「一人で始める。一人ではできない」──リーダーの在り方が組織の未来を決める理由

経営者に必要なノウハウ

「一人で始める。一人ではできない」──リーダーの在り方が組織の未来を決める理由

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ふさぽ

後継者をホンマモンに育む、応援をしています。社長を19年経験してわかったこと。それは'トップ自らの人生'を豊かにすること…人との”ツナガリ”づくりを通して。その入り口として、口癖にこだわり、Xでは発信中。『口ぐせは生きグセ』人生観に裏うちされた、事業づくりがトクイ種目。 ホンマデッカァw

「一人で始める。一人ではできない」に込められた経営の本質とは?

20代の学びが今の経営に“刺さる”理由

私が20代の終わり、恩師に同行して伺った若手経営者のもとで耳にした
一人で始めなければ何も始まらない

一人では何もできない
という言葉は、当時はまだ“良い言葉やなぁ”と感じる程度のものでした。しかし、60代を迎えた今、この言葉の重みはまったく違った角度から心にしみ入ってまいります。

振り返れば、20代の私は“行動する一人”であることに精一杯で、まだ組織を背負うという実感がありませんでした。ところが、歳を重ね、経営者やリーダーの方々と向き合う日々の中で気づいたのは──
リーダーが最初に一人で立ち上がる「始動力」と、周りと共に成し遂げる「共創力」は、実はひとつの線でつながっている ということでした。

私自身、独立してからも何度も「これは私一人がまず動かなければ始まらない」という局面を経験しました。しかし、その一方で、結果をつくるのは決して一人ではなく、周りの支えであり、周りの力であり、周りの“想いの温度”なのです。

20代に聞いたあの言葉が今も深く刺さるのは、
経営とは結局、リーダーが一人で立ち、それでも一人では成し遂げられない世界だから です。

最初の一歩はトップが踏み出す。しかし、その歩みを次の景色へ運んでくれるのは、スタッフの皆さんの力です。
この“役割のリレー”に気づいた瞬間から、組織づくりの見え方は一気に変わります。

年齢を重ねた今だからこそ、私はあの日の学びをより深く実感しているのです。
そして、その実感は、今日も多くのリーダーとの対話の中で、新たな意味を帯びながら、私自身の背中を押し続けてくれています。

トップが最初の一歩を踏み出す意味

トップが最初の一歩を踏み出す──。
これは言葉にすると簡単ですが、実際には想像以上の重みがあります。私自身、長く経営者の方々と向き合ってきて感じるのは、リーダーの一歩は“行動”であると同時に“覚悟の宣言”でもあるということです。

スタッフはトップの言葉を必ずしもすべて覚えているわけではありません。しかし、トップがどの方向に立ち、どの姿勢で物事に向き合っているか、その“たたずまい”は驚くほど正確に伝わります。
つまり、組織はトップの「やっていること」よりも、「何を先にやるか」「どこに立つか」を敏感に感じ取るわけです。

そしてもうひとつ気づいたことがあります。
トップが動くと、組織に“動いていい空気”が生まれるのです。

人は、動く理由よりも、「動いていい雰囲気」から先に影響を受けます。
どれだけ立派な方針を掲げても、どれだけ情熱的な言葉を並べても、トップが自ら動いていなければ、組織は“静止のまま”です。逆に、トップが静かに、しかし確かな一歩を踏み出すと、不思議なことにスタッフの中にそよ風のように小さな動きが生まれます。

この現象は、私が研修やコンサルティングの現場で何度も目にしてきました。
「まず私がやってみるわ」
「ここは私が背負うから、皆は安心して動いてほしい」
そんなトップの姿勢が、メンバーの心を自然と前へと向けていきます。

もちろん、トップがすべてを背負うという意味ではありません。
むしろ、その一歩はスタッフが走り出すためのスタートラインを引くようなものです。

トップの一歩が早すぎても、独りよがりになる。
遅すぎても、組織のエネルギーが逃げてしまう。
だからこそ、リーダーは自ら動きながら組織全体のリズムを整える必要があるのです。

私が20代で耳にしたあの言葉、
「一人で始めなければ何も始まらない」
この真意とは、トップが一歩を踏み出す、その勇気がすべての流れをつくるということに他なりません。

