「人が動かない本当の理由」──リーダーが変わると組織が動き出す“実感のマネジメント”とは?

経営者に必要なノウハウ

「人が動かない本当の理由」──リーダーが変わると組織が動き出す“実感のマネジメント”とは?

2025年11月20日

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ふさぽ

後継者をホンマモンに育む、応援をしています。社長を19年経験してわかったこと。それは'トップ自らの人生'を豊かにすること…人との”ツナガリ”づくりを通して。その入り口として、口癖にこだわり、Xでは発信中。『口ぐせは生きグセ』人生観に裏うちされた、事業づくりがトクイ種目。 ホンマデッカァw

なぜ人は“動かない”のか?──行動が止まるメカニズム

リーダーが見落としがちな「相手の世界」

私たちリーダーは、日々の忙しさの中で相手がなぜ動かないのかという問いに向き合う機会が増えていきます。しかし、その理由を“相手の能力”や“姿勢”だけに求めてしまうと、本質を見落としてしまいます。
実は、行動の出発点になるのは 相手の内側にある“世界”──つまり、「どんな感情で、どんな景色を見て、どんな意味づけをしているのか」という内的体験です。

私も経営者として長くリーダーと向き合ってきましたが、行動が止まっている人の多くは、怠けているわけでも反発しているわけでもありません。
単に、心が動く材料が不足しているだけなのです。

ある経営者の方が、「何度言っても伝わらないんですよ」と嘆かれていました。しかし詳しく伺うと、伝えている“事実”はあっても、相手が“どう感じているか”に意識が向いていなかったのです。
そのとき私は思わず、「そりゃ動かへんわ」と心の中でつぶやいたものです。

相手の世界を理解するとは、甘やかすことでも、迎合することでもありません。
相手が置かれている状況、抱えている不安、見えている未来──そういった“感情の地図”に寄り添うことで、初めてリーダーの言葉は血の通ったメッセージになります。

組織が動かない背景には「やり方の問題」よりも、「見えている世界が違う」というズレが横たわっています。
そして、そのズレを埋める最初の一歩こそ、相手の内側に静かに耳を傾ける姿勢なのです。

感情と当事者意識が欠けると何が起きるのか

人が動かない場面をよくよく観察すると、そこには共通した“力の抜け落ち”が存在します。
それが 感情当事者意識 の欠如です。

リーダーとしての私自身の経験から感じるのは、仕事とは理屈だけでは動かないという事実です。
「あの案件、進んでる?」
「この資料、まだ?」
こうした確認や指示が積み重なるほど、組織は“やらされ感”を帯び、動きが重くなっていきます。

なぜか?
それは、心が動いていないからです。

感情が伴わない行動は、どれだけ正しいことであっても長続きしません。
人は「やるべきこと」で動くのではなく、「やりたい理由」で動き続けます。
この差は、現場の空気を大きく変えるほどの力を持っています。

そしてもう一つ、当事者意識が欠けると、指示は“自分ごと”として扱われません。
「上が決めたこと」
「会社の方針」
「やらされている仕事」
こうなると、行動の主体が自分ではなく外側にあるため、行動する力が弱まります。

ある経営者の方から「社員の発言が他人事なんですよ」と相談を受けた時も、まさにこの状態でした。
話を聞くと、方針説明も業務依頼も全て“上からの伝達”。
相手が自分の言葉で語る場面がほとんどなかったのです。

当事者意識は、自分で言葉にした瞬間に芽生えます。
これは、どんな場面でも変わりません。

感情が動く、主体性が生まれる、この2つが揃って初めて「実感」が生まれます。
そしてこの“実感”こそが、人を動かすエンジンになります。

組織の停滞は、スキルの問題よりも、実は“心の稼働率”が下がっていることによって生じるケースが多いと感じています。
だからこそ、リーダーには、感情と当事者意識の両方に働きかける姿勢が必要なのです。

リーダーが変わると組織が動く理由

指示より影響力──行動を引き出す関わり方

経営の現場では、「もっと主体的に動いてほしい」「自ら動く人材を育てたい」という声をよく聞きます。
しかし、指示を増やしても、人は主体的にはなりません。むしろ、指示が強くなるほど“受け身の文化”が育ってしまうことすらあります。

