【動かない】
相手の反応を見てて
他人事で残念な気持ちになる
そんな時、あるよねぇ
が、自分が変わっていこう
相手の《実感なくして実行なし》
人が動く工夫4選
①感情に訴える
②ゴールイメージを示す
③本人発アクションを言ってもらう
④ 達成した時の気持ちを問う
【感情×当事者意識】どうだろう— ふさぽ@経営者 (@future_support) November 15, 2025
なぜ人は“動かない”のか?──行動が止まるメカニズム
リーダーが見落としがちな「相手の世界」
私たちリーダーは、日々の忙しさの中で「相手がなぜ動かないのか」という問いに向き合う機会が増えていきます。しかし、その理由を“相手の能力”や“姿勢”だけに求めてしまうと、本質を見落としてしまいます。
実は、行動の出発点になるのは 相手の内側にある“世界”──つまり、「どんな感情で、どんな景色を見て、どんな意味づけをしているのか」という内的体験です。
私も経営者として長くリーダーと向き合ってきましたが、行動が止まっている人の多くは、怠けているわけでも反発しているわけでもありません。
単に、心が動く材料が不足しているだけなのです。
ある経営者の方が、「何度言っても伝わらないんですよ」と嘆かれていました。しかし詳しく伺うと、伝えている“事実”はあっても、相手が“どう感じているか”に意識が向いていなかったのです。
そのとき私は思わず、「そりゃ動かへんわ」と心の中でつぶやいたものです。
相手の世界を理解するとは、甘やかすことでも、迎合することでもありません。
相手が置かれている状況、抱えている不安、見えている未来──そういった“感情の地図”に寄り添うことで、初めてリーダーの言葉は血の通ったメッセージになります。
組織が動かない背景には「やり方の問題」よりも、「見えている世界が違う」というズレが横たわっています。
そして、そのズレを埋める最初の一歩こそ、相手の内側に静かに耳を傾ける姿勢なのです。
感情と当事者意識が欠けると何が起きるのか
人が動かない場面をよくよく観察すると、そこには共通した“力の抜け落ち”が存在します。
それが 感情 と 当事者意識 の欠如です。
リーダーとしての私自身の経験から感じるのは、仕事とは理屈だけでは動かないという事実です。
「あの案件、進んでる?」
「この資料、まだ?」
こうした確認や指示が積み重なるほど、組織は“やらされ感”を帯び、動きが重くなっていきます。
なぜか?
それは、心が動いていないからです。
感情が伴わない行動は、どれだけ正しいことであっても長続きしません。
人は「やるべきこと」で動くのではなく、「やりたい理由」で動き続けます。
この差は、現場の空気を大きく変えるほどの力を持っています。
そしてもう一つ、当事者意識が欠けると、指示は“自分ごと”として扱われません。
「上が決めたこと」
「会社の方針」
「やらされている仕事」
こうなると、行動の主体が自分ではなく外側にあるため、行動する力が弱まります。
ある経営者の方から「社員の発言が他人事なんですよ」と相談を受けた時も、まさにこの状態でした。
話を聞くと、方針説明も業務依頼も全て“上からの伝達”。
相手が自分の言葉で語る場面がほとんどなかったのです。
当事者意識は、自分で言葉にした瞬間に芽生えます。
これは、どんな場面でも変わりません。
感情が動く、主体性が生まれる、この2つが揃って初めて「実感」が生まれます。
そしてこの“実感”こそが、人を動かすエンジンになります。
組織の停滞は、スキルの問題よりも、実は“心の稼働率”が下がっていることによって生じるケースが多いと感じています。
だからこそ、リーダーには、感情と当事者意識の両方に働きかける姿勢が必要なのです。
リーダーが変わると組織が動く理由
指示より影響力──行動を引き出す関わり方
経営の現場では、「もっと主体的に動いてほしい」「自ら動く人材を育てたい」という声をよく聞きます。
