「◯◯合い」が組織をつくる──経営者が気づいていない“コミュニケーションの癖”とは?

経営者に必要なノウハウ

「◯◯合い」が組織をつくる──経営者が気づいていない“コミュニケーションの癖”とは?

2025年12月11日

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ふさぽ

後継者をホンマモンに育む、応援をしています。社長を19年経験してわかったこと。それは'トップ自らの人生'を豊かにすること…人との”ツナガリ”づくりを通して。その入り口として、口癖にこだわり、Xでは発信中。『口ぐせは生きグセ』人生観に裏うちされた、事業づくりがトクイ種目。 ホンマデッカァw

なぜ「◯◯合い」が組織の質を決めるのか?

コミュニケーションは“言葉”ではなく“合い方”で現れる

私がこれまで1万人を超える経営者やリーダーの方々と向き合ってきて、強く感じていることがあります。それは――組織を動かしているのは、発せられた“言葉”そのものではなく、その裏側にある合い方であるということです。

たとえば同じ「話そう」という言葉でも、
そこににじむ温度によって、まったく違うメッセージになります。

「話し合いになっているのか」
「言い合いになってしまっているのか」
「探り合いになってしまっているのか」

この違いは、経営者自身の“日常の在り方”をそのまま映し出しています。
私自身、独立してから数十年、痛いほど思い知らされてきました。リーダーである私の空気が、そのまま組織の空気になっていくのです。

経営者が、社員との会話で少しイライラしているだけで、
現場では「最近、社長の機嫌が悪いらしい」「今日は控えておこう」という“探り合い”が始まります。

逆に、経営者が日ごろから相手の話を丁寧に受け止め、
「まずは聴いてみよう」という姿勢を示していると、
社員同士の間にも自然と“話し合い”“支え合い”が生まれていきます。

組織のコミュニケーションは、リーダーの日常の姿勢がつくる影の文化。
言葉よりも、にじみ出る“合い方”のほうが圧倒的に強い影響力を持つのです。

だからこそ、経営者が自分の“合い方の癖”に気づくことは、
組織づくりの第一歩であり、最も投資対効果の高い取り組みになります。

「なんでこの会社は会議で本音が出てこないのだろう?」
「なぜ社員同士が協力し合えないのか?」

こうした現象の背景には、必ず“合い方の質”があります。
組織は、経営者の縮図なのです。

組織文化は日常の“関わり方の積み重ね”でつくられる

会社には必ず“空気”があります。
それは理念でも方針でもなく、もっと目に見えないもの──
日々の小さな関わり方の積み重ねによってつくられていきます。

私はこれまで数多くの企業を訪問してきましたが、
受付での一言、すれ違った社員さんの表情、会議室までの案内の仕方、
そうした何気ない行動のひとつひとつが、その会社の現在地を雄弁に語ります。

経営者がどれだけ立派な経営理念を掲げていても、
合い方”の質が伴っていなければ、組織はどこかで止まってしまいます。

たとえば――

・困っていそうな人がいても誰も声をかけない
・会議で沈黙が流れ、意見を言うことにブレーキがかかっている
・できていない部分よりも、粗探しの方が先に出てしまう

こうした状態は、突然現れるわけではありません。
日常の中に潜む“ちょっとした無関心”や“気遣いの減少”が蓄積し、
やがて組織全体の空気をつくっていきます。

逆に、元気な企業には共通点があります。

・「ありがとう」が自然と行き交う
・相手の意見を一旦受け止めてから話す
・困っている人がいれば、サッと誰かが動く

こうした日常の積み重ねが、
支え合い”や“認め合い”といった温かい文化を育てていくのです。

私自身、60歳を超えてなお新しい挑戦を続けられているのは、
周りの方に支えられ、関わり合っていただける環境があるからです。
頂いたご縁のひとつひとつが、私の人生と仕事を豊かにしてくれました。

経営は仕組みで動きますが、組織は関係性で動きます。
その関係性を形づくるのは、経営者の日々の“合い方”の姿勢です。

だからこそ、組織文化は“決めてつくる”のではなく、
積み重ねて育てるものなのです。

経営者が無自覚なコミュニケーションの癖とは?

