【セールスポイント】
最近、聞かなくなったことないぃ
そもそも、使い方注意したいよね
20代の頃、トップ営業から経営者にノボリツメた方から『ヒトは買うのスキだけど、売り込まれるのはイヤなんだ』と
以来《バイイングポイント》で表現
どれだけ"買い手マインド"に、立ち戻れたことか
あなたはどう— ふさぽ@経営者 (@future_support) December 3, 2025
“売り込まないのに売れていく”時代背景と買い手心理の変化
セールスポイント神話の終焉
かつての営業は、「どれだけ自社の強みを語れるか」が勝負でした。
私自身も若い頃、その“セールスポイント神話”を信じて疑わなかった一人です。商品の機能、他社との差別化、歴史、実績──こうした情報を積み上げていけば、お客様は納得し、自然と購入してくださる。そんな思い込みが、どこかにあったのです。
しかし実際には、いくら丁寧に説明しても、相手の表情が曇っていく瞬間がありました。
「なぜ響かないのだろう?」
その違和感が、後になって大きな学びとなりました。
今思えば、当時の私は**“伝える”ことに必死で、“届く”ことを考えていませんでした。**
時代が進み、お客様は賢くなり、情報は溢れ、比較サイトやレビューも充実しています。
つまり、「知識を与える営業」では、買い手の心は動かなくなったのです。
さらに、セールスポイントを並べれば並べるほど、
「売りたい気持ち」がにじみ出てしまう。
この“圧”を買い手は敏感に察知します。
私が20代の頃、あるトップ営業の方が言われた言葉があります。
「ヒトは買うのは好きやけど、売り込まれるのはイヤなんやで」
この言葉は、今の時代ほど強い説得力を持っているかもしれません。
結局のところ、セールスポイントとは“売り手の都合”です。
お客様が本当に求めているのは、
「自分にとってどう役立つか」
「自分の未来がどう変わるか」
という“買い手視点の物語”なのです。
だからこそ、セールスポイント神話は静かに幕を下ろしました。
そして今は、バイイングポイント──お客様が“買いたくなる理由”に寄り添うことが、企業の新しい競争力になっています。
売るための努力ではなく、買われるための準備へ。
ここが、現代の経営者が立ち戻るべき原点だと感じています。
買い手マインドが求められる社会
いま私たちが生きている社会は、ひと言でいえば「買い手が主導権を握る時代」です。
情報が手元に集まり、比較も検討も、購入の判断も、すべて買い手自身が自由にできるようになりました。これは、私が20代の頃には考えられなかった変化です。
たとえば、ある商品を購入しようとしたとします。
その瞬間、スマホひとつでレビューが見られ、他社の商品と性能を比較でき、価格の推移まで追えてしまう。つまり、「売る側の説明」よりも、「買う側の判断材料」のほうが圧倒的に豊富になっているのです。
そんな環境の中で、売り手がどれだけ熱心に説明しても、買い手の心は動かなくなってきました。
むしろ、押しつけがましい情報は、拒絶反応を生みます。
私も多くの経営者と向き合う中で、こう感じる機会が増えました。
「売り手が頑張るほど、買い手の心は遠ざかる」
この矛盾のような現象こそ、現代社会の特徴です。
ではなぜ、買い手マインドが求められるのでしょうか?
