よく聞かれる
「関西の方ですか」と
出身が大阪なので、知らずに方言を使ってるようだ
「ええやん」「ほんま」「また」「どんつき」「なんでやねん」etc
先日、後継者の方のサポートをする中で出てきたのは《経営者弁》という言葉
「理念 方針」「KPI 業績 数値」「まずやってみる」
あなたの口癖は ?— ふさぽ@経営者 (@future_support) December 18, 2025
無意識の一言で、素性は伝わってしまう
関西弁が出るから「関西の方ですか?」と聞かれる理由
よく聞かれます。
「関西の方ですか?」と。
自分では標準語で話しているつもりでも、
「ええやん」「ほんま」「なんでやねん」といった言葉が、ふとした拍子に口をついて出る。
その瞬間、相手は私の“出身”や“空気感”を、ほぼ正確に受け取っています。
ここで大事なのは、自分が関西弁を話そうとしているわけではないという点です。
意識して使っているのではなく、染みついた言葉が、無意識に出ているだけ。
にもかかわらず、その一言で素性が伝わり、相手の受け止め方や距離感まで決まっていく。
言葉とは、それほどまでに雄弁です。
私はこれまで、数えきれないほどの経営者や後継者と向き合ってきましたが、
第一声、あるいは何気ない相槌の一言で、
「この人は、現場型だな」
「この人は、理念先行型だな」
と感じ取ってしまうことがあります。
これも同じ構造です。
無意識に使っている言葉が、その人の立ち位置や役割を語ってしまっている。
関西弁という方言は、分かりやすい例にすぎません。
本質は、「人は、自分が思っている以上に、言葉で正体を明かしている」という事実です。
そして、ここから話はもう一段、深いところへ進みます。
実はこの構造は、経営の世界でも、まったく同じ形で起きているのです。
関西弁があるように、
経営者には、経営者特有の“言葉の使い方”がある。
私はそれを、ある現場をきっかけに
「経営者弁」と呼ぶようになりました。
次の章では、
「言葉が、相手の受け止め方や印象をどう変えているのか」
もう少し踏み込んで見ていきたいと思います。
言葉は、相手の受け止め方と印象を決めている
何を話すか以上に「どんな言葉で話しているか」
人は、話の内容だけで相手を判断しているわけではありません。
むしろ現実には、「どんな言葉で語られているか」によって、その人の印象や信頼度を決めています。
同じ内容でも、
「理念として大切にしています」と語る人と、
「なぜそれをやるのかを、何度も問い続けています」と語る人では、
受け取る側の印象はまったく異なります。
これは話し方の巧拙の問題ではありません。
その言葉が、日常的に使われている“自分の言葉”かどうか。
そこが、相手に見抜かれているのです。
経営者や後継者の方とお話ししていると、
「理念」「方針」「KPI」「数値」「まずやってみる」
こうした言葉が、まるで定型文のように出てくる場面があります。
もちろん、どれも経営に欠かせない大切な言葉です。
問題は、その言葉が自分の体験や判断と結びついた言葉になっているかどうか。
借り物の言葉は、どこか軽く響きます。
一方で、実体験を通して血肉化した言葉は、説明が少なくても相手に伝わる。
言葉の重さ、説得力、存在感がまったく違うのです。
後継者支援の現場でも、よくこうした場面に出会います。
正しいことを言っている。
学んできた言葉も使っている。
それでも、現場が動かない。
その理由はシンプルです。
言葉が「その人の言葉」になりきっていない。
言葉は、思考の結果であると同時に、
その人が日々どんな判断をし、どんな覚悟で立っているかを映し出します。
だからこそ、言葉ひとつで、
「この人に任せていいのか」
「この人についていきたいか」
が、無意識のうちに判断されてしまう。
関西弁が、長年の暮らしの中で自然と身についたように、
経営者の言葉もまた、日々の判断と向き合い続けた結果として滲み出るものです。
次の章では、
この構造をあえて言語化し、
関西弁になぞらえた「経営者弁」という視点から整理してみたいと思います。
関西弁になぞらえて見えてきた「経営者弁」という構造
経営者であることは、言葉づかいに滲み出る
先日、後継者の方をサポートしている場で、ふと出てきた言葉があります。
それが、「経営者弁」という表現でした。
関西弁という方言が、その人の育ってきた環境や文化を映し出すように、
経営者にも、経営者としての立場や役割がにじみ出る言葉づかいがある。
そんな感覚を、現場で共有した瞬間でした。
経営者弁とは、特別な専門用語を指しているわけではありません。
「理念」「方針」「数字」「KPI」「意思決定」
こうした言葉そのものではなく、それをどんな文脈で、どんな覚悟で使っているか。
たとえば、
「まずやってみる」という言葉ひとつ取っても、
・思考停止の逃げ言葉なのか
・仮説検証のスタートの合図なのか
で、まったく意味が変わります。
聞いている側は、その違いを、意外なほど正確に感じ取っています。
関西弁が“話そうとして話している言葉”ではなく、
“暮らしの中で自然と染みついた言葉”であるように、
経営者弁もまた、経営という実践の中で身についた言葉です。
だからこそ、肩書きだけ経営者でも、
言葉が現場寄りのままでは、周囲は「経営者」として受け止めきれない。
逆に、後継者であっても、
言葉づかいが経営者のそれになってくると、
不思議と周囲の反応が変わり始めます。
「この人、腹を括ったな」
「この人、決める立場に立ち始めたな」
そんな空気が、言葉から伝わるのです。