「話し合い」と「言い合い」の境界

経営者の方とお話をしていると、
「うちは話し合いを大切にしているんです」とおっしゃる場面に出会います。
しかし実際に会議や打ち合わせの様子を拝見すると、
そこには 話し合い”ではなく“言い合い が起きていることがあります。

両者の違いは紙一重。
けれど、組織の未来を大きく左右する境界です。


● 話し合いは「未来」に向かう

話し合いとは、
相手の意見を受け止めながら、より良い未来に向けて共に創る姿勢です。

・相手の言葉を遮らず、まず聴く
・自分の意見を押しつけず、選択肢を広げる
・「どうすれば良くなるか?」という視点が中心

話し合いには、未来への希望が宿っています。
お互いの知恵が混ざり合い、新しい可能性が生まれる場です。


● 言い合いは「過去」に引っぱられる

これに対して言い合いは、
相手を打ち負かすことが目的にすり替わった状態です。

・相手の発言を途中で切る
・自分が正しいことを証明したい
・「誰が悪いか?」という視点が中心

すると、その場は途端に“未来をつくる場”ではなく、
“過去を蒸し返す場”に変わります。

言い合いはエネルギーを消耗させ、
話し合いはエネルギーを再生させる。
この違いは、経営者の日常の“合い方の癖”に深く関係しています。


● 経営者が境界を超えてしまう瞬間

経営者は責任感が強いがゆえに、
気づかないうちに 正しさの主張 に入りやすいものです。
私自身も若い頃、何度もこの落とし穴に足を踏み入れました。

「こんなに頑張っているのに、なぜ伝わらないんやろ…」
そんな気持ちが募った瞬間、
話し合いは言い合いに変わってしまうのです。

しかし、リーダーがほんの少しだけ
相手の背景を受け止める 姿勢を持つだけで、
その場の空気は驚くほど変わります。

同じ会議でも、
・知恵を出し合う場になるのか
・正しさをぶつけ合う場になるのか

その境界線を決めているのは、
経営者自身の在り方なのです。

「探り合い」が生まれるリーダーの影響

組織が停滞し始めたとき、必ずと言っていいほど現れるのが 探り合い です。
私は数多くの企業支援をしてきましたが、探り合いが生まれる背景には、共通して リーダーの在り方 が影響しています。
これは責めるという意味ではありません。
むしろ、リーダーが変わることで最も改善しやすい領域なのです。


● 探り合いは「言葉」ではなく「空気」で起きる

探り合いが生まれる瞬間は、とても静かです。

・「今日はどんな雰囲気だろう?」
・「これ言って大丈夫かな?」
・「社長、最近ちょっと怒ってる?」

こうしたメンバーの“心のつぶやき”が増えるほど、探り合いが濃くなるのです。

ポイントは、社員が探り合いを“選んでいる”のではなく、
空気がそうさせているということ。

その空気の発信源は、多くの場合、リーダーです。


● リーダーの“何気ない言動”が組織に影響している

探り合いは、強い指示や厳しい口調だけで起きるわけではありません。

むしろ――
・忙しさから話を最後まで聞かずに返してしまう
・考えごとをしながら返事をしてしまう
・機嫌が悪い日が続く
・意見に対して咄嗟に否定してしまう

こうした 些細な言動の積み重ね が、
社員に「今日は言わない方が安全だな」という“学習”を与えてしまうのです。

私はこれまで、たくさんの経営者と対話をしてきましたが、
多くのリーダーはこの影響力の大きさに気づいていません。
自分では普通にしているつもりでも、社員は毎日、リーダーの空気を敏感に受け取っています。


● 経営者が“静かに変わる”と、探り合いは必ず溶けていく

嬉しいことに、探り合いが生まれるのもリーダーの影響なら、
解けていくのもまたリーダーの影響です。

・相手の話を少し丁寧に聴く
・「どう思う?」と一言添えてみる
・否定の前に一度、受け止める
・“機嫌”の自己管理を意識する

こうした小さな変化が、
社員の「話していいんだ」という安心を静かに育てます。

安心が増えた瞬間、組織の探り合いはふっと消えていきます。
その変化を実感した経営者の方が、
「ほんまに不思議やな、水野さん。私が変わると、こんなに空気って変わるんやなぁ」
とつぶやかれたことがあります。

まさにその通りで、
組織の“合い方”の質を変える最大の起点は、経営者自身の在り方なのです。

無意識の行動が社員の“合い方”に連鎖する

経営者の“無意識の行動”ほど、組織に強く影響を与えるものはありません。
意図せずにしている姿勢や表情、ちょっとした口癖――
それらはすべて、社員にとっては 社長の基準 として映し出されます。