私が30年以上、経営者と向き合ってきて痛感しているのは、
組織を動かすのは指示ではなく、影響力である
ということです。

影響力とは、「この人のためにやりたい」「この人と一緒に進みたい」と思ってもらえる関わり方の総体です。
そしてそれは、肩書きの強さではなく、関わり方の深さがつくり出します。

特に大切なのは、
相手の可能性を信じ、それを行動で示すこと
です。

ある中小企業の若手リーダーが、「部下がどうしても受け身で…」と相談されたことがあります。
話を伺うと、普段から細かく指示を出し、「最短ルート」を先回りしてあげている様子でした。

私はそっとこうお伝えしました。
「それ、部下さんの“考える力”を奪ってしまってますわ」

最初はショックを受けておられましたが、翌週には「任せる姿勢」に切り替え、問いかけを中心にコミュニケーションを変えられたのです。
すると驚くほど部下が動き始め、「自分の提案ですが…」という言葉が出てきたとのこと。

行動は“内側から湧く力”に支えられなければ続きません。
だからこそ、リーダーが影響力を発揮するためには、

  • 相手の成長を信じて任せる

  • 行動の背景にある想いに寄り添う

  • 判断を委ねる“余白”をつくる

この3つが欠かせません。

指示で動く組織は、リーダーがいないと止まります。
しかし、影響力で動く組織は、リーダーがいなくても前へ進みます。
そこに、持続的な成長の鍵があるのです。

“実感のマネジメント”が成果を左右する

私がこれまで多くの経営者の方と向き合ってきて強く感じるのは、
人は「理解したから」動くのではなく、「実感したから」動く
という動かしがたい事実です。

どれだけ丁寧に説明しても、どれほどロジックを積み上げても、
相手の中に“実感”が生まれなければ、行動には結びつきません。

逆に、実感さえ伴えば、多少説明が不足していたとしても人は動きます。
それほどまでに「実感」は行動のエンジンなのです。


■ 実感とは何か?

実感とは、
相手が自分の内側で「分かった」「できそう」「やってみたい」と感じた瞬間に宿る“心の手触り”
のようなものです。

・腑に落ちる
・自分事になる
・未来が見える

こうした感覚がそろったとき、「実行」に変わる準備が整います。

つまり、実感とは“行動直前の心の状態”であり、ここをつくることこそが、リーダーに求められる マネジメント技術 なのです。


■ “実感のマネジメント”が弱い組織には何が起きるか?

実感をつくる関わりが弱いと、組織には次のような現象が起きます。

  • 指示待ちが増える

  • 行動に温度がない

  • 表面上の理解で止まり、継続しない

  • 何度伝えても同じところでつまずく

これは能力不足ではなく、心の準備が整っていないだけなのです。

リーダーとしての私自身の経験でも、実感が欠けたまま走り出すと、後で必ず立ち止まる場面が訪れました。
反対に、相手が“自分の言葉で語れる状態”まで伴走すると、行動は軽やかに、しかも継続的に進んでいきました。


■ 実感を生むのは「語ること」ではなく「引き出すこと」

リーダーが一方的に語るだけでは、実感は生まれません。
実感は、相手が考え、言葉にし、気持ちを動かしたときに生まれます。

だからこそ、実感のマネジメントとは、

  • 相手の気持ちを言語化させる

  • 自分の未来を自分の口で語ってもらう

  • 小さな成功の“感触”を味わってもらう

これらを丁寧に積み重ねていく関わりです。

私はよくリーダーの方にお伝えしています。
「実感をつくれるリーダーは、自然と実行を生むリーダーです」と。

実感のマネジメントは、組織の実行力を底上げする“見えない技術”。
ここに気づいた瞬間、あなたのリーダーシップは大きく変わり始めます。

感情を動かすコミュニケーション術

① 感情に訴える:心のスイッチを押す方法

リーダーが人を動かす際に、もっとも見落とされがちなポイントが 感情に触れること です。
“感情”という言葉を聞くと、「そんなものに頼るのか」と冷ややかに捉える方もおられますが、私は断言します。

