【マインドセット】
「知識」「情報」「ノウハウ」が欲しいのはわかる
短期的な成果も、合えばでやすいのかもしれない
けれど「経営はマラソン競走」
関係先の経営者が放った口癖を想い出す
成果を〈持続的〉に高めたり
経営への不安を〈チャンス〉に替えたり…
想いや捉え方を、いかに高めるかが大事— ふさぽ@経営者 (@future_support) November 1, 2025
経営はマラソン競走──“走り続ける力”が問われる時代へ
経営者に求められるのは瞬発力ではなく「持久力」
「経営はマラソン競走」。この言葉を、私が最初に耳にしたのはある老舗企業の経営者との対話の中でした。
その方はこう言いました。
「短距離走のように息を切らして走っていたら、いつか必ず足が止まる。経営は長い道のりやで。」
この一言が、私の中でずっと残っています。
多くの経営者が「成果」を求め、短期的な売上や数字を追いかけます。もちろん、それ自体は悪いことではありません。しかし、瞬発力だけで走り抜けようとすると、必ずどこかで燃え尽きる。問題は「結果を出すこと」よりも、「結果を出し続けること」です。
マラソンにおいては、序盤に飛ばしすぎれば後半に失速します。同じように、経営もペース配分を誤れば、いくら好調でも事業のバランスが崩れます。
大切なのは、短期的な加速よりも、長期的な呼吸――つまり“持久力”です。
持久力とは、単なる体力ではなく、「理念を信じ続ける力」でもあります。
市場が揺れても、数字が乱れても、信念を見失わない。その安定感こそが、社員や顧客の信頼を生むのです。
経営者は、会社の「呼吸のリズム」を整える存在でもあります。走る速さではなく、どれだけブレずに走り続けられるか。そこにこそ、経営の真価が問われるのだと私は感じています。
マラソンにたとえると見えてくる経営の本質
マラソンには、単なる“長距離走”を超えた哲学があります。
スタート直後は観客の声援に包まれ、心拍も高まり、誰もが全力で飛び出します。ところが、10km、20kmと進むにつれ、体力よりも「心の声」が勝負を分け始める。
「もうやめたい」「ペースを落とそう」――その内なる声に、どう向き合うか。ここに、経営とマラソンの共通点があります。
経営者の人生もまた、長距離の道です。市場環境は変わり、社員の世代も入れ替わる。時に想定外の坂道(不況やトラブル)もあれば、思いがけない追い風(好調な業績)もある。
しかし、どちらのときも「焦らず、自分の軸で走り続ける」ことが、最も重要なのです。
マラソンランナーは、ゴールテープを切る瞬間だけを目的にしていません。途中の呼吸、リズム、給水、仲間との並走――すべてが“走る”という行為の一部です。
経営も同じく、決算や受注という“結果”のためだけに存在するのではなく、理念や人との関係性を育みながら進む“過程”にこそ、真の価値があります。
「マラソン経営」とは、結果を追うだけでなく、プロセスを楽しみ、学びに変え、歩みを止めない経営です。
経営者がその姿勢を体現している限り、企業は必ず前へ進み続けるのです。
「知識」や「ノウハウ」では埋まらない経営の壁
情報過多の時代に陥る“短期成果症候群”とは
現代の経営者は、かつてないほど多くの情報に囲まれています。
SNSや動画、セミナー、オンライン講座──あらゆる場で「成功法」や「勝ちパターン」が氾濫しています。
しかし、その情報の多さこそが、経営者を迷わせているのかもしれません。
私がこれまで関わってきた経営者の中にも、「すぐに結果が出る方法」を求めて、次々と新しいノウハウに手を出す方が少なくありません。
けれど、それは一種の“短期成果症候群”です。短距離走のように一時的なスパートを繰り返すうちに、心も体も疲弊していく。気づけば、「何のために走っているのか」さえ見えなくなってしまうのです。
経営において本当に怖いのは、「失敗」ではなく「焦り」です。
焦りは判断を誤らせ、必要な投資も育成も中断させてしまいます。情報の波に飲まれ、目先の数字ばかりを追いかけてしまうと、企業としての“軸”がどんどん薄れていく。
情報は“武器”にもなりますが、使い方を誤れば“毒”にもなる。
経営者にとって必要なのは、情報量ではなく「情報をどう捉え、どう活かすか」という見極めの力です。
その力を養うには、外の声よりも、まず自分自身の内側の声――つまり“理念”と“志”に耳を傾けること。
経営の持続性は、知識の量ではなく、思考の深さに比例する。
それが、私が多くの経営者と歩んできて感じる確かな実感です。
経営者が忘れがちな「心の筋力」をどう鍛えるか