私が支援に入る企業でも、
「社長はそんなつもりじゃなかった」
「社員はそんな受け取り方をしていたの?」
という“すれ違いの構図”がしばしば生まれています。

両者の間に何があるのかというと、
その答えが 無意識のメッセージ です。


● リーダーの無意識は、社員の“行動基準”になる

たとえば――

・忙しいときに返事がぶっきらぼうになる
・会議で意見を出してほしいと思いながらも、つい先に結論を言ってしまう
・社員の失敗に対して表情が強く出てしまう
・「またか」と小さくつぶやいてしまう

リーダー自身はほんの一瞬のことだと思っています。
しかし社員にとっては、
空気の変化”として強烈に受け取られることがあります。

そして社員は、こうやって学習していきます。

「社長が忙しそうなときは話しかけない方がいい」
「この件は触れない方が安全だ」
「意見しても否定されるかもしれない」

これが積み重なると、いつの間にか
探り合い”“言い合いを避ける沈黙”“協力しない安全策
といった行動に連鎖していくのです。


● 無意識の連鎖は、社風さえ変えてしまう

恐ろしいのは、この連鎖が チーム全体の関わり方に広がることです。

・リーダーが否定的だと、社員同士も否定的になる
・リーダーが聴かないと、社員同士も聴かなくなる
・リーダーが褒めないと、認め合いが生まれない

まるで“鏡写し”のように、
経営者の無意識は組織全体へ波紋のように広がっていきます。

これは責任が重いという意味ではなく、
リーダーが変われば組織は劇的に変わるという希望でもあります。


● 経営者が“気づく”だけで、連鎖は止まり、変化が起きる

無意識の行動は、気づいた瞬間に変えられます。
意識した日から、会社の空気は確実に変わり始めます。

・話を最後まで聴く
・表情を少し柔らかくする
・否定ではなく「まず受け止める」を意識する
・意図を言葉にして伝える

こうした小さな変化が、
社員にとっては 安心」のメッセージ になるのです。

安心が生まれれば、
社員の“合い方”は支え合い・語り合い・認め合いへと自然に変わっていきます。

私が大切にしてきた言葉に、
意識する1日は、意識しない100日に勝る
というものがあります。

リーダーのわずかな意識の変化が、
組織の未来を静かに、しかし確実に動かしていくのです。

成果を生む組織は“どんな◯◯合い”をしているのか

「支え合い」「助け合い」が自然に起きる土壌

組織が成果を生み始めるとき、必ずといっていいほど現れるのが
支え合い”や“助け合い”が当たり前になっている状態です。
これは、制度や仕組みだけでは決して生まれません。
むしろ、もっと静かで、もっと人間的なところから育まれていきます。

私自身、全国の企業を訪問する中で、
「この会社は強いな」「この組織は伸びるな」と感じる瞬間があります。
その会社に共通しているのが、社員同士の自然な“支え合い”です。


