、現場にとっては、そこから切り替えの仕事が始まります。新しいやり方がうまく動いているか、以前の仕事が残っていないか、想定外の負担が出ていないか。変更した後の確認まで含めて、判断を見届けたいと思います。

例えば、一週間後に短く集まり、実際に何が起きたかを持ち寄る。その際、「うまくいっていますか」とだけ聞くより、「お客様への説明はどこまで進んだか」「誰かの手元で止まっていることはないか」「当初の見込みと違ったことは何か」と問いを具体的にすると、状況が見えやすくなります。報告者の感想だけでなく、行動や出来事を確かめるのです。

確認の時期は、仕事に応じて決めればよいと思います。すぐに影響が出る仕事なら翌日、準備に時間がかかる仕事なら節目の日。ただ、いつか落ち着いたら、では流れてしまいやすい。決めたときに、次に見る時点も決めておく。そうすることで、現場も、その日までに何を確かめておけばよいかを考えられます。

見直す条件があれば、途中の迷いを減らせる

試しに進める場合は、どのようなことが分かったら再検討するかも共有したいところです。必要な確認が終わらないと分かったとき、担当者の通常業務に支障が出たとき、お客様の受け止め方が想定と違ったとき。仕事に合った条件を決めておけば、現場は、ただ我慢して続ける以外の動きを取りやすくなります。

これは、都合が悪くなったらすぐにやめるという意味ではありません。どこまでは決めた通りに進め、どこからは相談するかを明確にすることです。途中の相談が、そのたびに経営者の気分をうかがう行為にならないようにする。任せる範囲と相談する場面が分かれば、リーダーがすべてを見ていなくても、チームとして判断しやすくなります。

振り返って、以前よりよくなったことがあれば、それも言葉にして残しましょう。混乱が減ったのか、説明が早くなったのか、手戻りが減ったのか。変更したこと自体を成果にせず、何がどうよくなったかを確かめる。その積み重ねが、自分たちらしい判断の軸を、きれいな言葉から実際の経験へと育てていくのだと思います。

次の方針変更を、一緒に進むための対話に

経営者は、自分が迷っている姿を見せたくないこともあるでしょう。頼りなく思われたくない、心配をかけたくない。その気持ちも分かります。ただ、結論だけを力強く伝え続けることで、かえって周りが道筋を見失うこともあります。何を守ろうとして、何を見直したのか。そこを話せることは、リーダーの弱さではなく、チームに仕事を託すための大切な働きだと思うのです。

私は、経営者の想いと、その想いを受け取って動く人の間に、もう少し言葉を交わせる余地があると感じています。経営者だけで始めなければ始まらないことがある一方、一人だけでは形にできないこともある。だからこそ、判断することと、周りが動けるようにすることを、一続きの仕事として考えたいのです。

皆さんが最近変えた判断を、一つ思い出してみてください。何を大切にした判断だったでしょうか。何が新しく分かったのでしょうか。関わる人には、何を続け、何を止めてほしいと伝えたでしょうか。もし伝え切れていないことに気づいたなら、今から短い補足をしてもよいと思います。「先日の変更について、背景をもう少し伝えたい」。そこから始められます。

水野秀則
水野秀則

次に方針を変えるときには、「何を大切にするか」「何が変わったのか」「次に何をするか」の三つを、ぜひご自身の言葉で話してみてください。そして、受け取った人の仕事がどう変わるのかにも、耳を傾けてみる。判断は変えても、共に働く人を置き去りにしない。その積み重ねの中に、変化に向き合うチームの力が育っていくのではないでしょうか。

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