経営において、知識やスキルは“筋肉”のようなものです。
しかし、その筋肉を動かすための「心の筋力」が弱っていれば、どんな立派な理論も活かしきれません。
経営者としての“心の筋力”とは、困難に出会ったときに「折れない心」でいられるかどうか。
数字が思うように伸びない時、社員の離職が続く時、計画が頓挫する時――そのときに踏ん張る力があるか。
それは精神論ではなく、まさに“経営者の体幹”のようなものです。
私はこれまで、多くの経営者がこの「心の筋力」を見落としていると感じてきました。
勉強熱心で、行動も早い。しかし、成果が出ないと落ち込み、人間関係の摩擦が起こると心が折れてしまう。
そうしたときにこそ問われるのが、“ブレない心”です。
心の筋力は、日々の鍛錬からしか生まれません。
たとえば、朝のルーティンを守る、スタッフに感謝の言葉を伝える、週に一度は「立ち止まる時間」をつくる。
一見小さな行動の積み重ねが、やがて経営者としての安定したメンタルを育てていきます。
スポーツの世界でも、基礎トレーニングを怠る選手はいません。
経営者も同じです。心の筋力は、日々の「意識の使い方」で鍛えられます。
「やらなければならない」ではなく、「やり抜く」と決める意識。
その小さな積み重ねこそが、持続的な成果を生む“経営の体力”につながるのです。
不安をチャンスに変える“マインドセット”の正体
不安を敵ではなく「伴走者」として迎える
経営をしていると、不安が消える瞬間はありません。
景気の波、社員の成長、顧客の反応、資金繰り……。どれも一歩間違えれば、経営の舵を狂わせる要因になります。
だからこそ、多くの経営者が「不安をなくしたい」と口にします。
しかし、私は思うのです。不安は“消すもの”ではなく、“共に走るもの”だと。
マラソンランナーも、スタート前には緊張します。
心拍数が上がり、「最後まで走れるだろうか」と不安になる。
けれど、その不安があるからこそ、自分を律し、ペースを整え、集中力を高めるのです。
経営者も同じです。不安は敵ではなく、油断を防ぐパートナー。むしろ、不安があることが「真剣に経営している証」なのです。
私が出会ったある経営者は、常に穏やかで、周囲から“安心感のある人”と評判でした。
しかし本人に話を聞くと、実は毎朝「今日もうまくいくだろうか」と不安を感じていたと言います。
それでも、「不安を感じる自分を責めるのではなく、“確認するチャンス”と捉えている」と笑っていました。
不安があるからこそ、確認し、準備し、そして改善できる――この姿勢こそが、真のリーダーシップだと思います。
不安を無理に押し殺そうとするより、受け入れ、活かす。
それが「経営マインド」の成熟です。
不安を伴走者として迎え入れる経営者ほど、長い距離をしなやかに走り抜けるのです。
経営判断を支える“捉え方の質”を高める方法
経営判断の善し悪しは、情報量よりも「捉え方の質」で決まります。
同じ出来事を“問題”と見るか、“機会”と見るかで、その後の行動も結果もまったく変わる。
つまり、経営者の視点が変われば、会社の未来が変わるのです。
私はこれまで数多くの経営者と向き合ってきましたが、長く成果を出し続ける方々には共通点があります。
それは「現象に一喜一憂せず、意味を見出す力」を持っているということです。
売上が落ちても、「学ぶチャンスが来た」と捉える。
社員が辞めても、「組織を見直す機会」と受け止める。
その“意味付けの柔軟さ”が、結果として前向きな経営判断を導いているのです。
では、捉え方の質を高めるにはどうすればよいか。
ポイントは、「事実」と「感情」を分けて見る習慣を持つことです。
人は感情に引っ張られると、冷静な判断を失います。
「腹が立つ」「焦る」といった感情が先に立つと、視野が狭まり、経営の全体像を見失ってしまう。
だからこそ、一呼吸置いて「今、何が起きているのか」「なぜ起きているのか」を整理することが大切です。
私は経営者の方に、こうお伝えしています。
「事実は変えられませんが、捉え方は変えられます」と。
捉え方を変えるだけで、見える景色が変わり、行動の選択肢が増える。
これこそが、経営の“持久力”を支えるマインドの本質だと考えます。
成果を〈持続的〉に高めるための3つの思考転換
「完璧」より「継続」を選ぶ勇気
多くの経営者が、無意識のうちに「完璧」を目指しています。
ミスのない計画、理想のチーム、隙のない戦略。
しかし、完璧を追い求めすぎるあまり、動けなくなってしまうケースを私は何度も見てきました。
経営は、常に不確実性の中を進む行為です。