行動の最初の火種は、必ず感情である。

これは30年以上、経営者・リーダーの現場を歩いてきた実感です。


■ 行動の根っこは“気持ち”にある

人が動くとき、そこには必ず

  • 心が揺れた

  • 気持ちが動いた

  • 未来に希望が見えた

こうした小さな変化があります。

反対に、どれだけ正しい指示や方針を伝えても、
相手の心に何も触れていなければ、行動は重くなります。

ある後継者の方が、方針説明会でどれだけ丁寧に未来像を語っても社員が動かない、と相談されました。
話を伺うと、方針の「内容」は立派なのですが、
“なぜ自分がその未来を実現したいのか”という熱が言葉に乗っていなかった のです。

私はその方にこうお伝えしました。

「人は内容では動きません。あなたの“想いの温度”で動くんです」

翌月、語り方を変えられた結果、会議後に複数の社員が自発的な提案を持ってこられたそうです。
感情が伝わると、行動は一気に変わります。


■ 感情に訴えるには、ストーリーを重ねる

感情は、“情報”ではなく“ストーリー”に反応します。

  • なぜ、この取り組みが必要なのか

  • どんな景色を一緒に見たいのか

  • 自分がどんな想いで仕事に向き合っているのか

こうした背景や想いを語ることで、相手はあなたの話を“聞くモード”から“受け取るモード”へと切り替えます。

私は講演でも必ず、冒頭に「想いのストーリー」を話すようにしています。
すると、その場の空気がスッと柔らぎ、人の心にスペースが生まれるのです。


■ 感情へのアプローチは、相手を動かす前に“自分を動かす”

じつは、感情に訴える話し方は、相手よりも先に 自分自身の気持ちを整える行為 でもあります。

自分が何に心を動かされ、何のためにリーダーをしているのか。
この原点を語るたび、自分の中に一本の軸が通ります。

人を動かす前に、自分の心が動いているか。
これはリーダーにとって非常に大切な視点です。


■ 感情が動くと、行動が自然に前に進む

感情のスイッチが入った瞬間、行動は軽くなります。

  • 「やらされている仕事」が「やりたい挑戦」に変わる

  • 「面倒な作業」が「意義ある役割」になる

  • 「上からの方針」が「自分の未来」になる

リーダーが感情に寄り添う関わりを始めると、組織の空気は確実に変わります。

そして、その変化が積み重なったとき、
“実感を土台にした実行力”が、静かに育っていくのです。

② ゴールイメージを示す:未来を“見せる”技術

人が動き出すときには、必ず どこへ向かっているのか が見えているものです。
逆に、行動が止まるときは、たいてい目的地が曖昧だったり、“自分がそこに関わる理由”が見えていません。

だからこそリーダーには、
相手の頭と心の中に“未来の映像”を届ける力
が求められます。

ここでいうイメージとは、抽象的な理想論ではありません。
相手が「その景色、見てみたい」と思えるほど、臨場感のある“未来の具体像”です。


■ 未来が見えると、人は自然に動き出す

私がご支援してきた企業でも、停滞していたチームが急に動き出す瞬間があります。
その瞬間には必ず、リーダーが未来のゴールを鮮明に語った場面が存在します。

例えば、

  • 「この新規事業が軌道に乗れば、地域で唯一の○○企業になれる」

  • 「3年後、この部署は“選ばれる部署”に変わっているはずや」

  • 「このプロジェクトが成功したら、あなたの強みが会社の柱になりますよ」

こうした言葉が響くのは、単にゴールを説明しているからではなく、
未来の自分像と組織像が重なった瞬間に、“心が前へ倒れる”からです。

人は「未来の重心」が前に倒れたときに、行動が自然に前へ進みます。


■ ゴールは“数字”よりも“景色”で語る

もちろん数字の目標も大切です。
しかし、数字だけでは心は動きません。

数字は「目標」ですが、
景色は「未来の体験」だからです。

「売上 3億を目指そう」よりも、

「社員全員が胸を張って“この仕事がおもしろい”と言える会社にしたい」

と言われた方が、心が動いた経験はありませんか?

