「迷っている時間」が最大の損失──リーダーが持つべき“速度の哲学”

経営者に必要なノウハウ

「迷っている時間」が最大の損失──リーダーが持つべき“速度の哲学”

2025年10月17日

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ふさぽ

後継者をホンマモンに育む、応援をしています。社長を19年経験してわかったこと。それは'トップ自らの人生'を豊かにすること…人との”ツナガリ”づくりを通して。その入り口として、口癖にこだわり、Xでは発信中。『口ぐせは生きグセ』人生観に裏うちされた、事業づくりがトクイ種目。 ホンマデッカァw

なぜ“迷い”がリーダーの最大の損失なのか?

決断の遅れが組織全体に与える影響

経営の現場では、リーダーの迷いが組織全体の停滞を招くことがあります。
一見、慎重な判断のように見えても、その一日、二日の遅れが、スタッフには三日、五日の迷いとして伝染していく。結果として、組織全体では一週間以上の遅れとなって現れるのです。

私自身、コンサルティングの現場で多くの経営者と向き合ってきましたが、「スピードの鈍化」は数字よりもまず“空気”に表れます。
社員が上司の顔色をうかがう、指示が出るまで動かない──こうした空気が蔓延すると、企業のエネルギーは一気に下がります。

経営とは、数字を動かす前に“人の心”を動かす営みです。
リーダーが迷えば、メンバーも迷う。反対に、リーダーが覚悟をもって決断すれば、組織は一斉に前を向きます。
そのスピードの差こそ、成果の差となって表れるのです。

「迷っている時間」が最大の損失とは、単なる効率の話ではありません。
それは、決める勇気を持てずにいる間に、信頼と熱量が目減りしていくという、人の心のロスでもあるのです。

「巧遅は拙速に如かず」が今こそ重要な理由

「巧遅は拙速に如かず」。
古くから伝わるこの言葉は、AIやDXが進む現代において、いっそう重みを増しています。

今の時代、情報の正確さや分析の緻密さは、AIが担ってくれるようになりました。
だからこそ、人間であるリーダーに求められるのは「速さ」──すなわち、決断のタイミングを逃さない感性と覚悟です。

実際、AIがどれだけ優れた提案をしても、それをいつ実行に移すかを決めるのは人間です。
そして、この「決めるまでの時間」こそが、成果の差を生み出す最大の要因なのです。

私の経験上、拙速に動いた決断は、後で修正が効きます。
しかし、迷って動けなかった決断には、修正する“機会”そのものが失われます。
経営の現場では、正しいかどうかよりも「早く動けるかどうか」が、信頼を生む鍵になるのです。

つまり「拙速」とは、雑に動くことではなく、目的を見失わずに、行動を先に置く”勇気の表れです。
完璧を待っているうちに、チャンスは過ぎ去る。
リーダーがすべきは、迷いながらも動くこと。
そして、動いた後に学び、修正し、また前に進むことです。

“速さ”とは、焦りではなく、覚悟のスピード
これが、AI時代を生き抜くリーダーに求められる新しい「速度の哲学」なのです。

AI時代におけるスピード経営の本質

情報量の爆発がもたらす“即断即行”の必要性

AI時代の経営環境は、まさに「情報の洪水」といっても過言ではありません。
市場の動向、顧客の声、SNSの評判、そして社内データ──あらゆる情報が、秒単位で更新されています。

かつては一週間かけて分析し、方向性を決めていたようなことが、今では数時間で判断を迫られる。
この変化の中で、リーダーが“即断即行”できるかどうかが、企業の成長スピードを左右します。

AIは「情報を処理する」ことは得意ですが、「決める」ことはできません。
つまり、AIが導き出した無数の選択肢から“どれを選ぶか”を決断するのがリーダーの仕事です。

私が出会ったある若手経営者は、AIを活用しながらも、最後は必ず自分の感性で即断していました。
彼の言葉が印象的でした。
「スピードが遅い経営は、チャンスを失うコストが大きすぎる」──まさにその通りです。

判断を先送りにするほど、情報は古くなり、熱量は下がり、競合に先を越される。
だからこそ、AI時代のスピード経営とは、早く決める力”よりも、“迷わず決める力”を磨くことだと言えるでしょう。

“即断即行”は、効率ではなく姿勢です。
リーダーがその姿勢を貫くことで、チーム全体の動きが変わり、結果としてスピード経営が文化として根づいていくのです。

精度よりも「スピード思考」が信頼を生む

経営の世界では、「正確であること」よりも「早く決めること」が信頼を生む場面があります。
一見、矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、実はこの“スピード思考”こそ、現代のリーダーに必要な資質です。

なぜなら、経営者やリーダーに寄せられる信頼は、結果」より先に「動いた姿勢」から生まれるからです。
社員や取引先は、完璧な答えよりも、「この人はすぐに動く」「方向を示してくれる」という安心感に心を預けます。