市場は変化し、社員も変わる。だからこそ「完璧に整ってから始めよう」と考えていたら、一歩を踏み出すタイミングを永遠に失ってしまう。
むしろ、完璧さよりも大切なのは、“続ける勇気”です。
継続とは、毎日同じことを繰り返すことではありません。
昨日より少しだけ良くする、昨日の反省を今日に活かす――その積み重ねが「持続的な成果」を生むのです。
完璧を求めて止まるより、未完成のままでも動き続けるほうが、ずっと遠くまで行ける。
ある老舗企業の経営者が、私にこんな言葉を残しました。
「止まった車は、ハンドルを切っても方向は変わらん。走りながらでないと舵は切れんのや。」
まさに経営そのものです。完璧を求めるより、動き続けることで修正が効く。
継続とは、忍耐ではなく信念の表れです。
自らの理念を信じ、日々の努力を積み重ねる経営者こそ、長期的な成果を手にする。
“完璧さ”ではなく、“続ける力”こそが、真のリーダーの証なのです。
「比較」より「自分のペース」を守る覚悟
経営者として走り続けていると、どうしても他社の成長や同業の動きが気になります。
「なぜあの会社は伸びているのか」「自分のやり方は遅れていないか」――。
気づけば、他人のスピードを基準に、自分の経営を評価してしまう。
これこそが、持続的成長を妨げる最大の落とし穴です。
マラソンでは、他人のペースに合わせるランナーほど、後半に失速します。
人にはそれぞれの走り方、呼吸、リズムがある。
経営もまったく同じで、自社の理念や文化に合わないペースで走ると、どこかで歪みが生まれます。
私は経営者の方にこうお伝えしています。
「比較は成長の刺激にはなるが、判断の基準にはしてはいけない」と。
他社と比べるのではなく、“昨日の自分”と比べる。
一歩でも前に進んでいれば、それは立派な成長です。
ある中小企業の経営者は、業界の競争に追われる日々の中でこう語りました。
「他社を見るより、自社の歩幅を信じるようになってから、社員の顔が明るくなった」と。
焦りを手放したとき、ようやく本来のリズムを取り戻せたと言います。
経営の道はレースではありません。
誰かより速く走る必要も、派手に見せる必要もない。
自分のペースで、信じる方向へ歩み続ける――その覚悟こそが、企業を長く、しなやかに成長させるのです。
「焦り」より「整える」思考の習慣化
経営をしていると、焦りは常にそばにあります。
数字の変化、社員の動き、取引先の反応──どれもが心を揺さぶる要因になります。
焦りは一見、行動の原動力のように見えますが、実は最も判断を鈍らせる感情でもあります。
焦りが生まれる背景には、「今すぐ何とかしなければ」という強い思いがあります。
けれど、焦りのエネルギーは持続しません。
むしろ、焦りの中で下した決断は短絡的になりやすく、後に大きな修正が必要になることも少なくないのです。
マラソンで言えば、焦りは“無理なスパート”に似ています。
一瞬は順位が上がっても、呼吸が乱れ、体力を消耗してしまう。
一方、「整える」という意識を持つランナーは、呼吸を調え、姿勢を保ち、長く安定して走ることができます。
経営も同じです。
焦ったときこそ、「整える」ことに意識を向ける。
たとえば、机の上を片づける。会議の目的を見直す。言葉を丁寧に使う。
小さな整えが、思考と感情を落ち着かせ、次の正しい判断を導きます。
私は経営者にこう伝えています。
「焦って動くより、整えて進むほうが、結局は速い」と。
整えるとは、立ち止まることではなく、次の一歩をより確実にする準備のこと。
焦りを鎮め、整える習慣を持つ経営者こそ、長期的に成果を出し続ける人なのです。
経営者が磨くべき“在り方”というリーダーシップ
チームを導くのはスピードより“安定した姿勢”
現代の経営環境は、変化のスピードがかつてないほど速くなっています。
テクノロジーの進化、顧客ニーズの多様化、人材の流動化――。
だからこそ、多くの経営者が「スピード経営」という言葉を口にします。
けれど、私は思うのです。
本当にチームを導くのは、“速さ”ではなく“安定した姿勢”だと。
企業における経営者とは、まさにランナーであり、同時にペースメーカーでもあります。
トップが慌てれば、チームも慌てる。
トップが落ち着いていれば、現場にも落ち着きが生まれる。
経営とは「スピード」よりも、「姿勢」が連鎖していく営みなのです。
ある若手経営者がこんな言葉を残しました。
「自分が焦ると、社員の表情が曇るんです。でも、腹を決めて静かに構えると、不思議とチームが動き出す。」
まさにそれが、リーダーの“在り方”の力です。