その一歩が、やがて組織の未来を決める“はじめの振り子”になるのです。

トップの在り方が組織の空気を決める

リーダーの“たたずまい”が与える影響

経営の現場で最も伝わりやすく、そして最も誤魔化しがきかないもの──
それが、リーダーのたたずまいです。

「たたずまい」というと大げさに聞こえるかもしれませんが、私はこれを
リーダーが醸し出す空気
と捉えています。

姿勢、表情、歩き方、言葉のテンポ、会議での聴き方、スタッフへの視線…。
こうした一つひとつの所作の積み重ねが、そのまま“リーダーの在り方”として組織に染み込んでいくのです。

私はこれまで多くの企業を訪問してきましたが、入口の雰囲気や事務所の空気感を感じた瞬間に、
「この会社のトップのたたずまいはこうやろな」
と察することが少なくありません。
そして驚くほど高い確率で、その予感は当たります。

なぜか──
理由は単純で、
組織はトップの“複写機”だからです。

リーダーが穏やかであれば、組織は落ち着きを帯びる。
リーダーが慌ただしく焦っていれば、社員の声も早口になる。
リーダーが人を尊重する姿勢でいれば、スタッフ同士の関係性もやわらかくなる。

たたずまいとは、言ってしまえば“経営者の無意識の言葉”です。
意図していなくても、勝手に伝わり、勝手に広がり、勝手に組織を形づくる力を持っています。

ある経営者との対話で、こんな言葉を聞いたことがあります。
社員は私の言うことは聞かんけど、私の態度は真似しますね
まさに本質です。

私自身、リーダーを支援する立場でありながら、この言葉にはハッとさせられました。
経営者としての経験を積み重ねた今でさえ、たたずまいの重要さは日々感じています。

特に若手経営者の場合、
リーダー然としよう”として背伸びをしてしまうことがあります。
しかし本当に伝わるのは、取り繕ったカッコよさではなく、
自分はこの組織をどう導きたいのか」という内側からにじみ出る姿勢
なのです。

そして、この“にじみ出る姿勢”こそが、スタッフの心を静かに動かし、
組織の未来をじわりと変えていきます。

たたずまいは、声を張らなくても語る。
指示をしなくても伝わる。
そして、トップが気づかぬうちに、組織の文化さえも形づくっていく。

これが、リーダーのたたずまいが与える、目に見えない大きな影響なのです。

スタッフは言葉より「背中」を見ている

経営の現場に長く身を置いてきて、つくづく思うことがあります。
スタッフは、トップの“言葉”よりもトップの“背中”を見ている──という事実です。

「伝えたはずなのに、動いてくれない」
「言っても言っても浸透しない」
こうしたご相談は後を絶ちません。
しかし、そのたびに私が感じるのは、
スタッフはトップの本気度を、言葉ではなく行動で測っている
ということです。

トップが「挑戦しよう」と言いながら、安全な場所にとどまっていれば、
スタッフも同じように守りに入ります。
逆にトップがリスクを取って最前線に立てば、
「社長があそこまで動くなら、自分もやらなあかん」と火がつくのです。

私は以前、ある企業の現場研修で、社長の何気ない行動が組織の空気を一変させた場面を目撃しました。
誰よりも早く現場に入り、誰よりも遅くまで社員の声を聴いておられた。
すると、あれほど渋っていたベテラン社員が
「社長がそこまでやるなら、俺も久しぶりに気合い入れてみるか」
と、静かに動き出したのです。

その瞬間、私は強烈に思いました。
組織は、トップの背中で動く。トップの姿勢が“無言の指示書”になる。

言葉は、一過性です。
しかし背中から伝わるものは、スタッフの心に染み込み、行動の基準になります。
だからこそ、リーダーの背中に“矛盾”が生まれると、組織は一気に迷い始めます。