私はこれを行動の信頼と呼んでいます。
机上で熟考するより、まず一歩を踏み出すリーダーほど、周囲の信頼を得やすいのです。

もちろん、スピード重視にはリスクも伴います。
しかし、たとえ方向を誤っても、すぐに修正できる“余白の速さ”があれば、致命傷にはなりません。
むしろ、動かないことの方が、取り返しのつかないリスクとなるのです。

AIやデジタルが発達した今だからこそ、人間らしい判断のスピード感が、組織の生命線になります。
完璧な答えを探すより、まず「決めて、やって、直す」。
その繰り返しが、チームの信頼を強固にし、経営を前進させるのです。

スピードを阻む“完璧主義”という罠

判断を遅らせるリーダーの共通点

「もう少し情報を集めてから」「準備が整ってから動こう」──
そう考えるリーダーほど、実は“完璧主義”という名のブレーキを踏んでいることがあります。

私の経験上、判断が遅れるリーダーにはいくつかの共通点があります。
それは、**「失敗を恐れすぎる」「他人の評価を気にしすぎる」「全員の納得を待ちすぎる」**という三つの傾向です。

確かに、経営判断は軽率ではいけません。
しかし、リーダーが完璧を求めるあまり、決断を後回しにしてしまうと、組織全体が“待ちの空気”に包まれます。
その結果、現場の動きは鈍り、社員は「どうせまた決まらない」と諦めに近い気持ちを抱くようになります。

私が支援してきた中小企業でも、こうしたケースは少なくありません。
経営者が迷っている間に、ライバル企業が市場を先取りし、後から「もっと早く決めていれば…」と悔やむ声を何度も聞いてきました。

リーダーがスピードを持って決断するとは、勇気を持って“不完全なまま進む”ことでもあります。
すべての条件が整うことは、現実にはほとんどありません。
むしろ、決断して動きながら整えていく力こそが、真のリーダーシップなのです。

「正確さよりも確実さ」を求めすぎるリスク

経営者やリーダーの中には、「正確さ」を追求するあまり、結果として「確実さ」を失ってしまう人がいます。
それは、正しい決断”を目指すあまり、“動けるタイミング”を逃してしまうという paradox(逆説)です。

現場では、情報は常に変化し、状況も刻一刻と移り変わります。
つまり、今この瞬間に“正しかった答え”も、明日には“古い判断”になってしまう。
そのスピード感を読み違えると、経営の歯車は一気にズレていきます。

私が大切にしている言葉に、「経営とは生き物である」というものがあります。
生き物である以上、完全な静止は死を意味します。
だからこそ、多少のブレや修正を前提にしながらも、動き続けることが大切なのです。

「正確さ」に固執するリーダーは、変化への柔軟性を失いがちです。
そして、周囲のメンバーもまた「正解待ち」の姿勢になり、組織全体の呼吸が止まります。
それこそが“スピードの喪失”という、最も深刻なリスクです。

経営とは、正確であることより、確実に前進すること
100点の判断を目指すより、80点でも早く行動し、動きながら修正できるリーダーが、最終的には勝ち残ります。

リーダーが持つべき“速度の哲学”とは?

速さは「焦り」ではなく「覚悟」から生まれる

「速く動く」というと、慌ただしく焦っているように聞こえるかもしれません。
しかし、本当のスピードは“焦り”からではなく、“覚悟”から生まれます。

焦りとは、外に反応して動くこと。
覚悟とは、内に決めて動くこと。
この違いを理解することが、リーダーとしての質を大きく分けます。

経営の現場では、次々と課題が押し寄せ、判断の連続です。
その中で、リーダーが「迷い」を見せれば、チームは不安を感じます。
反対に、リーダーが覚悟をもって一歩を踏み出せば、たとえ状況が厳しくても、メンバーは安心してついてきます。

私自身、これまで数多くの経営者を見てきましたが、成功している方ほど決断が早い。
それは“焦って動く”のではなく、“決めてから動く”。
つまり、腹の底で「自分が責任を取る」と決めている人ほど、動きにブレがないのです。

スピードとは、単なる動作の速さではなく、心の在り方の速さ。
覚悟を決めた瞬間に、行動は加速し、結果はついてくる。
これこそが、私が考える「速度の哲学」です。

判断のスピードを高める3つの習慣

リーダーの「判断力」は、特別な才能ではなく、日々の習慣から磨かれていきます。
私はこれまで多くの経営者を支援する中で、判断のスピードが速いリーダーには、共通する“3つの習慣”があることに気づきました。


① 「即答」より「即決」を意識する

即答とは、相手に早く返すこと。
一方、即決とは、自分の中で腹をくくることです。
判断が速い人は、即答よりも即決を重んじます。
どんなに小さな案件でも、「決める癖」を日常の中で繰り返しているのです。