● 支え合いの根底にあるのは「心理的安全性」

支え合いが生まれる組織には、明確な条件があります。
それは 安心できる空気があるかどうか です。

・困っていることを相談しても否定されない
・ミスを隠さなくてよい
・弱みを見せても価値を下げられない
・「助けて」と言える関係性がある

この安心の土壌なしに、支え合いは育ちません。

助け合い”とは、実は勇気の交換です。
助けを求める勇気と、それを受け止める勇気。
その両方が存在する組織は、強い。


● 支え合う組織は、リーダーが「背中」で作る

支え合いの文化には、必ず リーダーの背中 が存在します。

・失敗しても責めず、次の行動に導く
・社員が迷っているときに、そっと言葉を添える
・弱っている人に声をかける
・「ありがとう」を積極的に伝える

こうした小さな姿勢を、社員は見ています。
見ているだけではなく、“感じて”います。

すると社員同士の間にも、同じ空気が広がっていく。

以前ある若手社員が、こんなことを言っていました。

「うちの社長って、誰かが困っているとすぐに気づくんですよね。
だから僕らも、気づいたら動くのが当たり前になりました」

まさにこれが、組織に広がる“背中の連鎖”です。


● 自然な支え合いは「スピード」と「成果」を生む

助け合いの文化は、単なる仲良しグループではありません。
ビジネスの現場では、とてつもないスピードと成果を生み出します。

・情報共有が速くなる
・トラブル対応が早期に終息する
・他部署との連携がスムーズになる
・役割の壁が低くなる

結果として、
組織全体の生産性が劇的に向上するのです。

助け合いが自然と起きる状態は、
会社の“人間関係という資産”が最大限に活用されている状態です。


● リーダーの「合い方」が、支え合いの文化の源泉

支え合いが自然に起きる組織と、
誰も声をかけない組織の違いは何か。

それは――
リーダーが支え合う姿勢を持っているかどうか。

そこに尽きます。

リーダーが孤独な背中を見せれば、社員も孤立します。
リーダーが支える背中を見せれば、社員同士も支え合います。

“◯◯合い”は、会社の未来をつくる鏡なのです。

「語り合い」が生む共創のエネルギー

組織が本当に強くなり始めると、
社員同士、そして経営者と社員の間で
自然と 語り合い が生まれてきます。

“話し合い”でもない、“言い合い”でもない。
未来をつくるために、互いの想いを持ち寄る時間。
それが「語り合い」です。

私は長年、全国の企業を訪れてきましたが、
成長している会社ほど、語り合いの場に“熱”があります。
それは決して派手なものではなく、静かで、深く、温度を帯びています。


● 語り合いは「感情」と「事業」をつなぐ

語り合いのすごさは、
人の感情と事業のビジョンを同じラインに乗せることができる点です。

ただの情報交換ではなく、
ただの議論でもない。

・なぜこの仕事をしているのか
・何のために力を尽くしているのか
・この会社をどうしていきたいと思っているのか

想い”というエネルギーが混ざり合うことで、
事業に魂が入ります。

これが起きた瞬間、
組織は一気に前へ動き出します。


● 語り合いがある組織は、リーダーの「開き方」が違う

語り合いは、勝手には生まれません。
そこには必ず、リーダーの開いた姿勢があります。

・自分の弱みも話す
・挑戦の裏側の葛藤を共有する
・社員の声にじっくり耳を傾ける
・結論を急がず、想いの背景を尋ねる

こうしたリーダーの姿勢が、
社員の心を開き、語り合いのタネを育てます。

とある社長は、こう言われていました。

「話しているときより、語っているときの方が、
社員が一番“人間”として向き合ってくれるんです。」

この感覚は、まさに語り合いの本質です。


● 語り合いは“創造力”を引き出す

語り合いが生まれる組織は、
イノベーションが自然に起きます。

・新しい商品アイデア
・業務改善の工夫
・部署を超えた横の連携

これらは、命令や制度ではなく、
語り合いの中から生まれるものです。

言葉と想いが交わり、
視点が混ざり、
体験が重なり合う。

そのプロセスが、組織の創造力を引き出すのです。


● 語り合いを生むのは、リーダーの“合い方”

結局のところ、
語り合いの源泉は リーダーの在り方です。

・社員を信じている
・社員を一人の人間として尊重している
・社員の可能性を見ている

こうした姿勢がにじみ出ると、
社員は自然と語り始めます。

語り合いは、
会社の未来をつくる“共創のエネルギー”そのものです。

「認め合い」が育てるリーダーシップの器

「認め合い」と聞くと、
単なる“ほめる文化”のように受け取られることがあります。
しかし、私が経営者支援の現場で見てきた
本当の認め合いは、もっと奥深く、もっと力強いものです。

