人の想いこみを変えるのは、アドバイスではなく問い掛け!

事例体験から学びたい!

人の想いこみを変えるのは、アドバイスではなく問い掛け!

1.こんな出来事が!

先日実施した、社内勉強会の時のことだ。終了にあたって一人ひとりが感じたこと・学んだことを発表したが、あるスタッフの言葉がとても印象に残ったのである。そのスタッフがしみじみと語ったのは、「人の想い込みを変えるのは、実はアドバイスではなく問い掛けなのですね」というものだった。

この勉強会は、研修手法の一つであるアクションラーニングについて理解をさらに深めようと実施したものだ。これまでも研修会での問題解決手法には、実に様々なものがあった。講義スタイル・グループ討議・ケーススタディ・ゲーム・実習などが挙げられる。

私が今回このアクションラーニングという手法を取り上げ、勉強会の題材にしたのはある意図があったのである。その意図を、そのスタッフがものの見事に核心を突いて、学んだことの振り返りの中で話したてくれたことが、心に響いた

2. 私の想い

今回取り組んだこの手法は、6人で1つのチームになり、その中の1人が抱えている仕事上や個人的な問題解決を図るというものだ。馴染みのある手法との違いを見ていくと、その特徴が際立ってくる。

まずグループ討議と異なるのは、意見やアドバイスではなく相手への質問のみで進行するという点だ。質問での問題解決といえばコーチングを連想される方も多いのかもしれない。

そのコーチングと異なるのは、一対一で質問をするのではなく、チーム全員が相互に質問をし合い、組織で進めるという点である。そこから組織としての学習が始まり、組織としての進化が生み出されていくのだ。単なる問題解決だけに留まらず、リーダーシップ開発や組織開発が促進されるのもアクションラーニングの特徴である。

私は、この手法について、深めれば深める程、その素晴らしさが毎回実感として高まってくる。

3. 日々への影響

現在、日本でも導入が進められているが、まだまだ浸透していない感がする。アメリカでは、20世紀最高の経営者と謳(うた)われるジャックウエルチ氏が、GE社の人材育成で最も活用した手法である。また、ルイス・V・ガースナー氏も、この手法でIBMを蘇らせた話は有名である。

これだけ素晴らしい手法にも関わらず、日本でなかなか浸透していないのは何があるのだろうか。

この点を今回深く掘り下げる中で、日本人が知らず知らずのうちに身につけているあることに帰結する様に感じた。それは、「答えは一つである」という考えだ。 単一に近い民族や言語・人種である日本。欧米と異なり、同一性の高い文化(人と人は同じである)を備えてきたように想う。

それが欧米の文化を色濃く吸い上げた若者が、「ゆとり教育世代」としてビジネスの現場に続々と配属されてきている。従来の「上司の意見はたぶん部下も同じだろう」「異質や個性を出し過ぎず、上司の指示やアドバイスを素直に受け入れて欲しい」等々が、なかなか伝わりにくい風土になってきているのは間違いがないところだ。

言うなれば、上司の価値観や考えをアドバイスという見掛け上いい様に変えて、知らず知らずのうちに押し付ける「想い込み硬直型リーダー」では、やっていけなくなっているのが現実ではなかろうか。異質の考えや価値観をも踏まえて、前例が無くとも何が今回効果的なのかで決める「革新発想柔軟型リーダー」への転換が求められているように強く想うのである。

4.生活・志(仕)事の中での実践

今回、この十年来わが社でも数多く手掛けてきたアクションラーニングの研修手法を、改めて自社スタッフと見つめる中で、深い気付きを得ることができた様に感じる。

時代変化が激しい今、リーダーとして、「自分の当たり前が、部下の当たり前とは違う」「右利きの人が右手を使うのは当たり前だけど、右利きの人が右手をそのままに左手をも使う(アドバイスを活かしながらも、問い掛けることを実践する)ことが求められている」ということを強く感じるものであった。だからこそ、冒頭のスタッフの言葉が心に染みたのである。

人の想い込みを変えるのは、アドバイスではなく問い掛け!」を実感することはもちろんのこと、組織としての進化が生み出されるその瞬間を目の当たりにすることができた取り組みであった。

あなたご自身は何を感じ、何に取り組んでおられますか?

5.毎日の言葉

  • 「人の想い込みを変えるのは、アドバイスではなく問い掛け!が効果的」
  • 「相手への質問のみの取り組みで気付きを引き出す」
  • 「組織としての学習が始まり、組織としての進化が生み出される」
  • 「『答えは一つである』という考えからの脱却」
  • 「ゆとり教育世代への対応は、想い込み硬直型リーダー ⇨ 革新発想柔軟型リーダーへの転換が求められる」
  • 「自分の当たり前が、必ずしも部下の当たり前とは違う」

6.自分を見つめる問いかけ

  1. あなたは相手が気付き実践し、共に成長するには何が必要だと感じますか?
  2. あなたは周りの人に問い掛けること実践されておられますか?

(2019年8月5日リライト)

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