しかし、指示を増やしても、人は主体的にはなりません。むしろ、指示が強くなるほど“受け身の文化”が育ってしまうことすらあります。
私が30年以上、経営者と向き合ってきて痛感しているのは、
組織を動かすのは指示ではなく、影響力である
ということです。
影響力とは、「この人のためにやりたい」「この人と一緒に進みたい」と思ってもらえる関わり方の総体です。
そしてそれは、肩書きの強さではなく、関わり方の深さがつくり出します。
特に大切なのは、
相手の可能性を信じ、それを行動で示すこと
です。
ある中小企業の若手リーダーが、「部下がどうしても受け身で…」と相談されたことがあります。
話を伺うと、普段から細かく指示を出し、「最短ルート」を先回りしてあげている様子でした。
私はそっとこうお伝えしました。
「それ、部下さんの“考える力”を奪ってしまってますわ」
最初はショックを受けておられましたが、翌週には「任せる姿勢」に切り替え、問いかけを中心にコミュニケーションを変えられたのです。
すると驚くほど部下が動き始め、「自分の提案ですが…」という言葉が出てきたとのこと。
行動は“内側から湧く力”に支えられなければ続きません。
だからこそ、リーダーが影響力を発揮するためには、
相手の成長を信じて任せる
行動の背景にある想いに寄り添う
判断を委ねる“余白”をつくる
この3つが欠かせません。
指示で動く組織は、リーダーがいないと止まります。
しかし、影響力で動く組織は、リーダーがいなくても前へ進みます。
そこに、持続的な成長の鍵があるのです。
“実感のマネジメント”が成果を左右する
私がこれまで多くの経営者の方と向き合ってきて強く感じるのは、
人は「理解したから」動くのではなく、「実感したから」動く
という動かしがたい事実です。
どれだけ丁寧に説明しても、どれほどロジックを積み上げても、
相手の中に“実感”が生まれなければ、行動には結びつきません。
逆に、実感さえ伴えば、多少説明が不足していたとしても人は動きます。
それほどまでに「実感」は行動のエンジンなのです。
■ 実感とは何か?
実感とは、
相手が自分の内側で「分かった」「できそう」「やってみたい」と感じた瞬間に宿る“心の手触り”
のようなものです。
・腑に落ちる
・自分事になる
・未来が見える
こうした感覚がそろったとき、「実行」に変わる準備が整います。
つまり、実感とは“行動直前の心の状態”であり、ここをつくることこそが、リーダーに求められる マネジメント技術 なのです。
■ “実感のマネジメント”が弱い組織には何が起きるか?
実感をつくる関わりが弱いと、組織には次のような現象が起きます。
指示待ちが増える
行動に温度がない
表面上の理解で止まり、継続しない
何度伝えても同じところでつまずく
これは能力不足ではなく、心の準備が整っていないだけなのです。
リーダーとしての私自身の経験でも、実感が欠けたまま走り出すと、後で必ず立ち止まる場面が訪れました。
反対に、相手が“自分の言葉で語れる状態”まで伴走すると、行動は軽やかに、しかも継続的に進んでいきました。
■ 実感を生むのは「語ること」ではなく「引き出すこと」
リーダーが一方的に語るだけでは、実感は生まれません。
実感は、相手が考え、言葉にし、気持ちを動かしたときに生まれます。
だからこそ、実感のマネジメントとは、
相手の気持ちを言語化させる
自分の未来を自分の口で語ってもらう
小さな成功の“感触”を味わってもらう
これらを丁寧に積み重ねていく関わりです。
私はよくリーダーの方にお伝えしています。
「実感をつくれるリーダーは、自然と実行を生むリーダーです」と。
実感のマネジメントは、組織の実行力を底上げする“見えない技術”。
ここに気づいた瞬間、あなたのリーダーシップは大きく変わり始めます。
感情を動かすコミュニケーション術
① 感情に訴える:心のスイッチを押す方法
リーダーが人を動かす際に、もっとも見落とされがちなポイントが 「感情に触れること」 です。
“感情”という言葉を聞くと、「そんなものに頼るのか」と冷ややかに捉える方もおられますが、私は断言します。