認め合いとは――
お互いの存在と努力を、価値あるものとして受け止め合う関係
この関係性が育つと、組織の空気は驚くほど変わります。


● 認め合いは「自信」を育てる

人は、誰かに認められたとき、
心の奥で静かにスイッチが入ります。

・自分の仕事は意味がある
・自分はここにいていい
・自分の存在が役に立っている

こうした感覚は、
社員の自信を深いところから支えます。

自信を持った社員は、自然と行動が変わります。

・判断が速くなる
・挑戦へのハードルが下がる
・人の意見を素直に受け止められる

つまり、**認め合いは社員の成長に火をつける“起爆剤”**なのです。


● 認め合いは「リーダーの器」を育てる

一方で、認め合いが育つと、
最も成長するのは実はリーダー自身です。

私は経営者の方に、たびたびこうお伝えします。

「人を認める力は、リーダーの器の大きさそのものです。」

相手を認めるという行為には、
・余白
・余裕
・視野
が必要です。

人を認めることができるリーダーは、
組織全体の可能性を引き出す“場”をつくります。

逆に、認め合いが育っていない組織では、
リーダー自身が“孤軍奮闘”になりがちです。
社員が育たず、結果的にリーダーの負荷が増える。

認め合いとは、
リーダーが一人で背負わない組織をつくるための大切な仕組みなのです。


● 認め合いは「継続」ではじめて文化になる

1回ほめただけで文化にはなりません。

・小さな努力を見つけて言葉にする
・成果だけでなく、姿勢やプロセスにも光を当てる
・人前でも、個別にも、認める
・役職や年齢に関係なく認め合う

この“継続の積み重ね”が、
組織に温かくて力強い文化をつくります。

ある社長がこんなことを言われました。

「社員を認め始めると、不思議と私自身が変わるんです。
見える景色が柔らかくなるというか…器が広がる感じがするんですよ。」

この言葉には、大きな真理が込められています。

人を認めるという行為は、
同時に自分自身の成長にもつながる。

認め合いが育つ会社は、
リーダーも、社員も、組織も、
すべてが伸びていくのです。

不調な組織に共通する“負の◯◯合い”の正体

「睨み合い」「奪い合い」「小競り合い」が生まれる理由

どんな組織も、本来は“支え合い”や“認め合い”を望んでいます。
しかし現場を見ていると、時に反対方向の「◯◯合い」が起きてしまいます。
それが、
睨み合い奪い合い小競り合い
といった負の合い方です。

私はこれまで多くの企業を見てきましたが、
これらの現象には、必ず共通する原因があります。
それは、個人の性格の問題ではなく、
**組織に流れる“心理的な構造”**です。


● 負の合い方が生まれるとき、組織には「不足感」が漂っている

睨み合い、奪い合い、小競り合い…
これらの根底には、ほぼ必ず 何かが足りない”という恐れがあります。

・情報が足りない
・評価が見えない
・リーダーの意図が伝わっていない
・人手が足りない
・安心が足りない

不足感”が生まれると、人は無意識に自分を守ろうとします。
その防衛反応が、結果的に負の「◯◯合い」を生み出してしまうのです。


● 睨み合いは「不安」の表れ

睨み合いが起きる組織を覗いてみると、
メンバー同士が互いの行動を「監視」するような状態になっています。

これは、
何が正しいのか分からない
間違えると責められるかもしれない

という不安から生まれます。

不安が強い組織では、
挑戦よりも“失敗しないこと”に意識が向いてしまい、
結果的に生産性が落ちていきます。


● 奪い合いは「評価の曖昧さ」から生まれる

評価基準が不透明な組織では、
成果よりも“自分の立場”を守ることが優先されます。

・手柄を取られたくない
・損な役割が回ってきたくない
・自分だけが損をしたくない

こうした心理が強くなると、
自然と“奪い合い”が起き始めます。

しかしこれは、個人が悪いわけではありません。
評価の曖昧さが、組織の空気を乱しているのです。


● 小競り合いは「コミュニケーションの断絶」

小競り合いが増えている会社では、
決まって“話す量”が減っています。

・背景の共有がない
・立場の違いが理解されていない
・誤解が解消されない

こうした状態が続くと、
ちょっとした行動や発言が、
不必要な“衝突のタネ”になってしまいます。

小さな摩擦が積もると、
組織のエネルギーは少しずつ奪われていきます。


● 負の合い方の根本原因は「リーダー不在の空気」

ここでいう“不在”とは、物理的な不在ではなく
リーダーの意図や姿勢が伝わっていない状態のことです。

・方針が曖昧
・判断基準が共有されていない
・感情のマネジメントができていない
・困っている社員に気づけていない

こうした状況では、
社員が“自分の身を守るスイッチ”を入れてしまい、
結果的に負の「◯◯合い」が増えてしまうのです。


● だからこそ、リーダーが変われば空気は一気に変わる

私がこれまでご支援した企業の多くで、
負の「◯◯合い」が改善した瞬間がありました。

それは決まって――
リーダーが自分の“合い方”を整えたときです。

・意図を言葉にする
・評価を明確にする
・丁寧に聴く
・感情を整える
・弱さも共有する

すると、組織に安心が戻り、
負の合い方は自然と消えていく。

まるで霧が晴れるように、
人間関係の光景が変わっていくのです。

リーダーの“在り方”が空気を決める

これまで多くの経営者の方々と向き合ってきて、
私が最も深く実感していることがあります。
それは――
組織の空気は、リーダーの“在り方”そのものから生まれる
ということです。

言葉よりも強く、
行動よりも早く、
リーダーの在り方は組織に浸透していきます。

私は「経営者は無言の発信者である」とよくお伝えします。
リーダーの表情、姿勢、心の置き場――
これらが、会社全体の空気を静かに決めていくのです。


● 在り方は「見えないメッセージ」として伝わる

リーダーは、社員に何も言わなくても伝えてしまいます。

・落ち着いている日は、社員も落ち着く
・焦っている日は、社員もせわしなくなる
・目が笑っていない日は、社員も表情が固くなる
・楽しそうに働いている日は、社員の足取りが軽くなる