数字は頭で理解できます。
しかし景色は、心に届くのです。


■ 「自分が何を見ているか」を丁寧に伝える

ゴールイメージは、リーダー自身が“先に見ている未来”を共有するところから始まります。

  • どんな未来が見えているのか

  • そこにどんな人が関わっているのか

  • その未来が実現したら、どんな空気が流れるのか

  • 自分自身はその未来にどんな感情を抱いているのか

これらを丁寧に語ることは、単に目標を伝える以上の意味を持ちます。

それは、
私は本気でこの未来を見ている
というメッセージを、無言で相手に示す行為だからです。

リーダーの目の前に未来が広がれば広がるほど、
そこに関わる人たちの視界も明るくなっていきます。


■ ゴールイメージは“希望”をつくり出す

未来が見えると、行動に意味が生まれます。
意味が生まれると、行動の質が変わります。

そして、行動の質が変わると、組織全体に“前に進む空気”が流れはじめます。

希望のある組織は、強い。
未来が見えるチームは、迷わない。

リーダーが未来を見せることは、単なる目標設定ではなく、
組織に“希望の灯”をともす仕事なのだと、私は感じています。

当事者意識を高める関わり方

③ 本人発アクションを引き出す質問

リーダーの役割は、ただ「やり方を教える」ことではありません。
むしろ本質は、
相手の中から“行動の芽”を引き出すこと
にあります。

そのために欠かせないのが、
本人の口で“やること”を語ってもらう質問
です。

行動を約束させるのではなく、
行動したくなる“内側のスイッチ”を押す。
そのスイッチは、質問を通してしか押せません。


■ 質問は「指示の代わり」ではなく「主体性の呼び水」

人は、自分で言語化した瞬間に、責任感と当事者意識が芽生えます。
これは、経営者支援の現場で痛いほど感じてきた真理です。

ある企業のリーダーが、部下に細かく指示しても全く改善しない、という相談をされました。
伺ってみると、リーダーが全部答えを先に渡してしまっていたのです。

私はこうお伝えしました。
「それでは“やらされる側”のままですわ。自分で言って初めて“やる側”に変わるんです」

次の週、そのリーダーは質問型に切り替えました。

  • 「どう進めるのが一番良さそう?」

  • 「まず何から着手する?」

  • 「どんな結果になれば成功だと言える?」

すると驚くほど、部下の行動に温度が生まれたのです。
本人の言葉で語った瞬間、その行動は“自分のもの”になります。


■ 良い質問は、行動の“設計図”になる

良い質問は、相手の頭と心の中に“行動の地図”を描かせます。

たとえば仕事の依頼をする場面なら、

  • 「この仕事、どう進めるイメージ?」

  • 「悩みそうなポイントはどこ?」

  • 「最初の一歩は何にする?」

これらは単なる確認ではなく、行動の流れを言語化させる手助けになります。
言語化された行動は、迷いを減らし、実行力を高めます。

質問は、相手の未来を“自分ごと化”させる最高のツールです。


■ 質問が生み出すのは「納得感」ではなく「実感」

重要なのは、質問で生まれるのは理屈ではなく“実感”だということです。

「自分で決めた」
「自分で描いた」
「自分で選んだ」

この感覚があるだけで、行動のスピードも質も大きく変わります。

実感を伴った行動は、継続します。
逆に、実感のない行動は、すぐに止まります。