行動の最初の火種は、必ず感情である。
これは30年以上、経営者・リーダーの現場を歩いてきた実感です。
■ 行動の根っこは“気持ち”にある
人が動くとき、そこには必ず
心が揺れた
気持ちが動いた
未来に希望が見えた
こうした小さな変化があります。
反対に、どれだけ正しい指示や方針を伝えても、
相手の心に何も触れていなければ、行動は重くなります。
ある後継者の方が、方針説明会でどれだけ丁寧に未来像を語っても社員が動かない、と相談されました。
話を伺うと、方針の「内容」は立派なのですが、
“なぜ自分がその未来を実現したいのか”という熱が言葉に乗っていなかった のです。
私はその方にこうお伝えしました。
「人は内容では動きません。あなたの“想いの温度”で動くんです」
翌月、語り方を変えられた結果、会議後に複数の社員が自発的な提案を持ってこられたそうです。
感情が伝わると、行動は一気に変わります。
■ 感情に訴えるには、ストーリーを重ねる
感情は、“情報”ではなく“ストーリー”に反応します。
なぜ、この取り組みが必要なのか
どんな景色を一緒に見たいのか
自分がどんな想いで仕事に向き合っているのか
こうした背景や想いを語ることで、相手はあなたの話を“聞くモード”から“受け取るモード”へと切り替えます。
私は講演でも必ず、冒頭に「想いのストーリー」を話すようにしています。
すると、その場の空気がスッと柔らぎ、人の心にスペースが生まれるのです。
■ 感情へのアプローチは、相手を動かす前に“自分を動かす”
じつは、感情に訴える話し方は、相手よりも先に 自分自身の気持ちを整える行為 でもあります。
自分が何に心を動かされ、何のためにリーダーをしているのか。
この原点を語るたび、自分の中に一本の軸が通ります。
人を動かす前に、自分の心が動いているか。
これはリーダーにとって非常に大切な視点です。
■ 感情が動くと、行動が自然に前に進む
感情のスイッチが入った瞬間、行動は軽くなります。
「やらされている仕事」が「やりたい挑戦」に変わる
「面倒な作業」が「意義ある役割」になる
「上からの方針」が「自分の未来」になる
リーダーが感情に寄り添う関わりを始めると、組織の空気は確実に変わります。
そして、その変化が積み重なったとき、
“実感を土台にした実行力”が、静かに育っていくのです。
② ゴールイメージを示す:未来を“見せる”技術
人が動き出すときには、必ず 「どこへ向かっているのか」 が見えているものです。
逆に、行動が止まるときは、たいてい目的地が曖昧だったり、“自分がそこに関わる理由”が見えていません。
だからこそリーダーには、
相手の頭と心の中に“未来の映像”を届ける力
が求められます。
ここでいうイメージとは、抽象的な理想論ではありません。
相手が「その景色、見てみたい」と思えるほど、臨場感のある“未来の具体像”です。
■ 未来が見えると、人は自然に動き出す
私がご支援してきた企業でも、停滞していたチームが急に動き出す瞬間があります。
その瞬間には必ず、リーダーが未来のゴールを鮮明に語った場面が存在します。
例えば、
「この新規事業が軌道に乗れば、地域で唯一の○○企業になれる」
「3年後、この部署は“選ばれる部署”に変わっているはずや」
「このプロジェクトが成功したら、あなたの強みが会社の柱になりますよ」
こうした言葉が響くのは、単にゴールを説明しているからではなく、
未来の自分像と組織像が重なった瞬間に、“心が前へ倒れる”からです。
人は「未来の重心」が前に倒れたときに、行動が自然に前へ進みます。
■ ゴールは“数字”よりも“景色”で語る
もちろん数字の目標も大切です。
しかし、数字だけでは心は動きません。
数字は「目標」ですが、
景色は「未来の体験」だからです。
「売上 3億を目指そう」よりも、
「社員全員が胸を張って“この仕事がおもしろい”と言える会社にしたい」
と言われた方が、心が動いた経験はありませんか?