● 言っていることと、やっていることが違う
● 理念は語るが、日常で実践していない
● 挑戦を求めるのに、自分は変化を避けている

こうしたズレは、表面化しなくてもじわじわと組織の芯をむしばんでいきます。

逆に、トップの背中が一貫していれば、
スタッフは安心してついて来られるようになります。
そこに上下関係を超えた“信頼”が生まれ、組織の推進力が生まれるのです。

リーダーの背中は、多くを語りません。
しかし、
「私たちはどこに向かうのか」
「何を大切にしているのか」
「本気度はどれほどなのか」

を何より雄弁に語ります。

だからこそ、スタッフは言葉よりも背中を見るのです。
そしてその背中こそが、組織の未来を静かに形づくっていくのです。

想いがつながる組織と、止まる組織の違い

「伝える」ではなく「渡す」リーダーシップ

多くの経営者と対話をする中で、「伝えているのに伝わらない」という悩みは本当に多いものです。
しかし、そのたびに私が感じるのは、
伝える(tell)と、渡す(pass)はまったく別物だ
ということです。

「伝える」は、一方向です。
言葉を届けた、説明した、共有した──そこまでで完了します。
しかし「渡す」は違います。
相手が“受け取れる形”にして届けること。
そして、相手の中で“自分の言葉”として息を吹き返すところまで見届けること。

これこそが真のリーダーシップだと感じるのです。


■ 伝わらない“伝える”は、トップの自己満足で終わることがある

私自身、若いころは「言えば動く」と思っていた時期がありました。
しかし、何度言っても動かないことがある。
そのときに気づいたのは、
伝えた内容以上に、“相手が受け止められる状態かどうか”が重要
だということでした。

相手に余裕があるのか、理解の背景はどうか、
そして何より──
その想いを託すだけの信頼関係があるのか。

これらが整っていなければ、「伝える」は届きません。


■ “渡す”には、想いを託す覚悟と時間が必要

「渡す」とは、たとえばバトンパスのようなものです。
リーダーがしっかり握りしめていたバトンを、相手に託す瞬間。
そのとき、相手のスピードを見て、リズムを合わせ、丁寧に手渡す。

実は組織でも同じです。

● 「任せたで」と言うだけで渡るものではない
● 「理解した?」と尋ねても、真に伝わったとは限らない
● 重要なのは、相手が“動き出せる状態”まで伴走すること

この“伴走のひと手間”こそが、
伝えるを超えて、渡すリーダーシップになるのです。


■ 「渡された想い」は、リーダーの代わりに歩き出す

渡された想いというのは不思議なもので、
スタッフの中で静かに育ち、リーダーの見えないところで花を咲かせます。

・お客様の言葉を聞く態度が変わる
・メンバーへの声かけが柔らかくなる
・自ら動き、周囲を巻き込み始める

そうした変化を現場で見たとき、
あぁ、これは伝わったのではなく、渡ったのだ
と感じる瞬間があります。

リーダーの想いが“渡る”と、スタッフは自分事として動き始めます。
そしてその連鎖が、組織の推進力となり、
結果としてリーダーの想いは、より遠くへ広がっていきます。