だからこそ、質問は“行動の起点”になるのです。


■ リーダーは「答えを与える」のではなく「答えが出る場をつくる」

リーダーがすべてを答えようとすると、相手は育ちません。
しかし、答えが生まれる“場”をつくるリーダーの下では、人は勝手に伸びていきます。

質問するとは、「相手を信じる」姿勢の表れでもあります。

私は経営者の方々と向き合うたびに、
“答えを押しつけない勇気”こそが、リーダーの器を決める
と感じています。

本人発アクションを引き出す質問は、
組織に“自走する力”を育てる、強力なリーダーシップの技術なのです。

④ 達成後の気持ちを問う:未来の感情設計

人は、「やるべきこと」では動きません。
動くのはいつも、
“その先にどんな気持ちを味わえるか”
が見えたときです。

つまり、行動を後押しする最大の原動力は、
未来の感情 です。

この未来の感情にリーダーが寄り添う関わりこそ、
行動の継続力を生み出す“感情設計”になります。


■ 「達成したらどう感じていると思う?」の破壊力

私が経営支援の現場でよく使う質問のひとつが、

「これを達成したとき、あなたはどんな気持ちになっていますか?」

という問いです。

たったこれだけなのに、相手の表情がふっと柔らかくなる瞬間があります。

なぜか?
この質問は、相手の意識を「作業」から「未来の喜び」に移動させるからです。

未来の喜びに心が触れた瞬間、
行動の重さはスッと軽くなり、
“やらされている仕事” が “やりたい挑戦” に変わります。


■ 未来の感情が動くと、行動は前へ倒れる

人が未来の気持ちを先取りできたとき、行動の重心は前へ倒れます。

  • 達成した景色が浮かぶ

  • 自分の成長を感じられる

  • 周りの人の喜ぶ顔が思い浮かぶ

  • チームの未来が明るく見える

このように、“未来の感情”は行動の推進力そのものです。

逆に、感情が動かないと、
どれだけ正しい目標設定をしても、行動は生まれにくくなります。

私はよくリーダーの方にお伝えします。
「未来の感情を感じてもらうのは、リーダーの大事な仕事やで」と。


■ 感情を問うことは、相手の“内面に灯りをともす”行為

達成後の気持ちを問うというのは、単なる質問ではありません。
相手の内側に、そっと灯りをともすような関わりです。

この灯りがともると、

  • 自分はどこに向かっているのか

  • その先にどんな幸せがあるのか

  • 今の努力は何につながるのか

こうした意味づけが一気に整います。

意味づけが整った行動は、強い。
止まっていた行動にも、静かにエネルギーが流れ始めます。


■ リーダーが問うべきは「何をやるか」より「どう感じたいか」

行動計画だけを詰めていくと、どうしても組織は“やることの多さ”に疲弊します。
しかし、未来の感情を中心に据えると、行動は軽く、前向きなものに変わります。

  • 「どんな気持ちになっていたい?」

  • 「達成したら、誰に何て言われたい?」

  • 「その未来、あなたはどんな表情をしている?」

これらの問いは、相手の心の中に“行動の物語”を生み出します。

人は、物語のある未来へ向かって動くものです。

リーダーが相手の“未来の感情”を描き出すこと。
それは、単に行動を促す技術ではなく、
相手の人生に光を当てる、とても深いリーダーシップなのだと感じています。

経営者に必要な“実感のマネジメント”とは?

