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経営者に必要なノウハウ

「失敗してもいいよ」が、伝わる職場へ。安心は、リーダーの反応から育つ

2026年10月1日

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ふさぽ

後継者をホンマモンに育む、応援をしています。社長を19年経験してわかったこと。それは'トップ自らの人生'を豊かにすること…人との”ツナガリ”づくりを通して。その入り口として、口癖にこだわり、Xでは発信中。『口ぐせは生きグセ』人生観に裏うちされた、事業づくりがトクイ種目。 ホンマデッカァw

水野秀則
水野秀則

こんにちは。経営写コンサルタント®の水野秀則です。「失敗してもいいから、まずやってごらん」。皆さんも、社員や後輩にこう声をかけたことがあるのではないでしょうか。新しいことに挑戦してほしい。自分の考えを持って動いてほしい。その人の可能性を信じているからこそ、背中を押したくなるのだと思います。

ところが、声をかけても相手が動き出さない。会議で意見を求めても、なかなか手が上がらない。困っている様子なのに、相談に来るのはぎりぎりになってから。そんな場面が続くと、「もっと積極的になってくれたら」と思うこともありますね。私も、人の育ちや組織のことを考える中で、この問いに何度も立ち返ってきました。

9月16日、12名で開催した「経営者シン感覚プレセッション」でも、挑戦をためらう気持ちと、安心して話せる場について対話がありました。そこで改めて考えたのは、「失敗してもいい」と伝えたことと、相手が「ここなら話せる」と感じることの間には、距離があるということです。

前回は、リーダー自身が「教えてください」と言えるかどうかを考えました。今回は、相手が勇気を出して声を上げた、その後に目を向けてみたいと思います。自分にとって都合のよい話だけでなく、困った報告や違う意見が届いたとき、私たちはどんな反応をしているでしょうか。

私も、意見を言って嫌な思いをしたことがあります

プレセッションでは、私自身の経験をお話ししました。以前、セミナーで意見を求められたので発言したところ、強く否定されて、とても嫌な思いをしたことがあるのです。発言を求められたから、自分なりに考えて話した。ところが、返ってきた反応は、安心して次の言葉を出せるようなものではありませんでした。

そのときに感じたことを思い出すと、「自由に言ってください」という言葉を聞くだけで、人が自由に話せるようになるわけではないと、よく分かります。話す前の案内よりも、話した後に何が起きたか。その経験のほうが、次に口を開くかどうかに関わってくるのだと思います。

話す側は、内容以外のことも考えています

例えば、会議の途中で、資料の数字に小さな食い違いを見つけたとしましょう。自分の見間違いかもしれない。もう話は次へ進んでいる。今ここで止めたら、準備した人の顔をつぶすだろうか。以前、細かいことを気にしすぎると言われたこともある。そんな考えが頭をよぎり、結局、手元の資料に印だけつけて終わってしまう。

これは説明のための一例ですが、発言しない人の内側で、何も起きていないとは限りません。むしろ、いくつものことを考えた結果、言わないほうを選んでいる場合があります。外から見れば静かでも、本人の中では、仕事への気がかりと人間関係への心配が行ったり来たりしているのです。

ここで「なぜ気づいたときに言わなかったの」と聞きたくなる気持ちも分かります。ただ、その前に、気づいたときに言える条件があったかを確かめたいですね。間違っていたら笑われる。途中で口を挟むと迷惑がられる。そう感じる場になっていなかったか。発言する人の勇気だけに、仕事の確認を頼っていなかったか、ということです。

私は、かつて嫌な思いをした経験を、自分の関わり方に返して考えたいと思っています。自分はもう教える側だから関係ない、と片づけず、あのとき話しにくかった自分を思い出す。リーダーの立場から相手を見るだけでなく、相手の席に座って自分を見てみる。その往復が必要なのではないでしょうか。

「大丈夫」の意味が、相手には見えていないことがあります

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「失敗してもいい」と言うとき、リーダーの頭には、ある程度の範囲があると思います。このくらいならやり直せる。ここまでは自分が支えられる。しかし、その範囲を言葉にしていなければ、相手には伝わりません。失敗しても大丈夫なのは、時間のことなのか、費用のことなのか、お客様への説明まで含むのか。受け取り方は人によって違います。