これは不思議なようで、極めて自然な現象です。
人は、言葉よりも“空気”から影響を受ける生き物だからです。

リーダーが整っていると、組織も整っていく。
逆に、リーダーが揺れていると、空気もざわつく。

これこそが、在り方が空気を決める理由です。


● リーダーの在り方は「感情」と「勘定」のバランスで決まる

私は“2つのかんじょう(感情と勘定)”を
リーダーが扱えるかどうかが重要だと考えています。

・感情が暴れれば、空気が乱れる
・勘定(数字)が見えなければ、組織が迷う
・どちらかに偏れば、経営はブレはじめる

在り方とは、
心の状態(感情)と、経営の軸(勘定)の両方が整っている状態です。

このバランスが取れているリーダーは、
言葉を発しなくても、周囲に安心と明るさを与えます。

社員はその空気を敏感に感じ取り、
支え合い・認め合い・語り合う動きが自然と生まれていくのです。


● 在り方が整うと、社員の“合い方”が変わる

不思議なことに、
リーダーが在り方を整えると、社員の行動が変わっていきます。

・言葉が柔らかくなる
・会議の空気が軽くなる
・困っている人に声をかけるようになる
・意見が出やすくなる
・「やってみます」が増える

まるで、
リーダーという太陽の光に照らされて、
組織という庭が自然と育っていくような感覚
です。

在り方は技術ではありません。
姿勢であり、心構えであり、人生観そのものです。


● 「経営とは、在り方が結果をつれてくる営み」

リーダーの在り方が変わると、
行動が変わり、
行動が変わると、
社員の合い方が変わり、
合い方が変わると、
組織の成果が変わります。

結局のところ、
経営とは在り方が結果をつれてくる営みなのです。

私はこれまでの人生で、
九死に一生を得る経験を三度し、
「生かされている命」を深く感じながら
経営者支援に取り組んできました。

その経験が教えてくれた答えはシンプルでした。

リーダーの在り方が変われば、組織の未来は必ず変わる。

これは揺るぎない真実です。

放置すると組織はどう崩れるのか

負の「◯◯合い」──睨み合い、奪い合い、小競り合い。
これらは自然治癒することはありません。
むしろ、放置すれば必ず組織の深いところから静かに崩れていくものです。

私はこれまで数多くの組織を見てきましたが、
崩れ方には一定の“順序”があります。
その過程を知ることが、崩壊を未然に防ぐ大きなヒントになります。


● ① 小さな摩擦が「見て見ぬふり」される

最初のサインはごく小さなものです。

・気づかないふり
・声をかけない
・連絡を先延ばしにする

こうした“小さな無関心”が積み重なると、
組織の温度が下がり始めます。

社員は無意識にこう思うようになります。

「ここでは、助けても意味がないのかもしれない」

これが崩れ始めの第一歩です。


● ② 悪い空気が“当たり前”になる

次に訪れるのは、
負の状態が日常化してしまう段階です。

・意見が出ない会議
・声のかからない現場
・連携しない部署間
・冷たい反応が普通になる

怖いのは、この段階になると
誰も“異変”として認識しなくなることです。

「うちはこういう会社だから」と諦めが染み込み、
組織の活力は目に見えないうちに奪われていきます。


● ③ 優秀な人から離れていく

この段階までくると、
会社にとって最も痛手となる現象が起きます。

それは、
優秀な人・感じる人・未来をつくる人ほど早く辞めていくということ。

感性の鋭い人ほど、
空気の変化に敏感で、
未来に不安を感じた瞬間に動き始めます。

残るのは、
不安に慣れてしまった人、
変化を望まない人です。

組織の成長エンジンが静かに消えていきます。


● ④ 組織の「未来」を語れなくなる

組織が崩れる最後の段階は、
誰も未来の話をしなくなる状態です。

・挑戦の話が出ない
・改善提案が出ない
・会議で沈黙が増える
・「どうせ変わらない」と思われている

未来を語れない組織は、
現状維持ではなく“現状後退”に入っています。

この状態になると、
リーダーがいくら前向きな言葉を発しても届きません。
土台である“合い方の質”が崩れているからです。


● では何が組織の崩れを止めるのか?

