2月が近づいて来た
各社で続々と、新入社員の受け入れの準備の声が聞こえてくる
「どの様な声がけをするか?」
「指示依頼の出し方は?」の話になった
そこで明確になった上司、先輩、経営者としての口癖は『なぜならば』
意味がわからないことは実行も継続も生まれにくい
あなたの関わり方、教えてぇ— ふさぽ@経営者 (@future_support) January 25, 2026
新入社員が動かないのは、本当に“やる気”の問題なのか?
指示は出しているのに、なぜ行動につながらないのか
新入社員が動かない、指示したはずなのに伝わっていない。
この時、多くの上司や先輩、経営者の方はこう感じています。
「ちゃんと説明したのに」
「言われた通りにやればいいだけなのに」
けれど、現場で起きていることを少しだけ俯瞰してみると、問題は“やる気”や“能力”以前のところにあるケースがほとんどです。
私がこれまで多くの現場で見てきた共通点は、
「何をやるか」は伝えているが、「なぜやるのか」は伝えていない、という点です。
人は、意味がわからないことに対しては、
・とりあえずやる
・言われたからやる
・怒られないためにやる
このどれかになります。
この状態では、実行はしても継続は生まれません。
なぜなら、行動のエンジンが「納得」ではなく「義務」だからです。
特に新入社員は、仕事の全体像も、判断基準も、まだ持っていません。
その中で「これをやっておいて」「先にこっちを優先して」と言われても、
頭の中ではこうなっています。
「……で、何のために?」
ここを埋める言葉がないまま指示を出すと、
動きが鈍い
質問が増える
同じミスを繰り返す
という現象が起き始めます。
これは能力の問題ではありません。
意味がつながっていないだけなのです。
だからこそ、次に出てくるのが、
あの口癖――「なぜならば」です。
「なぜならば」という口癖が、現場の空気を変える
意味が伝わると、人は自分ごとになる
現場で人が動き出す瞬間には、ある共通点があります。
それは、「指示を理解した瞬間」ではなく、
「意味を腑に落とした瞬間」
です。
ここで効いてくるのが、あの一言。
「なぜならば、◯◯だからです」
たったこれだけで、相手の中で仕事の位置づけが変わります。
たとえば、新入社員に
「この資料、今日中にまとめておいて」
と伝えるのと、
「この資料、今日中にまとめておいて。
なぜならば、明日の打ち合わせで全体の流れを共有したいから」
この二つでは、受け取られ方がまったく違います。
後者の場合、新人は
「自分の作業が、どこにつながっているのか」
「誰の役に立つのか」
を理解します。
すると、仕事は“作業”から“役割”に変わる。
これは私自身、数多くの経営者や幹部の方と現場を一緒に見てきて、何度も確認してきた事実です。
意味がつながった瞬間、人の目つきが変わる。
質問の質が変わる。
そして、指示を待つ姿勢から、自ら考える姿勢に切り替わります。
逆に、「なぜならば」が抜け落ちた指示はどうなるか。
・優先順位がつけられない
・判断ができない
・言われたこと以外はやらない
これは怠慢ではありません。
背景を共有されていない以上、判断できないのは当然なのです。
「なぜならば」とは、
相手を動かすための説得の言葉ではありません。
相手を“仲間にする言葉”です。
経営者や上司が見ている景色を、
ほんの一部でも言葉で共有する。
その積み重ねが、
「やらされ仕事」を
「自分ごと」に変えていきます。
実行も継続も生まれる指示の共通点
作業で終わる指示と、行動が続く指示の決定的な違い
行動が続くかどうかの分かれ道は、
「指示が正しかったか」ではありません。
その行動が、本人の中で“意味づけ”されているかどうかです。
作業で終わる指示には、ある共通点があります。
それは、「ゴールが相手の中に存在していない」こと。
「これをやっておいて」
「先にこれを片付けて」
言葉としては間違っていません。
しかし、この指示を受け取った側は、
“今この瞬間の作業”しか見えていない。
一方で、行動が続く指示には、必ず背景があります。
・なぜ今なのか
・なぜあなたなのか
・これがどうつながるのか
このどれか一つでも共有されていると、
人は自分で考え始めます。
ここで興味深いのは、
背景を理解した新人ほど、確認や相談が増えるという点です。