伝えるだけでは組織は動かない。
渡したときに、初めて組織は動き始める。

これこそが、止まる組織と動き出す組織の大きな違いなのです。

受け取った想いが、スタッフの行動を変えるメカニズム

リーダーの想いが“渡る”と、スタッフの行動は静かに、しかし確実に変わっていきます。
では、なぜ「渡された想い」は、スタッフの行動を動かすのでしょうか。

私が多くの現場で見てきたのは、
人は“やらされる仕事”では動かないが、“託された想い”には動かされる
ということでした。

ここには、いくつかの明確なメカニズムがあります。


■ ①「自分が選んだ」という主体性が生まれる

渡された想いは、スタッフが“自分で受け取った”と感じます。
この「自分で選んだ」という感覚は、行動の強力な推進力になります。

リーダーに言われたから動くのではなく、
自分の意思で動きたい”に変わる瞬間が訪れるのです。

主体性が生まれたスタッフの行動は、指示を待つものではなく、
「やりたいからやる」という質へ変わります。


■ ② 認められた実感が、自信を引き出す

渡すという行為には、
あなたなら大丈夫や
という信頼のメッセージが必ず潜んでいます。

スタッフは言葉にされなくてもそれを感じ取ります。
この“信頼された実感”が、行動のエンジンになります。

「任された」ではなく
「託された」と感じた瞬間、
人は驚くほど力を発揮するものです。


■ ③ リーダーの価値観が、行動の基準になる

受け取った想いは、スタッフの中に“判断基準”として蓄積されます。

● この場面なら、リーダーならどう動くか
● このお客様対応なら、何を優先するか
● この決断にはどんな意味があるのか

こうした迷いの場面で、
スタッフはリーダーの価値観を自然と参照しながら動くようになります。

つまり、
渡された想いが、行動を導く“内なるコンパス”になる
ということです。


■ ④ 行動が変わると、周囲にも連鎖が起きる

受け取った想いがスタッフ一人の中で完結するのではなく、
その行動が周囲にも影響を与えます。

・一人が丁寧にお客様に向き合い始める
・一人が前向きな声かけを始める
・一人が挑戦に手を挙げる

こうした姿勢は、周囲に静かに刺激を与え、行動を広げていきます。
たった一人の変化が、組織全体の変化へつながるのです。

リーダーの想いは、一度渡れば終わりではなく、
他の人の中で形を変え、広がり、やがて“組織の文化”となって息づき始めます。


■ 想いは、人を通して社会へ広がる

だからこそ、私は常々、
リーダーの想いは人を介して社会に届く
と感じています。

リーダーの一歩がスタッフに渡り、
スタッフの行動がさらに別の誰かに影響を与える。

この連鎖こそが、ポストにあった
「トップの想いを人へつなぎ、それを受けたスタッフが社会へ広げる」
という言葉の真実そのものです。

トップから社会へ──想いが広がる組織の条件

理念が“動き”に変わるとき

理念は、掲げただけでは組織を動かしません。
壁に飾られているだけの理念は、スタッフにとって“風景の一部”でしかありません。
しかし不思議なことに、同じ理念でも、動く組織は理念が現場で息をし始めるのです。

では、理念が「言葉」から「動き」に変わる瞬間とは、どのような時なのでしょうか。


■ ① トップが理念を“自らの行動”で語り始めたとき

理念は、トップが体現し始めると一気にエネルギーを帯びます。
口で語る理念より、行動で示された理念の方が何倍も伝わるものです。

・社長がどの場面で優先順位をどう決めるのか
・お客様への姿勢をどう貫いているのか
・葛藤の中でも何を守り抜くのか

こうした日常の一つ一つが、理念の“本気度”を伝えます。

スタッフはそれを、
理念って、こうやって使うんや
と受け取るのです。

理念は、説くものではなく、魅せるものなのです。


■ ② 理念が“判断基準”として現場で使われたとき

理念が行動に変わる組織では、現場のスタッフが自然とこう判断します。

・「この選択は、うちの理念に照らしてどうか?」
・「理念が言ってる方向はどっちや?」
・「迷ったら理念に戻ろう」

これは、理念が単なるスローガンではなく、
日常の意思決定に組み込まれている証拠です。

リーダーが理念を旗印にし続けると、
スタッフは理念を“自分のもの”として理解し始めます。

こうなると、理念は語らずとも現場の動作や判断に現れます。
これは非常に強い組織の状態です。


■ ③ 理念が“やらされるもの”ではなく“誇り”に変わるとき

理念が文化として根づき始めた組織では、
スタッフが理念を“自分たちの誇り”として扱い始めます。

お客様との関わりの中で、
思わず理念が滲み出る場面が増えていくのです。

・丁寧な姿勢
・誠実な対応
・一歩踏み込む思いやり

こうした行動は、誰かに言われてやるものではありません。
その会社の一員であることへの誇りが、行動を自然に押し上げるのです。

理念が誇りに変わる瞬間──
それは組織が“社会に価値を届ける存在”へと変わる入り口でもあります。


■ 理念が動けば、組織は社会とつながり始める

理念が行動になったとき、初めて組織は社会に影響を与える存在になります。
それは大きなプロジェクトではなく、小さな日常の積み重ねで起きていきます。

理念が動くとは、
トップの想いが社会へ届くプロセスそのものなのです。

一人ひとりが社会価値を生み出す循環

組織が強くなる瞬間とは、
トップだけが頑張る組織でも、
一部の優秀な人だけが突出する組織でもありません。

一人ひとりが、自分の役割を通して“社会価値”を生み出し始めたとき、
組織は本当の意味で動き出すのです。

社会価値とは、大げさなことではありません。
お客様の「ありがとう」を一つ増やすこと。
同僚の仕事を少し軽くしてあげること。
目の前の不便を少しでも解消する工夫をすること。
こうした“小さな価値”の積み重ねこそ、社会を動かす力になります。