崩壊の連鎖を止めるのは、
制度でもルールでもありません。

それは――
リーダーの小さな在り方の変化です。

・話を最後まで聴く
・感情を整える
・意図を丁寧に伝える
・認める、寄り添う、励ます
・自分の弱さも共有する

こうした小さな行動ひとつひとつが、
“安心”を組織に取り戻します。

安心が戻ると、
支え合い・語り合い・認め合いが再び動き出します。

つまり、
崩壊の連鎖を止めるのも、再生の連鎖をつくるのも、
すべてはリーダーの“合い方”から始まる
のです。

“合い方”を変えると組織が動き出す──経営者が今日から実践できること

関係性を整えるシンプルな三つのステップ

組織づくりは本来、とてもシンプルです。
私がこれまで経営者の方々と歩んできて確信しているのは、
“合い方”の質を変えるだけで、組織は驚くほど動き出すという事実です。

難しい理論も、大がかりな制度改革もいりません。
今日から実践できて、かつ効果が積み重なっていく
三つのステップがあります。


● ① 相手の話を「最後まで聴く」

最初のステップは、どの組織にも共通する“土台”です。

リーダーが最後まで話を聴くと、
相手の心に 私は大切にされている という感覚が生まれます。

この安心感が、
・意見を言う
・相談する
・助け合う
といった行動の源になります。

実際、多くの企業で
「社長が聴いてくれるようになってから空気が変わった」
という声を耳にします。

逆に、話を遮る習慣が続くと、
社員は“探り合い”へと傾き始めます。

“聴く”という行為は単なる技術ではなく、
関係性を育てる行為そのものなのです。


● ② 感情ではなく「意図」を伝える

次のステップは、
リーダーが自分の感情に左右されず、
意図を丁寧に伝えることです。

・なぜこれをお願いしたいのか
・何を大切にしてほしいのか
・どこに向かっているのか

意図が伝わると、
社員は安心して動けるようになります。

逆に、意図が曖昧なまま指示だけが飛ぶと、
誤解や不安が生まれ、“言い合い”や“奪い合い”に発展してしまいます。

意図を伝えることは、
社員の不安を取り除き、未来の方向性を照らす行為です。


● ③ 小さな努力を「認める」

三つ目は、関係性を強くする決定打です。
それは――
小さな努力を丁寧に認めること

・ありがとう
・助かったよ
・気づいてくれて嬉しい
・よく見てくれているね

こうした一言は、
たった数秒の投資で組織の空気を温かくします。

社員は認められると、
「もっと力になりたい」
という前向きなエネルギーを自然と生み出します。

認める文化が育つと、
支え合い・語り合い・助け合いが連鎖し、
組織は“強く・温かく・しなやか”になります。


● 三つのステップがつくる「安心」こそが、組織の土台

この三つのステップは、どれもシンプルです。
しかし、実践するほどに
組織の安心が積み上がっていく構造になっています。

安心があると、
人は挑戦し、協力し、意見し合うことができます。
逆に安心を失うと、
探り合い・防御・沈黙が起きてしまいます。

結局、組織を動かすのは
制度ではなく“空気”。
その空気をつくるのは、
リーダーの合い方の積み重ねなのです。

経営者自身が変わると、社員の“合い方”が変わる

私はこれまで1万人以上の経営者やリーダーの方々と向き合ってきましたが、
その中で何度も何度も確信してきたことがあります。

それは――
経営者が変わると、社員の“合い方”は必ず変わる
ということです。

これは精神論ではありません。
組織の構造そのものに関わる“法則”です。


● 社員はリーダーの「最新バージョン」を見ている

社員は、過去のリーダーではなく、
今のリーダー の姿勢や空気をキャッチしています。

・以前より柔らかい言葉を使っている
・前より話を聴いてくれる
・少し笑顔が増えている
・表情が落ち着いている

こうした微細な変化を、社員は驚くほど敏感に感じ取ります。

リーダーが姿勢を整えた瞬間、
社員の心の中に「安心」が生まれます。

安心が生まれると、
“探り合い”は減り、
“支え合い”や“語り合い”へと動き始めます。


● リーダーの変化は、社員の行動に静かに伝染する

私はよく
「経営者の変化は、組織の未来予告だ」
とお伝えします。

経営者が変化すると、
まず幹部が動き、
次に現場が動き、
最後に組織全体の空気が変わります。

これは、時間差のある“温度の伝染”です。

・落ち着きが伝わる
・優しさが伝わる
・丁寧さが伝わる
・本気が伝わる

これらはすべて、
経営者が発信源となって組織を温めていきます。


● 経営者が変わる姿そのものが「教育」になる