数字は頭で理解できます。
しかし景色は、心に届くのです。
■ 「自分が何を見ているか」を丁寧に伝える
ゴールイメージは、リーダー自身が“先に見ている未来”を共有するところから始まります。
どんな未来が見えているのか
そこにどんな人が関わっているのか
その未来が実現したら、どんな空気が流れるのか
自分自身はその未来にどんな感情を抱いているのか
これらを丁寧に語ることは、単に目標を伝える以上の意味を持ちます。
それは、
「私は本気でこの未来を見ている」
というメッセージを、無言で相手に示す行為だからです。
リーダーの目の前に未来が広がれば広がるほど、
そこに関わる人たちの視界も明るくなっていきます。
■ ゴールイメージは“希望”をつくり出す
未来が見えると、行動に意味が生まれます。
意味が生まれると、行動の質が変わります。
そして、行動の質が変わると、組織全体に“前に進む空気”が流れはじめます。
希望のある組織は、強い。
未来が見えるチームは、迷わない。
リーダーが未来を見せることは、単なる目標設定ではなく、
組織に“希望の灯”をともす仕事なのだと、私は感じています。
当事者意識を高める関わり方
③ 本人発アクションを引き出す質問
リーダーの役割は、ただ「やり方を教える」ことではありません。
むしろ本質は、
相手の中から“行動の芽”を引き出すこと
にあります。
そのために欠かせないのが、
本人の口で“やること”を語ってもらう質問
です。
行動を約束させるのではなく、
行動したくなる“内側のスイッチ”を押す。
そのスイッチは、質問を通してしか押せません。
■ 質問は「指示の代わり」ではなく「主体性の呼び水」
人は、自分で言語化した瞬間に、責任感と当事者意識が芽生えます。
これは、経営者支援の現場で痛いほど感じてきた真理です。
ある企業のリーダーが、部下に細かく指示しても全く改善しない、という相談をされました。
伺ってみると、リーダーが全部答えを先に渡してしまっていたのです。
私はこうお伝えしました。
「それでは“やらされる側”のままですわ。自分で言って初めて“やる側”に変わるんです」
次の週、そのリーダーは質問型に切り替えました。
「どう進めるのが一番良さそう?」
「まず何から着手する?」
「どんな結果になれば成功だと言える?」
すると驚くほど、部下の行動に温度が生まれたのです。
本人の言葉で語った瞬間、その行動は“自分のもの”になります。
■ 良い質問は、行動の“設計図”になる
良い質問は、相手の頭と心の中に“行動の地図”を描かせます。
たとえば仕事の依頼をする場面なら、
「この仕事、どう進めるイメージ?」
「悩みそうなポイントはどこ?」
「最初の一歩は何にする?」
これらは単なる確認ではなく、行動の流れを言語化させる手助けになります。
言語化された行動は、迷いを減らし、実行力を高めます。
質問は、相手の未来を“自分ごと化”させる最高のツールです。
■ 質問が生み出すのは「納得感」ではなく「実感」
重要なのは、質問で生まれるのは理屈ではなく“実感”だということです。
「自分で決めた」
「自分で描いた」
「自分で選んだ」
この感覚があるだけで、行動のスピードも質も大きく変わります。
実感を伴った行動は、継続します。
逆に、実感のない行動は、すぐに止まります。
だからこそ、質問は“行動の起点”になるのです。
■ リーダーは「答えを与える」のではなく「答えが出る場をつくる」
リーダーがすべてを答えようとすると、相手は育ちません。
しかし、答えが生まれる“場”をつくるリーダーの下では、人は勝手に伸びていきます。
質問するとは、「相手を信じる」姿勢の表れでもあります。
私は経営者の方々と向き合うたびに、
“答えを押しつけない勇気”こそが、リーダーの器を決める
と感じています。
本人発アクションを引き出す質問は、
組織に“自走する力”を育てる、強力なリーダーシップの技術なのです。
④ 達成後の気持ちを問う:未来の感情設計
人は、「やるべきこと」では動きません。
動くのはいつも、
“その先にどんな気持ちを味わえるか”
が見えたときです。
つまり、行動を後押しする最大の原動力は、
未来の感情 です。
この未来の感情にリーダーが寄り添う関わりこそ、
行動の継続力を生み出す“感情設計”になります。
■ 「達成したらどう感じていると思う?」の破壊力
私が経営支援の現場でよく使う質問のひとつが、
「これを達成したとき、あなたはどんな気持ちになっていますか?」
という問いです。
たったこれだけなのに、相手の表情がふっと柔らかくなる瞬間があります。
なぜか?