行動が変わる瞬間をつくるリーダーの習慣

リーダーとして長く現場に立っていると、
「人が本当に動き出す瞬間」というものが必ず見えてきます。

それは、劇的な変化の瞬間ではありません。
日々の中に潜む、小さな心のスイッチが入った “わずかな変化” です。

そして、この瞬間をつくれるかどうかは、
リーダーがふだんからどんな習慣を持っているか
で決まります。


■ 行動が変わる瞬間は、問いかけのあとに訪れる

行動が変わる瞬間は、「指示した後」ではありません。
「問いかけた後」に訪れます。

たとえば、

  • 「あなたはどうしたい?」

  • 「どこに一番価値を感じる?」

  • 「この仕事の意味は、何やと思う?」

こうした問いに、相手が自分の言葉で答えようとしたとき――
その時こそ、行動の芽がふくらみ始めている瞬間です。

リーダーの問いかけが、相手の思考を動かし、感情を揺らす。
そこから生まれる“内側のざわつき”こそ、行動の源泉です。


■ 小さな変化を見逃さない観察力

行動の変化には、大きな兆候もありますが、実は「小さな変化こそ宝」です。

  • 表情が少し明るくなった

  • メモを取る姿勢が変わった

  • 一言の返答に熱がある

  • 依頼していないのに下調べをしている

  • 会議後に少し話したがる

こうした微細な変化をつかめるリーダーは、
相手の変化を育むタイミングを逃しません。

私は経営者の方々にいつもお伝えしています。
「小さな変化に気づけるリーダーは、人の心に寄り添えている証拠です」と。


■ 結果より“プロセスの温度”を見る

成果を追うことは大切です。
しかし、人が動き始めたばかりのときは、
結果よりも“プロセスの温度”を見ることが重要です。

  • 以前より質問が増えた

  • 行動のスピードが速くなった

  • 自分なりの工夫をし始めた

こうした兆しは、まさに実感が芽生えている証拠。
この温度が上がり始めると、行動は自然に継続します。

リーダーは、この「温度の上昇」をいち早くキャッチし、
そこにそっと光を当てるだけで十分なのです。


■ リーダーの習慣は、周りの“未来の姿勢”をつくる

行動が変わる瞬間をつくるリーダーは、
以下のような習慣を自然と身につけています。

  • 一方的に決めない

  • まず相手の気持ちに耳を澄ます

  • 未来の景色を言葉にする

  • 小さな行動の芽を褒める

  • 「問い」を大切にする

これらの習慣は、組織に“未来へ向かう姿勢”をつくり出します。

私はよく感じるのですが、
リーダーの習慣こそ、組織文化の最初の種になります。
そして、その種が芽吹いたとき、人は気づけば前に進んでいるものです。

組織の実行力を高める“継続の設計図”

人が動き出す“きっかけ”をつくることも大切ですが、
本当に成果を生むのは、
行動が継続し、組織に定着する仕組みをつくれるかどうか
です。

私はこれを「継続の設計図」と呼んでいます。

行動を生み出すだけでは、単発の成果に終わる。
しかし継続の設計図があれば、
“実感 → 実行 → 成果 → 自信” のサイクルが回り続け、
組織そのものの実行力が底上げされます。


■ 継続の鍵は「小さな成功の蓄積」

継続のはじまりは、大きな成果ではありません。
むしろ、
“小さな成功の積み重ね”こそが、継続の土台
です。

  • 小さな改善ができた

  • 昨日より一歩進んだ

  • 相談の質が変わった

  • 自分から動く場面が増えた

こうした成功は、小さすぎて見落とされがちですが、
リーダーがそこに光を当てることで、
本人の中で“できる実感”が育ちます。

この「できる実感」が積み重なるほど、
行動は継続しやすくなります。


■ 行動の“仕組み化”は、負担を減らすためにある

継続の設計図に必要なのは、
行動を“気合い”に頼らず、 “仕組み”に落とすことです。

  • 朝の3分ミーティングで行動宣言

  • 週次の振り返りで「実感ポイント」を言語化

  • チーム内で成功事例を共有

  • 小さな達成を可視化するボードをつくる

こうした仕組みは、
「動くことが当たり前」の空気を自然に育てます。

行動に熱が必要なのは最初だけ。
あとは仕組みが行動を支えてくれます。


■ 組織全体が「主体的に動く文化」を築く

行動の継続は、個人の問題ではありません。
組織文化の問題です。

主体的に動く文化のある組織には、必ず以下の特徴があります。

  • 失敗を責めない

  • 挑戦を歓迎する

  • 成果よりプロセスを重視

  • 相談や対話が日常にある

  • リーダーが一番学んでいる

こうした文化は、
リーダーの行動習慣から静かに広がり、
チーム全体の空気を変えていきます。

私は経営者の方々と話すたびにこう感じます。

「仕組み」と「文化」が育てば、組織は自走し始める。

リーダーがつくるのは、
人を“動かす方法”ではなく、
人が“動き続ける環境”なのです。


■ 継続の設計図がある組織は、強い

変化の大きい時代だからこそ、
継続できる組織が圧倒的な強さを持ちます。

  • 実行力

  • 自走力

  • 未来志向

  • 主体性

  • チーム力

これらはすべて、継続の設計図から生まれます。

リーダーであるあなたが“一歩先の未来”を見せ、
行動をつくり、継続させ、文化にする。

その積み重ねが、
組織の未来を大きく動かしていくのです。

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