理由は単純で、
買い手は“自分の意思で選びたい”からです。
人は、選ばされるのではなく、自ら選び取るときに満足を感じます。
ですから、経営者やリーダーが大切にすべきは、商品説明を磨くことではなく、
「買い手が選びやすい空気を整えること」
になります。
買い手マインドに立ち戻るとは、
相手の立場で物事を見つめる
相手が迷うポイントを理解する
相手の不安や疑問を取り除く
相手の“欲しい理由”を尊重する
という姿勢を意味します。
この視点を持てる経営者は、社員の営業力だけでなく、組織のコミュニケーションそのものが変わっていきます。
「売るために頑張る組織」から、
「選ばれる理由を磨く組織」へ。
その変化が、長期的な業績の差となって現れてくるのです。
買い手マインドは、営業のテクニックではなく“姿勢”であり“文化”です。
現代社会では、この文化を持てる企業だけが、静かに、しかし確実に選ばれ続けています。
バイイングポイントとは何か──経営者が持つべき新しい営業観
売り込みと“選ばれる準備”の違い
私がこれまでお会いしてきた経営者の中には、どれだけ努力しても成果につながらない営業の悩みを抱える方が多くおられます。話をよくよく伺うと、皆さん本当に一生懸命です。しかし、その一生懸命さが「売り込み」に変わってしまっている──そんな場面に何度も出会ってきました。
では、「売り込み」と「選ばれる準備」は何が違うのでしょうか?
まず「売り込み」は、
売る側が主導権を握りたい 状態です。
話す量も、説明の熱量も、想いも、すべて“自分側”が中心になっている。
その姿勢は、どんなに丁寧で好意的であっても、相手には“圧”として伝わるものです。
一方、「選ばれる準備」は、
買い手が主役になる 状態を整えることです。
こちらが前に出すぎず、相手が自然と選びたくなるように道を整える。
言い換えれば、売るのではなく、“買いたくなる理由”が相手の中に生まれるプロセスをつくることです。
実は、多くの経営者がここで誤解されるのですが、
“選ばれる準備”とは「何もしない」ことではありません。
むしろ高度な観察力と洞察力が求められます。
たとえば、
相手は何に価値を感じるのか
どんな未来を望んでいるのか
どんな不安を抱えているのか
どんな言葉に心を開くのか
こうした“買い手の心の動き”を見つめ、そこに寄り添うことが必要になります。
私自身、長年の支援を通じて痛感しているのは、
選ばれる準備とは、相手の「選びたい理由」を尊重する営みである
ということです。
売り込みが“相手を動かそうとする行為”だとすれば、
選ばれる準備は“相手が動くための余白をつくる行為”。
ここに、決定的な違いがあります。
そして、この視点を経営者が持てるかどうかは、
社員の営業スタイルにもそのまま影響します。
売り手視点の強いトップの組織は、例外なく「説明の多い営業」になりますし、
買い手視点のトップの組織は、“自然と信頼される営業”へ育っていきます。
売れない理由の多くは商品ではなく、在り方にある。
これは、私が経営者の人生に寄り添い続ける中で辿り着いた、一つの真実です。
トップ営業が語った買い手心理の核心
20代の頃、私の人生観を変える一言をくださった経営者がいます。
その方は“売り込まずに売れていく”営業でトップに立ち、その後、経営者としても成功された方でした。ある日、その方が静かにこう言われたのです。
「ヒトはな、買うのは好きやけど、売り込まれるのはイヤなんやで」
この言葉は、当時の私には衝撃でした。
なぜなら、私は“営業とは売り込むものだ”と信じていたからです。
しかし、その方の仕事ぶりを見ていると、確かに“売り込んでいない”のです。むしろ、淡々と、自然体で、相手の話をよく聴き、ゆっくりと寄り添っておられました。
では、どこに秘密があったのか。
その方が大切にしていたのは、
「相手は何を求めているのか?」
という一点だけでした。
売る側が「伝えたいこと」より、
相手が「知りたいこと」。
売る側の“熱量”より、
相手の“タイミング”。
売る側の“正しさ”より、
相手の“納得感”。
この“重心の置き方”が、圧倒的に違っていました。