この質問は、相手の意識を「作業」から「未来の喜び」に移動させるからです。
未来の喜びに心が触れた瞬間、
行動の重さはスッと軽くなり、
“やらされている仕事” が “やりたい挑戦” に変わります。
■ 未来の感情が動くと、行動は前へ倒れる
人が未来の気持ちを先取りできたとき、行動の重心は前へ倒れます。
達成した景色が浮かぶ
自分の成長を感じられる
周りの人の喜ぶ顔が思い浮かぶ
チームの未来が明るく見える
このように、“未来の感情”は行動の推進力そのものです。
逆に、感情が動かないと、
どれだけ正しい目標設定をしても、行動は生まれにくくなります。
私はよくリーダーの方にお伝えします。
「未来の感情を感じてもらうのは、リーダーの大事な仕事やで」と。
■ 感情を問うことは、相手の“内面に灯りをともす”行為
達成後の気持ちを問うというのは、単なる質問ではありません。
相手の内側に、そっと灯りをともすような関わりです。
この灯りがともると、
自分はどこに向かっているのか
その先にどんな幸せがあるのか
今の努力は何につながるのか
こうした意味づけが一気に整います。
意味づけが整った行動は、強い。
止まっていた行動にも、静かにエネルギーが流れ始めます。
■ リーダーが問うべきは「何をやるか」より「どう感じたいか」
行動計画だけを詰めていくと、どうしても組織は“やることの多さ”に疲弊します。
しかし、未来の感情を中心に据えると、行動は軽く、前向きなものに変わります。
「どんな気持ちになっていたい?」
「達成したら、誰に何て言われたい?」
「その未来、あなたはどんな表情をしている?」
これらの問いは、相手の心の中に“行動の物語”を生み出します。
人は、物語のある未来へ向かって動くものです。
リーダーが相手の“未来の感情”を描き出すこと。
それは、単に行動を促す技術ではなく、
相手の人生に光を当てる、とても深いリーダーシップなのだと感じています。
経営者に必要な“実感のマネジメント”とは?
行動が変わる瞬間をつくるリーダーの習慣
リーダーとして長く現場に立っていると、
「人が本当に動き出す瞬間」というものが必ず見えてきます。
それは、劇的な変化の瞬間ではありません。
日々の中に潜む、小さな心のスイッチが入った “わずかな変化” です。
そして、この瞬間をつくれるかどうかは、
リーダーがふだんからどんな習慣を持っているか
で決まります。
■ 行動が変わる瞬間は、問いかけのあとに訪れる
行動が変わる瞬間は、「指示した後」ではありません。
「問いかけた後」に訪れます。
たとえば、
「あなたはどうしたい?」
「どこに一番価値を感じる?」
「この仕事の意味は、何やと思う?」
こうした問いに、相手が自分の言葉で答えようとしたとき――
その時こそ、行動の芽がふくらみ始めている瞬間です。
リーダーの問いかけが、相手の思考を動かし、感情を揺らす。
そこから生まれる“内側のざわつき”こそ、行動の源泉です。
■ 小さな変化を見逃さない観察力
行動の変化には、大きな兆候もありますが、実は「小さな変化こそ宝」です。
表情が少し明るくなった
メモを取る姿勢が変わった
一言の返答に熱がある
依頼していないのに下調べをしている
会議後に少し話したがる
こうした微細な変化をつかめるリーダーは、
相手の変化を育むタイミングを逃しません。
私は経営者の方々にいつもお伝えしています。
「小さな変化に気づけるリーダーは、人の心に寄り添えている証拠です」と。
■ 結果より“プロセスの温度”を見る