社員が最も影響を受けるのは、
言葉より、仕組みより、指示より――
リーダーの在り方そのものです。

リーダーが、
・話を丁寧に聴く
・意図を伝える
・感情を整える
・人を認める

この姿勢を積み重ねることが、
社員にとって最高の教育になります。

とある企業で、若手リーダーがこう話してくれました。

「社長の変わっていく姿を見て、
僕もこうなりたいと思ったんです。」

変化する経営者は、
その姿だけで組織を前進させてしまう力を持っています。


● 経営者が変わると、組織が“未来を語り始める”

経営者が変わった瞬間、
組織に起こる変化があります。

それは――
社員が未来を語り始めるということ。

・新しい提案が出る
・改善案が増える
・部署を超えたアイデアが生まれる
・「やってみたい」という声が上がる

これらはすべて、
経営者の変化によって“安心の土台”が整った証です。

そして、その先にあるのが
支え合い・語り合い・認め合いが循環する
“強く・温かく・しなやか”な組織です。


● 組織は、リーダーの姿勢に正直

最終的にはこの言葉に尽きます。

組織は、リーダーの姿勢に正直です。
だからこそ、リーダーが変われば全てが変わる。

経営者の小さな一歩は、
組織の大きな一歩へとつながります。

「変わる」のではなく、
「整える」。
その積み重ねが社員の“合い方”を未来へと導いていくのです。

小さな実践が大きな信頼を生む理由

経営者の方と向き合っていると、
「もっと劇的な改革をしないと変わらないのでは?」
とご相談いただくことがあります。

しかし、私がこれまでの支援現場で見続けてきた答えは、
その逆でした。

組織を動かすのは、大改革ではなく“日々の小さな実践”。
そして、その小さな実践こそが、社員との大きな信頼をつくる。

これは多くの企業で共通して起きる“組織変革の真理”です。


● 小さな実践は「継続」につながる

大がかりな改革は、
準備もエネルギーも必要で、継続が難しくなります。

一方、
・挨拶を丁寧にする
・最後まで話を聴く
・相手の努力を認める
・表情を柔らかくする
・意図を伝える

こうした小さな一歩は、
今日からでき、続けることができます。

継続は、必ず信頼に変わっていきます。


● 小さな実践は「社員の心を動かす」

人は、誰かの“行動の変化”を敏感に感じ取ります。
特に、経営者の変化は強く伝わります。

リーダーが小さな実践を積み重ねたとき、
社員はこう感じるのです。

「この会社、本当に変わろうとしている」
「社長は本気なんだ」
「自分も応えたい」

この“心が動く瞬間”が、
組織が変化を始めるスタートラインです。


● 小さな実践は「信頼の証拠」になる

Trust(信頼)は、英語で「重ねる」という意味の“true(積み重ね)”に近い語源を持つと言われています。

信頼は、
大きな言葉で生まれるのではなく、
小さな行動の積み重ねでしか育ちません。

社員から見て、
一貫して実践される行動は、
「社長は本気で私たちと向き合っている」という“証拠”になります。

信頼には証拠が必要です。
その証拠をつくるのが、小さな実践なのです。


● 小さな実践が、やがて「大きな成果」へとつながる

最初は小さな波紋です。
しかし、毎日続けていくと、その波紋は広がり、
気がつけば組織全体の空気を変えてしまう力になります。

・支え合いが生まれる
・語り合いが増える
・認め合いが根づく
・挑戦する人が増える
・信頼が循環する

この状態になったとき、
組織は自然と“成果が出る組織”へと変わっています。
成果とは、文化の副産物なのです。


● 経営とは「小さな実践の積み重ね」で未来をつくる営み

60代のいま、私はこれまでの歩みを振り返りながら、
経営者の人生と組織づくりを支援しています。

そして改めて実感します。

変わる組織は、小さな変化を積み重ねる経営者から始まる。

今日のたったひとつの実践が、
明日の大きな信頼につながる。

経営の本質は、そこにあります。

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    ふさぽ

    後継者をホンマモンに育む、応援をしています。社長を19年経験してわかったこと。それは'トップ自らの人生'を豊かにすること…人との”ツナガリ”づくりを通して。その入り口として、口癖にこだわり、Xでは発信中。『口ぐせは生きグセ』人生観に裏うちされた、事業づくりがトクイ種目。 ホンマデッカァw

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