さらに、その方はこうもおっしゃっていました。
「相手が買いたくなる理由は、相手の中にしかない」
つまり、営業とは「説得」ではなく、
**“相手の中にあるスイッチを見つける営み”**なのです。
だからこそ、トップ営業は話す量より、聴く量が多い。
説明より、問いかけが多い。
押すより、引き出す。
力で売るのではなく、気付きで動いてもらう。
この姿勢が、買い手心理の核心と深く結びついていると私は感じます。
そして、この話を経営者の視点で捉え直すと、もう一つ重要なことが見えてきます。
トップの在り方が“買い手心理を理解する姿勢”であれば、
社員は自然と同じ視点を持つようになり、
営業スタイルも、接客の質も、社内のコミュニケーションも変わります。
逆に、トップが「売り込み型」であれば、
組織全体が“伝えれば伝わるはずだ”という幻想に縛られ続けます。
トップ営業が語ったこの核心は、
私のコンサルティングや講演でも、数えきれないほど引用してきたものです。
なぜなら、どんな時代でも変わらない“人の本質”を突いているからです。
売り手視点に陥る組織が抱える落とし穴
言葉づかいと文化がつくる“押し売り構造”
組織を見ていると、売り込み型の文化は、実は「成果が出ないから無理に売る」という単純な話ではありません。もっと根深いところ──日々の言葉づかいから生まれている場合が少なくないのです。
たとえば、こんな場面があります。
「この商品の強みをもっと伝えなさい」
「アピールが足りない」
「お客様にしっかり説明してきて」
一見すると熱心な指導のように聞こえます。
しかし、これらの言葉の裏側には、
**“売り手の事情を優先しようとする空気”**が流れています。
これが積み重なると、社員は、
「もっと伝えなければいけない」
「納得してもらうまで説明しなければいけない」
と感じるようになります。
その結果、
説明はどんどん増え、
声のトーンは強まり、
こちらの“正しさ”を押しつける形になり、
無自覚のうちに 押し売り構造 ができあがってしまうのです。
ここで怖いのは、ほとんどの社員が「自分は押し売りしている」という自覚がないことです。
むしろ、「会社のために頑張っている」「良かれと思って伝えている」と本気で信じています。
しかし、買い手は違います。
売る側の“意図”は、少しの言葉づかいからでも敏感に察知します。
特に近年は、お客様のリテラシーも高まり、違和感をもつまでの速度が非常に早くなっています。
私がさまざまな企業をサポートする中で気づいたのは、
組織文化はトップの言葉づかいから始まるということです。
トップが
「どう伝えるか」ではなく
「どう届くか」に意識を置いていると、
社員の話し方も自然と変わっていきます。
逆に、トップが売り手視点の言葉を無意識に使っていると、
社員にもそのクセが連鎖し、
誰もが“売り込みモード”になっていくのです。
組織文化は、戦略や制度よりも、
トップの日常の言葉づかいがつくる。
これは、私が現場で見続けてきた揺るぎない現実です。
「売り込まないのに売れていく」企業は、
例外なくこの“言葉の質”が違います。
だからこそ、文化の中心が“買い手の視点”に落ち着いていくのです。
説明過多が信頼を失う理由
営業の現場でよく耳にする言葉があります。
「ちゃんと説明したのに、わかってもらえなかった」
「うちの商品の良さが伝わらないんです」
この“伝わらない問題”の裏側には、実は 説明しすぎている という落とし穴が潜んでいます。
一見すると、丁寧な説明は誠実さのあらわれです。しかし、あるラインを越えると、説明は途端に 買い手の自由を奪う圧力 に変わってしまいます。
私たちは、人から何かを強く押されると本能的に抵抗したくなるものです。
これは心理学でいう「リアクタンス(心理的抵抗)」と呼ばれるものですが、
現場ではもっとシンプルに、
「なんか押されてる気がする」
という違和感として表れます。
たとえば、
「ここが優れていて…」
「こんな実績がありまして…」
「他社と比べても…」
と、立て続けに説明されると、
買い手は次の二つの感情を抱くようになります。
①“自分で判断したい”という欲求を邪魔されたと感じる