一見すると、手が止まっているように見える。
しかし実際には、
「どうすれば目的に近づけるか」を考え始めている。
これが、作業と行動の違いです。
作業は、言われた範囲で終わります。
行動は、目的に向かって広がります。
だから、行動が続く職場では、
上司や経営者の口から自然とこんな言葉が出ています。
「なぜならば、こういう狙いがあるからね」
これを毎回、丁寧に言語化する必要はありません。
しかし、意識として持っているかどうかで、
指示の質は確実に変わります。
新人に限らず、
人は“意味が見える仕事”に対しては、驚くほど粘り強くなります。
そしてこの積み重ねが、
「言われなくても動く人」を育てていくのです。
新人は“正解”ではなく、“背景”を求めている
若手世代が納得して動くために必要な関わり方
最近の若手世代は、指示に従わない――
そんな声を聞くことがあります。
しかし、現場を丁寧に見ていくと、
彼らは「指示を拒んでいる」のではありません。
「納得できないまま動くこと」を避けているだけなのです。
これは決して甘えではありません。
情報量が多く、選択肢が溢れる時代に育った世代だからこそ、
「意味のない行動」に対して、感度が高い。
だからこそ、関わり方のポイントは一つです。
答えを先に渡すのではなく、背景を共有すること。
「こうしておいて」ではなく、
「なぜならば、今こういう状況だから」
この一言があるだけで、
若手は“考える余地”を与えられたと感じます。
私が関わってきた企業でも、
新人育成がうまくいっている組織ほど、
上司が“説明上手”というより、“背景共有が自然”です。
しかも面白いのは、
背景を共有され続けた若手ほど、
いずれ「なぜならば」を自分の言葉で使い始めること。
部下に指示を出すとき、
「これはね、なぜならば…」
と語り始めるようになる。
この瞬間、育成は次のフェーズに入っています。
教えられて動く人から、
意味をつないで動かせる人へ。
これはスキルではありません。
日々の関わり方の積み重ねです。
上司・先輩・経営者の口癖が、組織文化をつくっている
無意識の一言が、育成力の差になる
人を育てているつもりでも、
実は育成力の差を生んでいるのは、
教え方の巧拙ではなく、無意識に使っている言葉だったりします。
経営者や上司ご本人は、
特別なことを言っているつもりはありません。
「それ、先にやっておいて」
「こっちを優先で」
「前も言ったよね」
どれも、現場ではよく聞く言葉です。
しかし、これらの言葉に
「なぜならば」が添えられているかどうかで、
相手の受け取り方は大きく変わります。
「それ、先にやっておいて。
なぜならば、後工程が詰まりやすいから」
たったこれだけで、
新人は“怒られないための行動”ではなく、
“全体を考えた行動”を学び始めます。
育成がうまくいっている組織ほど、
経営者や上司は「育てよう」と力んでいません。
むしろ、
自分が見ている背景や判断軸を、
日常会話の中で自然に漏らしている。
その無意識の一言こそが、
部下にとっては最高の教材になります。
口癖は、隠せません。
そして、口癖は文化になります。
どんな言葉が、
あなたの組織の“当たり前”になっているのか。
ここに気づけた瞬間から、
育成の質は確実に変わり始めます。
人が育つ組織に共通する、たった一つの視点
教え方ではなく、関わり方を見直すという選択
新入社員が動き出すかどうか。
それは、教え方のテクニックの問題ではありません。
どんな関わり方を、日常で積み重ねているか。
その象徴が、「なぜならば」という言葉です。
意味を伝える。
背景を共有する。
判断の軸を渡す。
これらは、時間もコストもかかりません。
必要なのは、少しの意識だけです。
それでも、この小さな違いが積み重なると、
数か月後、数年後に
「人が育つ組織」と「指示待ちの組織」という
大きな差になって現れます。
経営者や上司が変わると、
現場の空気が変わる。
空気が変わると、人が変わる。
私は、そんな現場を何度も見てきました。
もし今、
「言っているのに伝わらない」
「育てているはずなのに手応えがない」
そう感じておられるなら、
まずは今日の一言に、
「なぜならば」を添えてみてください。
そこから、
人が動き出す音が、
静かに聞こえ始めるはずです。