そして、この価値の源泉は、
トップが持つ想いがスタッフ一人ひとりの中で“自分事化”されることにあるのです。


■ ① 一人ひとりの行動が、組織の“循環”をつくる

組織とは、“個の行動の総和”でできています。
どれだけ立派なビジョンを掲げても、
現場の行動が変わらなければ何も変わりません。

しかし、一人の行動が変わると、その周辺が変わり始めます。

・一人の笑顔が部署全体の空気を変える
・一人の丁寧さが品質を引き上げる
・一人の挑戦が他の挑戦を呼ぶ

この“良い循環”が回り始めると、
トップが指示しなくても、自然と組織が前へ進み出します。


■ ② 社会価値を生むのは、“役割”ではなく“姿勢”

役職や担当によって価値が変わるわけではありません。
同じ仕事でも、姿勢が変われば価値の質はまったく変わります。

・雑務だから価値が低い
・責任者だから価値が高い

そんなことはありません。

姿勢が価値を生み、価値が社会に届く。
これが、どの現場でも共通して起きる事実です。


■ ③ トップの想いは、人を介して社会へ届く

面白いことに、
リーダーの想いはトップ一人が直接広げるよりも、
スタッフ一人ひとりが“自分の仕事で社会価値を生む”とき、
より大きく広がっていきます。

・接客で生まれた小さな感動
・現場改善の積み重ね
・お客様に寄り添う姿勢
・仕事への誠実さ

これらの一つひとつが、
トップの想いの“分身”となって社会へ流れていくのです。

リーダーがつくるのは、組織ではなく“循環”です。
その循環が社会へつながり、やがて企業の信頼となって返ってきます。


■ ④ 循環が回り出すと、組織が“勝手に良くなる”

トップが何かを仕掛け続けるのではなく、
スタッフが自発的に価値を生み出す状態になると、
組織の成長スピードは桁違いに上がります。

・上から言わなくても、改善アイデアが出る
・お客様の声に敏感になる
・協力が自然と生まれる
・信頼が社内外に広がる

この状態こそ、
**組織の未来を決める“最高の資産”**だと私は思っています。


リーダーの役割は、
スタッフを動かすことではなく、
価値が生まれる循環をつくること。

そしてその循環の中心には、
トップの“在り方”が静かに、しかし確実に存在しているのです。

これからのリーダーに求められる「在り方」とは?