人は、自分で選びたい生き物です。
説明が過剰になるほど、買い手は「選ばされている」と感じてしまいます。
その瞬間、心のシャッターが静かに下りていきます。
②「この人は自分の都合で話しているのでは?」と疑念が芽生える
説明している側にそんな意図がなくても、
買い手は“押し売りモード”を敏感に察知します。
結果として、
誠実さを伝えたい努力が、誠実さを損ねてしまう
という逆転現象が起きてしまいます。
ここで重要なのは、
説明量が増えるほど信頼が積み上がるわけではない
という事実です。
信頼を積み上げるのは、
説明ではなく、
「この人は自分の立場を理解してくれている」という感覚 です。
私は経営者の方々と対話する中で、
「説明の量」は成果に比例しないが、
「相手の話を聴く量」は確実に成果に影響する
という現実を何度も目にしてきました。
売り込まないのに売れる企業は、
説明を減らしているのではなく、
相手の理解に寄り添う“余白”を大切にしているのです。
その余白こそが、
買い手が自ら動き出す“納得のスペース”となり、
結果として信頼を育てるのです。
経営者が今日から実践できる“バイイングポイント”思考法
価値の翻訳と共感設計
“売り込まないのに売れていく”企業が必ず行っていること。
それは、商品の価値を 買い手が理解できる言葉に“翻訳”している という点です。
商品・サービスの価値というものは、提供する側にとっては当たり前すぎて、どうしても専門用語や業界の常識で語りがちになります。しかし、その言葉は、買い手にとっては「知らない世界の話」であることが少なくありません。
つまり、売り手が「伝えているつもり」の価値と、買い手が「受け取っている価値」の間にはギャップがあるということです。
では、そのギャップをどう埋めるか。
そこで必要なのが、
価値の翻訳(Value Translation) であり、
共感設計(Empathy Design) です。
■価値の翻訳とは何か?
価値の翻訳とは、
売り手の“強み”を、買い手の“意味”へ変換する作業 のことです。
たとえば、
「耐久性が高い」という強みは、買い手にとっては
「長持ちするから安心して使える」
という意味に変わります。
「業界最速の処理スピード」は、
「仕事のストレスが減り、時間が生まれる」
という意味に変わります。
つまり、価値の翻訳とは、
機能を語るのではなく、未来を語ること。
売り手の言葉ではなく、買い手の人生に寄り添った言葉で話すことなのです。
■共感設計とは何か?
もう一つ大切なのが「共感設計」です。
共感設計とは、
相手が何に困っていて、何を望んでいて、どうなりたいのかを深く理解する姿勢
から始まります。
共感とは「わかるよ」と言うことではありません。
相手の立場に立ち、同じ風景を眺めようとする姿勢そのものです。
その姿勢がある人の言葉は、自然と伝わり方が違うのです。
「この人は自分のために話してくれている」と相手が感じるからです。
私はさまざまな企業の現場を見てきましたが、
共感のない組織は例外なく売り込み型になり、
共感のある組織は不思議と“選ばれる側”になる
という共通点があります。
共感は、営業の一部ではなく、
経営の根幹を支える姿勢です。
■価値の翻訳と共感はセットで機能する
価値を翻訳できても、共感がなければ響かない。
共感があっても、価値を翻訳できなければ行動につながらない。
だからこそ、
この二つは経営者が磨くべき最重要スキル なのです。
組織は、トップが大切にするものを映し出します。
経営者の言葉づかい、姿勢、問いかけ、視点──
そのすべてが文化となって広がっていきます。
価値の翻訳と共感設計を軸にした企業は、
売り込まなくても信頼され、
信頼されるからこそ選ばれ、
選ばれるからこそ長く繁栄していく。
その循環を生み出す起点が、まさにこの“思考法”なのです。
買い手の“欲しい理由”を引き出す会話
“売り込まないのに売れていく”企業は、例外なく 会話の質 が高いものです。
その理由はシンプルで、売ることよりも
「買い手の中にある“欲しい理由”を見つける」
ことに集中しているからです。