挑戦を勧められた人にとっては、うまくいかなかったときの景色が見えないまま、一歩を求められていることになります。自分で取り返さなければならないのか。誰に相談してよいのか。最後には「任せたのに」と言われるのか。そこが曖昧なままでは、励ましを増やしても、ためらいは小さくならないかもしれません。

やってよい範囲と、止まって相談する目安を決める

例えば、社内で使う案内資料の作り方を変えてみる場面なら、「まず社内確認用の一枚で試してみよう。半日かけて形にならなければ一緒に見直そう。お客様に出す前には私も確認する」と伝えられます。何を試してよいか、どこで相談するか、誰が次の確認をするかが見えると、最初の一歩は具体的になります。

一方で、人の安全に関わる作業や、お客様との約束を変えることなど、自由な試行に向かないものもあります。そこは事前に確認すべき手順を明確にする。「失敗してもいい」を、何にでも同じように使わないことです。試せる範囲を決めるのは、挑戦を小さく評価するためではなく、安心して動き始められる足場を用意するためなのです。

そして、うまくいかない体験をさせるために、わざと困らせる必要もありません。挑戦には、思いどおりにいかないことが自然に含まれます。そのときに見捨てず、必要な支援をする。試す前の約束と、試した後の扱いがつながっていれば、相手は次の挑戦でも何を頼りにできるかを知ることができます。

「自由にやっていいよ」の後に、具体的な支えが見えているでしょうか。任せることと、困ったときの受け皿を用意することは、一緒に考えたいところです。本人の努力だけでは越えられない条件を、リーダーが先に取り除けることもあるのですから。

困った報告を受けた、最初の一言を見直してみませんか

職場の空気は、掲示した方針だけでは決まりません。小さなやりとりの積み重ねにも表れます。中でも、自分にとって都合の悪い報告を受けたときの反応は、周囲に伝わりやすいものだと思います。「何でも早めに相談して」と日頃言っていても、相談した途端にため息が返ってくるなら、相手は次から言う時機を迷うでしょう。

例えば、担当者が書類を持ってきて、「提出した資料に、直す必要のある箇所が見つかりました」と話したとします。こちらも忙しく、頭の中では、先方への連絡や予定の組み直しが一気に浮かぶ。「どうして今になって」と言いたくなる。そんな瞬間は、誰にでもあるのではないでしょうか。

話してくれたことと、起きた問題を分けて受け止める

ここで私が大切にしたいのは、まず、情報を持ってきてくれたことを受け止めることです。「知らせてくれてありがとう。まず、どこまで影響しているかを一緒に確認しよう」。これは、間違いをよかったことにする言葉ではありません。問題を把握する入口を開いてくれたことと、問題そのものへの対応を分けているのです。

実際の対応では、先に確認すべきことがあります。何が起きたのか。すでに誰に届いているのか。今、止められることはあるのか。お客様や周囲への影響を小さくするには、誰が何をするのか。事情を聞く前に叱責が始まると、本人は自分を守る説明に追われ、必要な事実を順序よく伝えにくくなることもあります。

急ぎの場面なら、穏やかな雑談を挟む余裕はないでしょう。それでも、「まず送付先を確認してください。先方への連絡は私が引き受けます。経緯は対応後に確認しましょう」と、仕事の順番を示すことはできます。安心して話せる関わり方は、いつもゆっくり話すことでも、厳しい状況を軽く扱うことでもありません。

報告が遅かったなら、その点は後で扱えばよいのです。「今回、気づいてから相談するまでに、何があったのかを確認したい」。こう聞けば、本人が迷ったのか、相談先が不在だったのか、すぐ直せると思ったのかが見えてきます。早い報告を望むなら、報告を遅らせた条件も、仕事の一部として見直す必要があります。

安心して話せることと、仕事の基準を守ることは両立できます

「受け止めることを大切にすると、職場が甘くならないでしょうか」。そんな心配を持つ経営者の方もいらっしゃると思います。私も、うまくいかなかったことを何でも曖昧にしてしまう関わり方を勧めたいわけではありません。お客様への責任も、仲間との約束もあります。必要な改善をしないまま、言いやすさだけを整えても、仕事はよくなりません。

