ドキッ
「そうじゃなくて」と
いきなり言われる
ビジネスの場面で
共感ではなく否定される
言われる立場だとわかる感覚
が、役職があがり権限が増えると
知らずしらず言ってるのかも
多くの経営者とやってきたのは
『もしかして』の口癖
相手を”オモンバカル”
本物のリーダーとして
まず一歩を
ドウッ— ふさぽ@経営者 (@future_support) September 9, 2025
経営者の言葉が持つ影響力とは?
部下のやる気を左右する“ひと言”
経営者やリーダーが日々口にする“ひと言”は、思っている以上に部下の心に大きな影響を与えます。肯定的な言葉をかけられたとき、部下は「自分の努力が認められている」と感じ、前向きに取り組むエネルギーが湧いてきます。逆に、たった一言の否定や無関心な態度は、瞬時にやる気を削ぎ、挑戦する意欲を失わせてしまうのです。
私自身もこれまで多くの経営者とご一緒してきましたが、「なぜうちの社員は自ら動かないのか」と悩む方の多くは、日常の声かけに無意識の“否定”が混じっているケースが少なくありません。「まだまだだな」「そうじゃない」といった一言が、部下にとっては努力を全否定されたように響いてしまうのです。
リーダーの役割は部下を導くことですが、その出発点はまず“やる気を引き出す”ことにあります。どんなに優れた戦略も、部下が心からやる気を持って行動しなければ成果にはつながりません。だからこそ、言葉の選び方が組織全体の活力を大きく左右すると言えるのです。
「否定の言葉」が生む組織の停滞
組織の中で「そうじゃない」「違うんだよ」といった否定の言葉が繰り返されると、部下は次第に自分の意見を出さなくなっていきます。否定されるくらいなら黙っていた方が安全だ、と学習してしまうからです。結果として会議では発言が減り、提案や工夫も生まれにくくなり、組織の成長は停滞してしまいます。
経営者にとっては、あくまで改善を促す意図での指摘かもしれません。しかし受け取る側は「自分の考えは間違っている」「どうせ認めてもらえない」と感じ、心理的な距離を置くようになります。これが積み重なれば、いわゆる“報連相”が滞り、現場で起きていることがリーダーに届かなくなる危険性さえあるのです。
私が出会ったある企業では、トップが常に「まだまだだな」と口にしていました。悪気はなく“成長してほしい”という思いからの言葉でしたが、部下にとっては「いつまで経っても認められない」と感じる原因となり、離職につながったケースがありました。
つまり、否定の言葉は“改善のための指導”に見えて、実は組織の意欲と活力を奪う大きな要因となるのです。
権限が増えるほど出やすい“否定の口癖”
「そうじゃなくて」が信頼を壊す理由
「そうじゃなくて」という言葉は、一見すると軽い修正のように聞こえます。しかし、部下からすると「自分の意見を否定された」「努力を認めてもらえなかった」と感じる強いメッセージになってしまうのです。特に真剣に考え、勇気を持って提案した場面でこの言葉を返されると、自尊心は大きく傷つきます。
経営者やリーダーが権限を持てば持つほど、その言葉の影響力は大きくなります。トップからの「そうじゃなくて」は、単なる方向修正ではなく「お前の考えは間違っている」と響き、信頼関係を壊す危険性さえあります。すると、部下は自分の考えを述べることを避け、やがては「言われたことだけをやる」受け身の姿勢に陥ってしまうのです。
リーダーに必要なのは、まず相手の意見を受け止める姿勢です。「なるほど、そう考えたんだね」「面白い視点だ」と一度受け入れることで、部下は安心感を得ます。そのうえで「もしこうしたらどうだろう?」と共に考える形にすれば、否定ではなく建設的な対話へとつながります。
「そうじゃなくて」というひと言を「そうなんだね、ただこういう見方もあるよ」に変えるだけで、信頼関係は守られ、組織の活力も大きく変わっていくのです。
無意識に否定を繰り返すリーダーの心理
リーダーが否定の言葉を口にしてしまう背景には、多くの場合「良かれと思っている」気持ちがあります。経験や知識が豊富になるほど、自分のやり方が最適解だと信じやすくなり、部下の提案に対して瞬時に修正を加えようとするのです。その結果、「違う」「そうじゃなくて」という言葉が自然に口から出てしまいます。
また、責任の重さも影響しています。経営者は成果に直結する判断を常に迫られますから、時間や労力を無駄にしたくないという焦りが、否定的な言葉を生み出す要因となるのです。部下の意見をじっくり聴くよりも、自分のやり方に早く修正した方が効率的だと感じてしまうわけです。
しかし、この“効率”の積み重ねが、結果的に組織の非効率を招きます。部下は考える力を失い、意見を言わなくなり、やがてはリーダーの指示待ちだけの組織になってしまうのです。
つまり、否定の言葉は「自分の経験を活かしたい」「責任を果たしたい」というリーダーの心理の裏返しでもあります。そのことに気づき、あえて口を閉じて部下の意見を聴く姿勢を取ることこそ、真のリーダーシップにつながるのです。
共感を生むリーダーの言葉遣い
「もしかして?」の口癖がもたらす効果
「そうじゃなくて」と否定から入る代わりに、「もしかして?」という言葉を口癖にしてみると、会話の空気は大きく変わります。相手の意見を即座に否定するのではなく、「そこに新しい視点があるかもしれない」と受け止める姿勢を示すからです。
「もしかして、こういう意図で考えたのかな?」
「もしかして、こういうやり方もある?」