ここを理解すると、営業の景色が一変します。
■買い手は「説明」で動くのではなく、「気づき」で動く
私は長年、経営者やリーダーと関わってきましたが、
どんなに優れた商品でも、
“買う理由”は売り手が作ることはできない
と痛感しています。
なぜなら、“買う理由”とは、
相手の価値観、経験、悩み、望む未来――
その人の内側にしか存在しないからです。
だからこそ、
売り手の役割は「理由を与えること」ではなく、
その人の中にある理由を浮かび上がらせること
なのです。
この姿勢の違いは、会話の空気を決定的に変えます。
■良い営業は“質問”が違う
“売り込まないのに売れる”人は、驚くほど多くを語りません。
代わりに、深く考え抜かれた質問を投げかけます。
たとえば、
「今どんなことに一番困っておられますか?」
「理想の状態をひと言でいうと、どんな姿でしょう?」
「もしこの課題が解決したとしたら、どんな未来が見えますか?」
これらはすべて、相手の中にある
“欲しい理由”の入り口 をひらく質問です。
すると、相手は自分の言葉で
「なぜ必要なのか」
「なぜ欲しいのか」
「なぜ今なのか」
を語り始めます。
この瞬間、営業は“押す”ものではなく、
“引き出す”ものへと変わります。
■相手が語った言葉こそ、最大の購買理由になる
ここが大きなポイントなのですが、
人は、自分で発した言葉に最も強く納得します。
売り手が
「この商品はあなたにとって必要です」と言うより、
相手自身が
「これは私に必要だな」と気づいたとき、
心の動きはまったく違います。
私自身、経営者との対話でよく感じるのですが、
こちらがいくら語るよりも、
相手が“自分の中にある答え”を言語化した瞬間にこそ、
最も深い腹落ちが起きる
のです。
だからこそ、
売り込まずに売れていく企業は、
「伝える技術」よりも
「聴く技術」「引き出す技術」
を徹底して磨いています。
■“欲しい理由”が明確になれば、行動は自然と起きる
人が動けないのは、やる気が足りないからではありません。
動く理由が明確になっていないからです。
逆に言えば、
理由さえ見つかれば、人は自ら動き出す。
これが、売り込まない営業の本質であり、
経営者が持つべき“買い手マインド”の核心です。
売るための言葉を増やすのではなく、
相手が語れる時間と空間をつくる。
この姿勢こそ、組織の未来を変えていく力になると、私は強く感じています。
選ばれ続ける企業に共通する“在り方”とは?
トップの姿勢が売上を変える
私が長年さまざまな企業を見てきて痛感するのは、
売上の差は、商品の差よりも“トップの姿勢”の差で生まれる
という事実です。
どれだけ商品力があっても、
どれだけ優秀なスタッフが揃っていても、
どれだけ広告を打っても、
トップが“売り手視点”に偏っている組織は、
必ずどこかで伸び悩む壁にぶつかります。
逆に、トップが“買い手マインド”を持っている企業は、
不思議と営業の質が整い、
社内のコミュニケーションが変わり、
結果として 売り込まなくても売れていく組織 へと育っていきます。
■トップの姿勢は、無意識に組織へコピーされる
社員は、トップの言葉づかいだけでなく、
トップの“姿勢”を敏感に感じ取っています。
たとえば、
トップが日常的に
「お客様がどう感じるか」を口にしていると、
会議で飛び交う言葉も
「どう伝えるか」ではなく
「どう届くか」 に変わります。
逆にトップが
「もっと売れ」「もっと説明しろ」と言えば、
社員は当然
「売り込むことが正解なのだ」と理解します。
姿勢は、指示より強く人を動かす。
これは経営における揺るぎない現実です。
■トップが買い手マインドに立つと、現場の負担が軽くなる
売り込み型の組織では、
営業担当が“押す力”を求められ続けるため、
疲弊し、離職が増え、
結果として負のスパイラルに陥ります。
一方、買い手マインドの組織では、
営業が“聴く力”を磨くようになり、
自然と会話の質が上がり、
メンバー同士も丁寧に話を聴ける文化が育ちます。
これは、
トップがどちらの空気をつくるかで決まる
と言っても過言ではありません。
■トップが変われば、顧客の動きも変わる
トップが