ここで分けたいのは、仕事のどこを直すかという話と、相手をどのような人として扱うかという話です。「この確認が抜けていたので、次回は提出前にここを確かめよう」と言うことはできます。しかし、「あなたはいつもいい加減だ」と広げてしまうと、今回の作業をどう直すかが見えにくくなります。

「次から気をつけます」で終わらせない

振り返りの場で、本人が「次から気をつけます」と言い、リーダーが「頼みますよ」と返して終える。これで区切りがついたように見えても、次にどこを変えるかは決まっていません。同じ確認漏れが起きるなら、注意の強さだけでは補えない事情があるのかもしれません。確認する場所が散らばっていたのか、時間が足りなかったのか、役割が重なっていたのか。

例えば、二人がそれぞれ「相手が見たはず」と思っていたなら、必要なのは気合いより、誰が最後に確認するかを決めることです。資料の版が分からなくなっていたなら、置き場所や名前の付け方を変えることかもしれません。もちろん、分かっていた手順を省いた場合には、その理由と守るべき基準を確認します。起きたことに合わせて考えるのです。

また、慣れない挑戦で想定が外れたことと、決めていた大切な手順を意図的に飛ばしたことを、すべて同じ「失敗」にまとめないようにしたいですね。どこまで予測できたのか、どんな情報で判断したのか、必要な相談をしていたのか。それぞれを確かめて、次の行動を決める。本人が話しやすいことは、その確認を丁寧に行うためにも役立ちます。

安心して事実を話せるからこそ、直すべきことを具体的に直せる。私は、このつながりを大切にしたいと思っています。人を追い詰めることと、仕事に責任を持って向き合うことを重ねてしまうと、伝わってくる情報まで細くなってしまうのではないでしょうか。

「何か意見はありますか」の前に、話せる準備はできていますか

失敗の報告だけでなく、普段の会議にも目を向けてみましょう。リーダーが資料を説明し、方針を話し終えた後で「何か意見はありますか」と尋ねる。少し待って、誰も話さなければ「では、この方向で」と進める。よくある流れですが、このときの沈黙を、全員の納得と受け取ってよいでしょうか。

資料を読むのが速い人もいれば、いったん自分の仕事に引きつけて考えてから話す人もいます。発言のタイミングをつかむのが得意な人と、話が途切れるのを待つ人もいる。会議で声を出す速さだけでは、その人の考えの深さや、仕事への関心は分かりません。場の進め方によって、届く声が偏っていないかを見たいのです。

未完成の気づきが出せる問いを用意する

例えば、説明の後に「この案で現場が困りそうなところを、一つ考えてみてください」と問いかけ、短くメモをする時間を取る。すぐに順番に発言してもらう前に、隣の人と話す時間を置いてもよいでしょう。「賛成か反対か」だけを求めるより、「この条件がまだ分からない」「ここを確認したい」という声を出しやすくなります。

最初から完成した改善案を求めすぎないことも大切です。何か変だと感じていても、原因や解決策までは分からないことがあります。その段階の声に、「それなら代案は」と返し続けると、十分な案を作れるまで黙っていようとなるかもしれません。まず気がかりを共有し、必要なら詳しい人と一緒に確かめる道筋があってもよいのです。

リーダー自身の案について聞くなら、「進める前に見落としを確かめたいので、気になる点を出してほしい」と、何のために意見を求めているかを伝える。結論がすでに決まっている事項なら、そのことを示し、意見を募る範囲を絞る。変えられない結論について自由に話せるように見せると、後から落胆が生まれます。

人前では言いにくいこともあります。会議後の個別の相談や、短いメモで伝える方法も残しておきたいですね。ただし、別の方法があると言うだけで、出された声を放置しないことです。「確認して次の打ち合わせで返します」と受け取ったなら、結果や途中経過を返す。その流れまで含めて、意見を出せる場なのだと思います。

全員の前で、無理に本音を引き出さない

静かな人に関心を持つことは大切ですが、「あなたは本当はどう思っているの」と、逃げ場のない聞き方をする必要はありません。その場で整理できていない場合も、今は皆の前で話したくない場合もあります。「後で気づいたことがあれば教えてください」と時間を渡すことが、次の声につながることもあるでしょう。

