今まで何をやっていたのだ!
無我夢中で駆け抜けた20代
大学卒業後、アメリカ留学を終え、父の会社にそのまま入社。
20代のビジネス人生を、ただただ無我夢中で過ごしていました。
努力と実績が少しずつ認められ、気が付いた時には営業の全権を与えられる立場。
若輩ながら常務として日本はおろか海外を、寸暇を惜しんで飛び歩いていた時期でした。
今振り返るとお恥ずかしい限りですが、ニューヨ-クの空港でウオールストリートジャーナルを小脇に抱え、得意になっていた自分の姿が浮かんできます。
自分に酔い、自分におぼれていた時代だったように感じます。
そのような絶頂期から、坂道を転げ落ちるように事態が一転しました。
予期せぬ大病を患ったのです。ちょうど三十歳になったばかりのことでした。
大病を患って気付けた自分の弱さ
病院では、見るもの聞くものの全てがビジネスの価値観では推し量れない世界。
闘病生活を通じて自分の視点からしか、物事を見ていなかった自分をいやという程痛感しました。
「ちょっと待てよ、これでいいのか」
「今まで何をやっていたのだ!」
という言葉が一気にわき上がってきたのです。
気が付けば常に一歩下がり視点を変えて、ものごとをそして自分を、深く見つめようとする謙虚な私がそこに生まれていたのです。
ありのままでいい!等身大の自分!
こころの底から人生全体を客観的に振り返れた瞬間、若さ故に表面のかっこうだけを取り繕った「なんと薄っぺらな人生だったのか・・・」と気付いたのです。
それからものの見方・考え方に大きな変化が現れました。
背伸びをせずにありのままの『本心』を語るようになり、自らも『本物』を深く追求していくようになりました。
そこには「人は『本来』どうあるのがいいか」という原点を問い掛けている私がいました。
その頃から仕事上でも一過性のものではなく、真の顧客・人材・商品の基盤が育まれてきたように感じます。
今、あの三十歳の時に天からいただいた時間、メッセージ、気付きに深く感謝しています。
「人が大きく変わる時、必ず『ふっ』とした間(ま)がある」―――その大切な間を生み出すために、
- 一歩下がりより大きな視点から見つめる
- 知識や情報を吸収するだけでなく自分を深く見つめ直す
- 人生と仕事をリンクさせて見ることが大切である
ことを実感する素晴らしいご体験談であった。
(2020年3月26日リライト)※役職は当時のものです