「どう売るか」から
「どう選ばれるか」へ視点を移した瞬間、
顧客との関わり方もガラリと変わります。
買い手視点で経営が回り始めると、
顧客の質問の質が変わる
再注文が増える
クレームが減る
紹介が増える
という“静かな追い風”が組織に吹き始めます。
これは決して偶然ではなく、
トップの姿勢が、顧客の行動に影響を及ぼしている のです。
■トップの姿勢は、経営の「文化装置」になる
企業文化は、
理念でもマニュアルでもなく、
トップの日常そのもの からつくられます。
だからこそ、
“売り込まないのに売れていく”企業には、
必ずと言っていいほど
買い手マインドを大切にするトップの姿勢 が存在します。
そしてこの姿勢は、
社員に安心を与え、
顧客に信頼を生み、
結果として業績に直結する。
つまり、
トップの姿勢は「売上の源泉」そのものなのです。
バイイングポイントが文化になるプロセス
“売り込まないのに売れていく”企業には、ひとつ共通点があります。
それは、バイイングポイントという考え方が単なる営業手法ではなく、企業文化として根づいているということです。
では、どうすればバイイングポイントが組織の文化として息づくのか。
そこには、いくつかの段階が存在します。
■①トップがまず「自らの視点」を変える
文化づくりの起点は、いつもトップです。
トップが
「どう売るか」から「どう選ばれるか」へ視点を移すことで、
発する言葉、会議での問いかけ、現場へのメッセージがすべて変わります。
この“トップの視点転換”は、
文化の第一歩であり、最も強力なエンジンになります。
■②社員が“押す営業”から“聴く営業”へ自然とシフトする
トップが買い手マインドに立つと、
社員は無理に売り込む必要がなくなり、
代わりに「相手を理解すること」を大切にしはじめます。
その結果、
質問が増える
相手の背景を深く聴く
押しつけがなくなる
相手が話しやすい空気が生まれる
という変化が自然と起きていきます。
ここで大切なのは、
無理やり変えようとするのではなく、“変わりやすい空気”をつくること。
文化は、押しつけられた瞬間に抵抗を生むものです。
だからこそ、“自然に変わる余白”を整えるのです。
■③成果が“静かに”表れ始める
買い手マインドが組織に浸透してくると、
外側に見えてくる成果は、派手ではないかもしれません。
しかし、確実に変化が起こります。
顧客からの問い合わせが増える
クレームが減る
営業マンの表情が明るくなる
顧客との会話が深くなる
無駄な説明が減り、商談時間が短くなる
こうした“静かな成果”が積み重なると、
組織の空気が一段上のステージに移るのです。
■④社員同士が“買い手マインド”を共有し始める
文化になるとは、
「人がいなくても続く状態になること」です。
バイイングポイントが文化として根づいた組織では、
社員同士が自然とこういう言葉を交わすようになります。
「それ、お客様はどう感じるかな?」
「この提案、相手の未来にどう役立つ?」
「押すより引き出す方がいいんちゃう?」
これこそが、文化の成熟です。
誰かが指示しなくても、社員自身が“買い手の視点”を基準に語り合う。
この状態になると、組織は持続的に成長し続けます。
■⑤バイイングポイントが“企業の魅力”として外へにじみ出る
文化が成熟すると、顧客にもその空気が伝わります。
営業スタイルだけでなく、電話対応、メール、SNS、すべての接点から
「この会社は押しつけない」「話を聴いてくれる」
という印象が醸成されます。
これは、どれだけ広告を打ってもつくれない、
企業文化にしか生み出せない魅力です。
そして、この魅力がある企業は、
売り込まなくても選ばれ、
気づけば“紹介”が自然に増え、
やがて“ファン”が育っていくのです。
■文化は、経営者の在り方の写し鏡
最終的に、バイイングポイントが文化になる組織には、
必ず“トップの姿勢”が色濃く反映されています。
文化とは、
経営者の思想が日常に溶け込み、
社員の行動に映し出されたもの。
だからこそ、
買い手マインドを大切にする経営者のもとでは、
その想いがゆっくりと、しかし確実に
組織の血流となって広がっていくのです。