特に、本人の失敗や苦手なことを、学びのためだからと人前で話させるのは慎重でありたいと思います。誰にどこまで共有する必要があるのか。仕事の改善に必要な事実を共有することと、本人が恥ずかしく感じる経験を皆の前で語ることは、分けて考えられます。安心を育てたい場で、話すことを強制していないかも、確かめたいところです。

言葉より先に、表情が返事をしているかもしれません

プレセッションでは、場づくりの話の中で、私が普段意識していることもお伝えしました。オンラインでこちらから手を振ること。声をかけること。表情を柔らかくすることです。私のデスクには鏡があります。自分では普通にしているつもりでも、相手からは硬い顔に見えているかもしれない。そのことを、自分でも確かめたいからです。

画面越しに話していて、相手がずっと無反応だったら、どう感じるでしょうか。聞こえているのかな。話が長すぎるのかな。つまらないのかな。こちらには判断できません。これは対面でも似ています。話の内容を一生懸命考えている顔が、相手には不機嫌な顔に見えることもあるのです。

聞いていることを、相手に分かる形で示す

いつも笑顔でいればよいということではありません。深刻な相談には、深刻さに合った受け止め方が必要です。大切なのは、相手が話を続けてよいかどうかを、こちらの反応から受け取れることだと思います。作業の手を止めて顔を向ける。途中で短くうなずく。「今の点を整理して考えています」と、沈黙の理由を言葉にする。それだけでも違います。

忙しくてすぐには聞けないときもあるでしょう。そのときに「後で」とだけ言うと、相手は何度も様子をうかがうことになります。「今の作業を終えたら、三時から十分取りましょう。急ぎの影響がある話なら、先にそこだけ教えてください」と伝える。自分の都合と、相手の困りごとの両方が扱えるようにするのです。

また、相談している人だけを見ていればよいわけでもありません。周囲の人が苦笑したり、途中で茶化したりしたときに、どうするかも見られています。「まず最後まで聞きましょう」と場を戻す。発言の意図を確かめる。小さな反応をそのままにしておくと、本人には、リーダーもそれを認めているように映ることがあります。

「私は怒っていないのに、なぜ皆は遠慮するのだろう」。そう感じたときほど、自分の内側の気持ちと、外に出ている反応を分けて見てみませんか。伝えたい気持ちは、表情や声の調子、話を遮るタイミングを通って相手に届きます。そこに、自分では気づいていない癖があるかもしれません。

うまく受け止められなかったとき、関係をそのままにしない

ここまで書きながら、私自身も、いつでも理想どおりに反応できるわけではないと思っています。余裕のない日もあります。自分では急いで確認しただけのつもりでも、強い言い方になっていたと、後から気づくこともあるでしょう。だからこそ、一度も間違わないリーダーを目指すだけでは、続かないのです。

大切なのは、うまく受け止められなかったことに気づいた後、どうするかではないでしょうか。何もなかったように次の仕事へ進むと、相手の中には話しにくさが残るかもしれません。立場が上の人から、そのやりとりを振り返る言葉を出す。それも、職場に安心をつくる行動の一つだと思います。

謝るところと、確認すべき仕事を曖昧にしない

例えば、「先ほどは話を最後まで聞かずに、強い言い方をしました。あの伝え方はよくなかったです。申し訳ありません。改めて、どこで困っていたかを聞かせてもらえますか」と伝える。相手が気にしすぎたことにするのではなく、自分の行動を具体的に引き受ける。そのうえで、仕事上の確認は改めて行えばよいのです。

「あなたのためを思って言った」と説明したくなることもあるでしょう。しかし、自分の意図を理解してもらうことを急ぐと、相手が受けたものを聞く時間がなくなります。まず、自分がしたことを振り返る。すぐに「大丈夫です」と返してもらうことを求めず、相手が話せる範囲で聞く。関係を直すにも、相手のペースがあります。

皆の前で強く否定したのなら、本人と個別に話すだけでは、周囲に残った印象までは変わらない場合があります。本人の意向にも配慮しながら、「先ほどは私が途中で結論を出しすぎました。出してもらった懸念は確認します」と、場にも返していく。誰かをさらすためではなく、自分の関わり方を修正するためにです。