こうした問いかけは、部下に「自分の意見を尊重してくれている」という安心感を与えます。そして、その先にある可能性を一緒に探ろうという前向きな対話を促すのです。結果として、部下は意欲的に考え、意見を述べやすくなり、組織全体に活気が生まれます。
私自身も、長年経営者と関わる中で「もしかして?」を自然に使うリーダーほど、人材が育ち、チームの結束が強いと実感してきました。相手を“おもんばかる”ひと言が、信頼と成長の土壌をつくるのです。
相手を“おもんばかる”姿勢の重要性
リーダーにとって大切なのは、ただ言葉を選ぶことだけではありません。その言葉の背景にある「相手を思いやる心構え」、すなわち“おもんばかる姿勢”です。表面的に柔らかい言葉を使っても、内心で「どうせ分かっていない」と見下していれば、必ず相手に伝わります。逆に、心から相手の立場に立って考えれば、多少言葉がぎこちなくても誠意は伝わるものです。
“おもんばかる”とは、単に優しさを示すことではなく、相手が何を考え、どのように受け止めるかを想像する力です。経営者やリーダーは、役職や権限を持つほどに相手の立場が見えにくくなりがちです。だからこそ意識的に「この言葉を言ったら相手はどう感じるだろう?」と想像する習慣を持つことが欠かせません。
この姿勢があるかどうかで、組織の雰囲気は大きく変わります。おもんばかるリーダーのもとでは、部下は安心して意見を出し合い、挑戦を恐れず行動できます。その積み重ねが、強い組織文化を形づくっていくのです。
経営者が身につけたい言葉の習慣
否定を避け、質問に置き換える工夫
否定的な言葉を避けるために有効なのが、「質問」に置き換える工夫です。例えば、部下の提案に対して「そうじゃなくて」と返すのではなく、「どうしてそう考えたの?」と尋ねてみる。これだけで会話の流れは否定から探求へと変わります。
質問には、相手の考えを掘り下げる効果があります。「その方法だとどんな結果が期待できる?」「もし違う角度から見たらどうなる?」といった問いは、部下に思考を深めさせ、主体性を引き出すきっかけになります。単に「ダメ」と切り捨てるのではなく、「一緒に考えてみよう」というスタンスを示すことができるのです。
さらに、質問を通じて相手の真意を理解できれば、誤解や食い違いも減ります。経営者にとっては、部下の意見の背後にある現場感覚や気づきを吸い上げるチャンスでもあります。質問に置き換える習慣を身につければ、否定をせずに指導や修正ができるようになり、組織全体の風通しも良くなるのです。
聞く力と共感力を鍛える実践法
経営者にとって「聞く力」は、単に黙って相手の話を受け止めることではありません。相手の言葉の背後にある想いや背景をくみ取る姿勢が求められます。そのうえで「なるほど、そう感じているのだね」と共感を示すことで、部下は安心し、信頼関係が深まっていきます。
実践法の一つは、相手の言葉を繰り返す「リフレクション」です。例えば「納期が不安なんです」と言われたら、「納期が不安なんだね」と返す。これだけで「自分の話を理解してくれている」と相手は感じます。
また、共感を形にするためには「感情に触れる言葉」を使うことが大切です。「大変だったね」「よく工夫したね」といった言葉は、相手の努力や気持ちを認めるメッセージになります。こうした小さな積み重ねが、組織の心理的安全性を高め、意見交換を活発にする土壌をつくるのです。
聞く力と共感力は一朝一夕で身につくものではありませんが、意識して習慣化すれば必ず磨かれていきます。その結果、リーダーとしての言葉も自然に温かみを帯び、組織の活力を引き出す原動力となるのです。
まとめ:本物のリーダーに必要な“おもんばかり”の姿勢
言葉が組織文化をつくる
経営者やリーダーの口癖は、知らず知らずのうちに組織文化を形づくります。トップがいつも「できる」「やってみよう」と前向きな言葉を発していれば、その姿勢は自然と社員に浸透し、挑戦を歓迎する文化が生まれます。反対に、「無理だ」「違う」といった否定の言葉が飛び交えば、慎重すぎる雰囲気や受け身の姿勢が当たり前になってしまうのです。
組織文化は一朝一夕で変わるものではありません。日々の会話や打ち合わせ、ちょっとした雑談など、あらゆる場面でリーダーがどんな言葉を選ぶかによって積み重なっていきます。だからこそ、経営者は「自分の言葉が未来の社風をつくっている」と自覚する必要があります。
言葉は空気をつくり、空気は行動を変え、行動がやがて組織文化を定着させます。その最初の一歩を踏み出せるのは、他ならぬリーダー自身なのです。
共感から信頼へ、信頼から成果へ
経営者が意識して共感の言葉を使うと、部下は「自分の想いを理解してもらえた」と感じます。そこに安心感が生まれ、信頼関係が築かれます。信頼は単なる人間関係の潤滑油ではなく、挑戦する勇気や自主性を引き出す源泉です。
そして信頼が深まることで、部下は主体的に動き出します。「やらされる仕事」から「自分がやりたい仕事」へと意識が変わり、組織全体の推進力となります。結果として、共感から信頼が生まれ、その信頼が成果へとつながっていくのです。
私がこれまでご一緒してきた経営者の中でも、成果を上げ続ける方は例外なく“おもんばかり”の姿勢を持っておられました。共感を大切にしながら人を育て、信頼を基盤に組織を前進させる。その繰り返しが、企業を持続的な成長へ導いているのです。
リーダーにとって、共感の言葉は単なる優しさではなく、組織を未来へと導く力強い経営資源だと言えるでしょう。