安定した姿勢とは、ゆっくり動くことではありません。
むしろ、どんな嵐の中でも視線をぶらさず、判断軸を持ち続けること。
その姿勢が、チームに「この人となら走れる」という信頼を与えます。
経営とは、速さを競うマラソンではなく、伴走するチーム競技です。
リーダーが安定しているほど、社員は安心して全力を出せる。
経営者自身の“姿勢の安定”こそが、組織の持続的成長の原動力になるのです。
経営者自身の成長が、企業の成長を支える
企業の成長を語るとき、多くの経営者は「人材育成」や「仕組みづくり」を挙げます。
確かにそれらは重要です。
しかし、私が長年経営者と向き合ってきて痛感するのは――
**「経営者自身が変わらなければ、組織は変わらない」**という真実です。
経営は、鏡のようなものです。
社員の姿勢や言葉づかい、チームの空気感、業績の波――それらはすべて、トップの在り方を映し出しています。
たとえば、経営者が常に不安げな表情をしていれば、社員も安心して挑戦できません。
逆に、リーダーが「大丈夫、必ず道はある」と確信をもって言葉を発すれば、チームに勇気が伝わります。
ある企業の後継社長は、就任当初、組織の士気が低く悩んでいました。
しかし彼は、まず自分自身の習慣を見直しました。
朝一番にオフィスの掃除をし、社員一人ひとりに声をかけ、日々の出来事をノートに書き留めた。
それを半年続けた頃、社員たちが自然と笑顔で挨拶を交わすようになったと言います。
“自分が変われば、組織が変わる”――まさにその体現でした。
経営者の成長とは、新しい知識を増やすことだけではありません。
「自分の弱さを認める勇気」「周囲の声を聴く柔軟さ」「未来を信じる覚悟」――
これらの内面的な成熟こそが、企業を支える最大の資本です。
経営者が成長を止めない限り、企業もまた成長し続ける。
経営の持続性とは、トップの“人間的進化”にかかっていると言っても過言ではありません。
ゴールではなく“走り続ける姿”が信頼を生む
経営者の「生き様」こそ最大のメッセージ
経営者がどれだけ立派な理念を掲げても、社員が本気でついてくるのは「言葉」ではなく「姿勢」です。
経営者が日々どんな態度で働き、どんな想いで決断し、どんな姿で人と向き合っているか――その“生き様”が、最も説得力のあるメッセージになります。
私がこれまで出会ってきた尊敬する経営者たちは、決して派手な発信をしていません。
むしろ、どんな時も誠実に、淡々と“走り続けている”人たちでした。
困難な状況でも「逃げない」「人のせいにしない」「約束を守る」。
そんな背中を社員が見て、「自分もこの人のように生きたい」と感じる――その瞬間、組織が本当に一つになるのです。
ある老舗企業の社長がこんな言葉を私にくれました。
「経営とは、社員に何を言うかやなくて、どう生きてるかを見せることや。」
まさにその通りだと思います。経営者が“本気で生きている”姿は、言葉を超えて周囲の心を動かします。
経営者の生き様には、完璧である必要はありません。
むしろ、迷いながらも挑戦し続ける姿こそが、人を励まし、信頼を生むのです。
「走り続ける姿」――それが社員にとっての勇気であり、顧客にとっての安心であり、社会にとっての希望なのです。
マラソン経営が描く、未来への道筋
「経営はマラソン競走」――この言葉に込められた意味は、単なる“長期戦”ということではありません。
それは、走りながら整え、整えながら進むという“持続の哲学”を指しています。
経営者が日々の経営をマラソンのように捉えると、視界が変わります。
短期の数字だけでなく、10年、20年先の“走り方”を意識するようになる。
ペースを守り、体力を温存し、周りを見ながら、仲間と呼吸を合わせて走る――
そこには、「結果を急がず、過程を磨く」姿勢があります。
マラソン経営の本質は、**「持続可能な成長」と「人としての成熟」**を両立させることにあります。
企業が永く繁栄するためには、経営者自身が変化を恐れず、同時に“変わらない軸”を持ち続けることが必要です。
その軸とは、理念であり、志であり、「なぜこの事業をしているのか」という原点です。
走ることをやめない経営者には、共に走りたい仲間が集まります。
社員、顧客、地域社会――それぞれが「この会社と一緒に未来をつくりたい」と思うのです。
マラソン経営とは、ゴールに向かう競争ではなく、“ともに未来へ続く道”を描くこと。
その歩みが、次世代の経営者にとっての灯となり、
やがて「志をつなぐリレー」へと変わっていく。
経営とは、そうした“人の想い”を未来へつなぐ長いマラソンなのです。