その後、似た場面で前と違う対応をすることが、言葉を支えます。謝った翌日に同じ反応を繰り返せば、受け取り方は変わりにくいでしょう。完璧な宣言をするよりも、相談を受ける時間を確保する、最後まで聞く、確認した結果を返す。自分が続けられる行動に落としていきたいですね。

安心は、リーダー一人の気分に左右されない形へ

話しやすいリーダーが一人いることは、職場にとって心強いことです。ただ、その人が不在のときには相談できない、その日の機嫌を見なければ分からない、という状態では、安心が安定しません。個人の心がけを、仕事の進め方にもつなげていくことが必要だと思います。

例えば、困ったときの相談先を一人に集中させない。判断を待って作業が止まっているものを、短い打ち合わせで確認する。試した結果が思わしくなかったときに、振り返る時間をあらかじめ予定に入れる。特別な面談を申し込まなくても、仕事の途中で迷いを出せる機会があると、相談の敷居は変わります。

声が増えたとき、問題が増えたと決めつけない

こうした関わり方を始めると、以前より困りごとが耳に入る場合があります。そのとき、「最近は問題ばかりだ」と受け取る前に、今まで見えなかったものが届くようになった可能性も考えてみたいのです。相談件数が増えたことだけで、よくなったとも悪くなったとも言い切れません。中身と、その後の動きを見る必要があります。

仕事が止まる前に相談が来るようになったか。同じ確認漏れに対して、具体的な変更ができたか。一度出た懸念が、担当者の手元に置き去りになっていないか。こうした点を見ていけば、単に会話が増えたかどうかを超えて、仕事に役立つ声のやりとりになっているかを確かめられます。

評価の場面とのつながりも見直したいところです。「挑戦してよい」と言いながら、結果が出なかったという一点だけで扱いを決めていないか。何を狙い、どんな準備をし、何が分かり、次にどう変えたかも確認しているか。成果への責任を持ちながら、挑戦の過程を丁寧に見る。その姿勢が、普段の励ましの言葉とつながっていることが大切です。

次に届く「ちょっと相談が」に、どう返しますか

経営者シン感覚プレセッションでは、私が一方的に答えをお渡しするのではなく、皆さんの経験や問いを持ち寄ることを大切にしています。今回も、話しやすい場についての対話から、私自身の経験や普段の表情にまで考えが及びました。違う立場の人と話すことで、自分が当たり前にしていた関わり方を見直す機会になります。

このような場でも、最初から立派な意見を用意する必要はないと思っています。「うちでは、まだうまくできていません」「ここが気になっています」。そこから始まる話にも、現場をよくする手がかりがあります。誰かが話したことをすぐに結論へ運ぶ前に、その方が見ている景色を知ろうとする。その姿勢を、私も大事にしたいのです。

皆さんにも、今週、一つだけ試していただきたいことがあります。誰かが相談や懸念を持ってきたら、最初の返事を少し意識してみてください。驚いたり困ったりする気持ちはあって構いません。そのうえで、何が起きたかを話し続けられる返し方にする。そして、受け取った話をどう扱うかを、相手と確かめてください。

一日の終わりに、相談を受けた場面を一つ思い出してみるのもよいですね。相手が言い終える前に、結論を出していなかったか。自分の返事の後、話は具体的になったか、それとも短く終わったか。短くなった理由は決めつけず、次に確かめる余地を持つ。自分の反応を振り返ることから、始められます。

「失敗してもいいよ」という言葉に、日々の反応で根拠をつくっていく。知らせてくれたことを受け止め、必要な対応を一緒に考え、次の仕事のやり方に反映する。その経験が重なった先に、「ここなら早めに話せる」という実感が育つのではないでしょうか。

水野秀則
水野秀則

経営者も社員も、一人ですべてを見通すことはできません。だからこそ、気づいたことを持ち寄れる関係が、仕事を支えてくれます。次に「ちょっと相談があるのですが」と声をかけられたとき、皆さんはどんな顔を向け、どんな言葉を返しますか。私も、自分の鏡を見ながら、その一回を大切にしていきたいと思います。

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