② 「完璧」ではなく「方向性」を決める

リーダーに求められるのは、最初から正解を出すことではありません。
むしろ、“どちらの方向に進むか”を明確に示すことです。
方向性さえ決まれば、組織は自ずと動き始めます。
スピード経営の原点は、方針を早く示す勇気にあります。


③ 「決めた後に考える」習慣を持つ

判断が遅れるリーダーほど、決める前に考えすぎます。
しかし、変化の早い時代においては、“動きながら考える”ほうが正確です。
私自身も若い頃、「考えてから動く」より「動いてから考える」ことで、チャンスをつかんできました。
経営とは、生きた現場でしか見えない真実に出会うプロセスなのです。


これらの習慣を日々の中で意識することで、リーダーの判断スピードは確実に高まります。
そして何より、速く決められる人ほど、信頼される人へと成長していきます。

スピードが組織文化を変える──行動するリーダーの背中

リーダーのテンポがチームのリズムを決める

組織のスピードは、リーダーのテンポで決まります。
どれほど優秀な人材が集まっていても、トップの動きが遅ければ、全体のリズムは鈍ります。
逆に、リーダーが軽やかに一歩を踏み出すだけで、チーム全体が前向きなエネルギーに包まれます。

私は研修やコンサルティングの現場で、よくスピードは伝染するとお伝えします。
リーダーが動けば、部下も動く。
その連鎖が生まれると、組織の空気が一変します。

たとえば、報連相のレスポンスが早い会社は、判断も行動も速い。
反対に、返信ひとつが遅れる会社ほど、決裁も現場も滞ります。
スピードとは単なる“早さ”ではなく、約束を守る誠実さと、相手への信頼の証なのです。

チームが停滞しているとき、まずリーダー自身のテンポを見直す。
それが、組織を変える第一歩です。
リーダーがリズムを刻めば、メンバーは自然とそのテンポに乗っていく。
やがてそれが、会社の文化として根づいていくのです。

「即断即行」が信頼を生むチームづくり

信頼のある組織」とは、実は“スピードのある組織”でもあります。
チームの信頼関係は、言葉や理屈よりも、行動の速さによって育まれるからです。

たとえば、上司が即断即行の姿勢を見せれば、部下も自然と動きが早くなります。
「すぐやる」「まずやる」「やりながら考える」──このサイクルが回り始めると、組織全体が“挑戦する空気”に変わっていきます。

私が関わってきた企業の中でも、成長しているチームほど、指示や報告のレスポンスが驚くほど速い。
そこには、「上司が必ず動いてくれる」という安心感がありました。
スピードは、単なる成果の指標ではなく、相手への信頼を形にする手段なのです。

リーダーが「やる」と言ったことをすぐ実行する──この当たり前の行動を積み重ねるだけで、
メンバーは「この人の言葉は信じられる」と確信します。
そしてその信頼が、再びスピードを生み出す。

信頼とスピードは、互いを高め合う関係にあります。
リーダーが率先して即断即行を体現することで、チーム全体が「動く組織」へと進化していくのです。

まとめ──迷う前に動けるリーダーへ

経営は“選択と決断”の連続

経営とは、日々の「選択と決断」の積み重ねです。
どんなに優れたビジョンを描いても、決めなければ進まない。
そして、決めるとは「迷いを断ち切る」ことでもあります。

リーダーが決断を先送りするほど、チャンスは遠のきます。
反対に、不完全でも一歩踏み出すリーダーほど、現場の信頼と成果を手にしています。

私がこれまで出会ってきた経営者の中で、成功している方に共通しているのは、決断の速さよりも“決断への覚悟”でした。
すべてをコントロールしようとせず、「やってみよう」「まず動こう」と、シンプルに決めて動く。
その潔さが、チームを導く力となるのです。

経営とは、挑戦の連続。
だからこそ、迷いながらも決め、決めながら進む
この姿勢を貫くリーダーこそが、時代を超えて信頼されるのだと、私は確信しています。

「拙速」からしか生まれない学びと成長

「巧遅は拙速に如かず」──この言葉が教えてくれるのは、**“動きながら学ぶ勇気”**です。
どんなに慎重に計画しても、実際に行動してみなければ、本当の課題も改善点も見えてきません。

拙速の中には、失敗もあります。
しかし、その失敗の中にこそ、次へのヒントが隠れている。
行動した人だけが得られる“経験という財産”こそ、経営者の最大の武器です。

私は、完璧なリーダーよりも、動きながら成長するリーダーに魅力を感じます。
その背中には、人を動かす“熱”があります。
社員は、リーダーの完璧さではなく、挑戦する姿勢に心を動かされるのです。

AIがいかに進化しても、最後に未来を切り拓くのは、人の決断と行動。
迷っている時間こそ、最大の損失です。
今こそ一歩を踏み出し、「速さは覚悟」だと、自らに言い聞かせてほしい。

“速度の哲学”とは、速く動く技術ではなく、動く勇気を持つ心の在り方なのです。

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