経営者であるかどうかは、登記や肩書きだけで決まるものではありません。
経営者として立っているかどうかは、使っている言葉に現れる。
関西弁になぞらえて「経営者弁」と呼んだのは、
それが生まれや育ちの問題ではなく、
環境と経験によって、誰でも身につけていくものだと伝えたかったからです。
次の章では、
この「言葉が変わることで、存在感が変わる」現象を、
経営者・後継者という立場から、もう少し具体的に掘り下げていきます。
経営者・後継者の存在感は、使っている言葉で決まる
経営者たる理由は、肩書きではなく言葉にある
後継者支援の現場で、よく感じることがあります。
それは、「立場は後継者でも、言葉がすでに経営者になっている人」と、
「肩書きは経営者でも、言葉がまだ現場のままの人」が確かに存在するという事実です。
どちらが優れているという話ではありません。
ただ、周囲の受け止め方が、明確に違ってくる。
経営者としての存在感は、
「社長だから」「後継者だから」というラベルで生まれるものではありません。
日常的に使っている言葉が、その人の立ち位置を周囲に伝えているのです。
たとえば、現場の出来事に対しても、
「誰が悪いんですか?」
と問う人と、
「この判断の責任はどこにありますか?」
と問う人とでは、視点が違う。
前者は当事者としての視点、
後者は全体を背負う立場としての視点です。
言葉が変わると、思考の重心が変わる。
思考の重心が変わると、周囲の見方も変わっていきます。
後継者の方が、ある時期から
「自分がどう思うか」よりも
「この会社として、どう決めるべきか」
という言葉を使い始めた瞬間があります。
その時、現場の空気が変わりました。
誰かが指示したわけでも、制度を変えたわけでもありません。
言葉が変わったことで、存在感が変わったのです。
経営者たる理由は、
「何を知っているか」でも
「どれだけ経験があるか」でもなく、
どんな言葉で、何を引き受けているかに表れます。
だからこそ、経営者弁は、
自分を大きく見せるための言葉ではありません。
覚悟を引き受けた結果として、
自然と使われるようになる言葉なのです。
次の章では、
この「経営者弁」が身についてくると、
経営者としてどんな変化が起きるのか。
“一人前”という言葉の意味を、丁寧に整理してみたいと思います。
経営者弁を使いこなせるようになったとき、経営者として一人前になる
言葉が変わると、覚悟と判断の質が変わる
ここでいう「一人前」とは、
年数や実績、会社の規模で決まるものではありません。
ましてや、完璧な経営者になるという意味でもありません。
私が現場で感じている「一人前」とは、
経営者としての判断を、自分の言葉で引き受けられる状態のことです。
経営者弁を使いこなせるようになると、
言葉が先に出るのではなく、
考えた結果として言葉が出るようになります。
「誰かが決めた方針」ではなく、
「自分が決めた判断」として語れるかどうか。
この違いは、現場に与える影響がまったく違います。
後継者の方が、
「父が決めてきたやり方なので」
から
「この判断は、今の会社には必要だと考えています」
と語れるようになった瞬間があります。
その言葉には、まだ迷いも不安もありました。
けれど同時に、経営者として立ち始めた覚悟が、はっきりと滲んでいました。
経営者弁とは、
流暢に話す技術ではありません。
経営用語を正しく使えることでもありません。
自分の言葉で、
自分の判断を語り、
その結果を引き受ける。
その循環が回り始めたとき、
人は「経営者として一人前になりつつある」と言えるのだと思います。
ここまで来ると、
周囲からの見え方も変わります。
指示を待つ存在ではなく、
決める人として見られるようになる。
そして、経営者本人の内側でも、
「やらされている経営」から
「引き受けている経営」へと、感覚が切り替わっていく。
次はいよいよ、最後の章です。
ここまで読み進めてくださったあなた自身に、
静かに問いを返したいと思います。
あなたは今、どんな言葉で経営を語っているだろうか
口癖に気づくことが、次のステージへの入口になる
ここまで読み進めてくださった方は、
おそらく一度は、ご自身の口癖を思い浮かべられたのではないでしょうか。
何気なく使っている言葉。
会議で繰り返しているフレーズ。
判断に迷ったとき、つい口にしてしまう一言。
それらは、偶然でも癖でもありません。
今のあなたが、どこに立って経営をしているかを映し出す鏡です。
「忙しいから」
「前からそうしているから」
「とりあえず様子を見よう」
こうした言葉が増えているとしたら、
それは能力の問題ではなく、
判断を引き受ける余白が、少し狭くなっているサインかもしれません。
逆に、
「何を守りたいのか」
「今回は、何を捨てる判断なのか」
そんな言葉が自然と出てくるとき、
経営者としての軸は、確実に育っています。
口癖を変えようとしても、
いきなり変わるものではありません。
ただ、気づくことはできます。
自分は今、どんな言葉を繰り返しているのか。
その言葉は、覚悟から出ているのか、
それとも逃げから出ているのか。
この問いを、自分に向けられるようになるだけで、
経営の質は少しずつ変わっていきます。
私は、経営者や後継者の方と向き合うとき、
答えを教えるよりも、
その人の言葉を一緒に見つめ直す時間を大切にしています。
なぜなら、
言葉が変わると、判断が変わり、
判断が変わると、行動が変わり、
やがて、会社の空気そのものが変わっていくからです。
あなたは今、
どんな言葉で、経営を語っていますか。
その一言に、
次のステージへのヒントが、きっと隠れています。