トップの“内側”を磨くことが、組織の未来を変える

経営の世界に長く身を置いて感じるのは、
トップの“外側”よりも、“内側”が組織に強烈な影響を与えている
という事実です。

外側とは、スキル・知識・ノウハウ・戦略。
内側とは、価値観・姿勢・覚悟・精神性・人生観。

もちろんどちらも大切ですが、
組織が迷ったとき、社員が不安になったときに、
拠り所になるのはトップの“内側”の強さです。


■ ① 感情の質が、組織の気流を決める

トップが何を感じているかは、不思議なほど伝播します。

・焦っていれば、組織はざわつく
・迷っていれば、現場は揺れる
・落ち着いていれば、社員は安心する
・覚悟があれば、組織は前に進み出す

まるで“気流”のように、トップの内面が組織の空気をつくるのです。

だからこそ、
リーダーの内側を整えることは、組織を整えることと同義と言えます。


■ ② 自分との対話を避けるリーダーは、判断に迷いが出る

多くのリーダーを支援してきて分かったのは、
日常の意思決定の迷いは、外側の不足ではなく内側の未整理から生まれる
ということです。

・何を大切にしているのか
・どんな未来を創りたいのか
・どこまで覚悟を決めているのか

これらが曖昧なままでは、判断がブレます。
判断がブレれば、組織はさらに迷い、動かなくなります。

逆に、内側が明確なリーダーは、判断が静かで早い。
それが組織に安心感を与え、動き出す力になります。


■ ③ トップの“内なる羅針盤”がスタッフを導く

リーダーが何を基準に物事を決めているのか。
これは社員にとって非常に重要です。

たとえば、同じ決断でも
「売上のために決めた」のか
「理念のために決めた」のか
「人を大切にしたいから決めた」のか
で、受け取る印象は大きく変わります。

そして、スタッフはトップの“内側の羅針盤”を敏感に感じ取っています。

つまり、
トップの内側の明確さが、そのまま組織の方向性になる
ということです。


■ ④ 内側の成長が、“背中の説得力”を生む

最終的に、リーダーの説得力とは
声の大きさでも、知識量でもありません。

内側が磨かれたリーダーの背中には、静かで強い説得力が宿る。

私は多くの現場で、それを見てきました。

・背中で理念を語る社長
・黙って人を受け止めるリーダー
・苦しい局面でもブレない姿勢を貫く経営者

こうした姿に触れたとき、スタッフは
「この人についていきたい」
と、心の底から感じるのです。

リーダーの内側の成長は、
やがて組織全体の“心の質”を押し上げる力になる。

そしてその変化は、必ず行動となって現れ、
次の世代のリーダーへと受け継がれていきます。


トップの内側を磨くことは、
決して自分のためだけではありません。
組織の未来を照らす“灯り”を育てることでもあります。

想いを広げるリーダーが歩む次の一歩

リーダーとしての歩みを続けていると、
「どこまでいけば完成なのか?」
と感じる瞬間があるかもしれません。

しかし私は、長年経営の現場で多くのリーダーと向き合う中で、
はっきりと確信していることがあります。

リーダーの成長には“完成”はない。
あるのは、次の一歩だけだ。

想いを広げるリーダーほど、
自分の未熟さを知り、
学びを続け、
周囲からの気づきを素直に受け取り、
歩みを止めません。

そして、その一歩一歩が、
組織の未来を、スタッフの行動を、そして社会への価値を
確実に変えていくのです。


■ ①「自分が変われば組織が変わる」という真理

組織が動かないと感じたとき、
多くのリーダーは“外側”に解決策を探します。
制度、仕組み、人材、教育…。

しかし、最も大きな変化はいつも
リーダー自身の変化から始まります。

トップが変わると、
スタッフが変わり、
職場の空気が変わり、
お客様の反応が変わり、
結果として数字が変わります。

これは特別な理論ではなく、
私が何百という企業で見てきた“現実”です。


■ ② 一歩踏み出すリーダーには、人がついてくる

リーダーの一歩が周りに力を与えるのは、
その一歩に“覚悟”と“想い”が宿っているからです。

・自分が姿勢を見せる
・弱さを隠さずに示す
・学び続ける背中を見せる

こうした姿勢は、言葉では伝えられない何かを
スタッフの心に残します。

そしてその空気感が、
「自分も一歩動いてみよう」という前向きさを生みます。


■ ③ これからの時代、求められるのは“共に創る”リーダー

時代は大きく変化し、
トップダウンだけでは組織は動かなくなりました。

これからのリーダーに求められるのは、
スタッフと共に未来を創る姿勢です。

「任せる」のではなく、「託す」。
「伝える」のではなく、「渡す」。
「指示する」のではなく、「共に考える」。

このスタンスが、想いを浸透させる鍵になります。


■ ④ リーダーの次の一歩は、“社会につながる”一歩

リーダーの成長は、組織の成長につながり、
組織の成長は、社会の価値を高めていきます。

つまり、
トップが一歩前に踏み出すたびに、
社会に新しい価値がひとつ生まれる。

そう考えると、
リーダーの次の一歩は、
決して小さな歩みではありません。


■ 想いを広げるリーダーへ

20代の終わり、あの日に聴いた言葉、
「一人で始めなければ何も始まらない」
「一人では何もできない」。

長い年月を経て、その意味はより深く、より鮮明になりました。

トップが始める。
スタッフが広げる。
社会が受け取る。
そしてまた、トップが次の一歩を踏み出す──。

この循環こそが、リーダーの歩む道です。

読者の皆さんが、いまどんな地点に立っていたとしても、
その場所から踏み出す次の一歩が、
必ず組織の未来を変える力になる。

私はそのことを強く信じています。

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