成果を追うことは大切です。
しかし、人が動き始めたばかりのときは、
結果よりも“プロセスの温度”を見ることが重要です。
以前より質問が増えた
行動のスピードが速くなった
自分なりの工夫をし始めた
こうした兆しは、まさに実感が芽生えている証拠。
この温度が上がり始めると、行動は自然に継続します。
リーダーは、この「温度の上昇」をいち早くキャッチし、
そこにそっと光を当てるだけで十分なのです。
■ リーダーの習慣は、周りの“未来の姿勢”をつくる
行動が変わる瞬間をつくるリーダーは、
以下のような習慣を自然と身につけています。
一方的に決めない
まず相手の気持ちに耳を澄ます
未来の景色を言葉にする
小さな行動の芽を褒める
「問い」を大切にする
これらの習慣は、組織に“未来へ向かう姿勢”をつくり出します。
私はよく感じるのですが、
リーダーの習慣こそ、組織文化の最初の種になります。
そして、その種が芽吹いたとき、人は気づけば前に進んでいるものです。
組織の実行力を高める“継続の設計図”
人が動き出す“きっかけ”をつくることも大切ですが、
本当に成果を生むのは、
行動が継続し、組織に定着する仕組みをつくれるかどうか
です。
私はこれを「継続の設計図」と呼んでいます。
行動を生み出すだけでは、単発の成果に終わる。
しかし継続の設計図があれば、
“実感 → 実行 → 成果 → 自信” のサイクルが回り続け、
組織そのものの実行力が底上げされます。
■ 継続の鍵は「小さな成功の蓄積」
継続のはじまりは、大きな成果ではありません。
むしろ、
“小さな成功の積み重ね”こそが、継続の土台
です。
小さな改善ができた
昨日より一歩進んだ
相談の質が変わった
自分から動く場面が増えた
こうした成功は、小さすぎて見落とされがちですが、
リーダーがそこに光を当てることで、
本人の中で“できる実感”が育ちます。
この「できる実感」が積み重なるほど、
行動は継続しやすくなります。
■ 行動の“仕組み化”は、負担を減らすためにある
継続の設計図に必要なのは、
行動を“気合い”に頼らず、 “仕組み”に落とすことです。
朝の3分ミーティングで行動宣言
週次の振り返りで「実感ポイント」を言語化
チーム内で成功事例を共有
小さな達成を可視化するボードをつくる
こうした仕組みは、
「動くことが当たり前」の空気を自然に育てます。
行動に熱が必要なのは最初だけ。
あとは仕組みが行動を支えてくれます。
■ 組織全体が「主体的に動く文化」を築く
行動の継続は、個人の問題ではありません。
組織文化の問題です。
主体的に動く文化のある組織には、必ず以下の特徴があります。
失敗を責めない
挑戦を歓迎する
成果よりプロセスを重視
相談や対話が日常にある
リーダーが一番学んでいる
こうした文化は、
リーダーの行動習慣から静かに広がり、
チーム全体の空気を変えていきます。
私は経営者の方々と話すたびにこう感じます。
「仕組み」と「文化」が育てば、組織は自走し始める。
リーダーがつくるのは、
人を“動かす方法”ではなく、
人が“動き続ける環境”なのです。
■ 継続の設計図がある組織は、強い
変化の大きい時代だからこそ、
継続できる組織が圧倒的な強さを持ちます。
実行力
自走力
未来志向
主体性
チーム力
これらはすべて、継続の設計図から生まれます。
リーダーであるあなたが“一歩先の未来”を見せ、
行動をつくり、継続させ、文化にする。
その積み重ねが、
組織の未来を大きく動かしていくのです。
