長時間かけて取り組んだ新人採用後、新人指導に想いや関心が向く
この時期に経営者や人事担当の方々と決まって交わす言葉がある。
それは
「今年の新人、その後いかがですか?」
というものだ。
4月に入社し研修期間を経て職場配属。
その後、5月、6月と歩んだ合計3ヶ月の試用期間を終え、少し落ち着いてきた頃である。
ある人事担当者は
「今年は例年に比べさらにいい人が採れ、職場でも張り切って前向きに取り組んでいる、という嬉しい反応が現場長から返ってきています」
またある経営者は
「上司に認められ徐々に馴染んできている状況です。個人差が大きいですね。頑張っている新人もいますが、残念ながら本人の意としていたものと我々の意向が異なり退職した人も一人出ました。色々と想いがあり、やはり残念です。が、早い段階での決着ということで本人にも良かったのではないでしょうか。当社も切り替えて次の手が打てます」
等という声。
──どの会社、どの経営者・担当者も、募集段階から実に永い期間、応募してくる学生と会社の未来を語り、交わってきておられる。
現状や結果はどうであれその根底に流れる熱い想いは皆共通しているのだ。
新人が挨拶しない、元気がない、やる気がない?
この様な中、一人の経営者の方と話をしていた時に、学生に対するあるチェックリストを見て、日頃の自分の至らなさを恥ずかしく感じるような場面があった。
このチェックリストのタイトルは、「だから学生は嫌われる20の理由」。慶應義塾大学の牧兼充先生が学生向けに作られたものである。
※文末参照。
私が感じ入ったのは、内容もさることながら、この一緒に話をしていた方が発した言葉であり、取られた態度だ。
この20項目を見て、学生ではなく私自身に当てはめたのです。
すると、社会人として何十年も仕事をしている私にも当てはまるものがたくさんありました。
学生がどうのこうの、ゆとり世代はどうのこうの、と言う前に自分達社会人がやることがある。
新人が挨拶しない、元気がない、やる気がない、仕事が遅いという前に、先輩上司がやることがある。
やはり今一度新人指導でなく自分指導をしないといけないと想い、これを活用しています
新人次第や相手次第ではなく、自分次第
この言葉であり、この行動を伺った時私は、何か頭をハンマーで打たれたような衝撃を感じた。
だから“学生”は嫌われるではなく
だから上司が“自分”は嫌われる。
新人次第や相手次第ではなく、自分次第。新人に矢印を向けるのではなく、上司自身に矢印を向ける。
新人の短所を指摘するのではなく、新人の長所を発見し肯定し褒める
頭では分かってはいるし、色々な人に伝えてきている。
しかし、この経営者の方を前にして、それをやり切っているか、やり尽くしているか、という自問には「NO(いいえ)!」という返答しか出来なかったのである。
新人を迎える組織のリーダーは、矢印を自分に向け相手基準を徹底
特に、20項目目の「失敗の理由を分析せず自分でなく外部の責任にする」という投げ掛けがこころにずっしりと響いた。
矢印を相手や環境に向けることは簡単である。
しかし、これを続けていても、自分の成長や自社の発展に結びつけることは当たり前だが出来ない。
組織のリーダーとして、自分を高め、磨き続けることは大切である。
しかし、
磨き方が自分基準になっていないだろうか?
やっているつもりになっていないだろうか?
その自問と気づきを今回いただけた様に感じる。
今からまた自らを、目の粗い強烈なヤスリの上に身を置き、再度自分に矢印を向け相手基準を徹底していくと、リ・スタートが切ることができたことに感謝したい。
あなたご自身は何を感じ、何に取り組んでおられますか?
リーダーのあなたへの言葉
- 「新人採用後、新人指導に想いや関心が向く」
- 「学生ではなく上司である自分自身に当てはめたーだから上司が“自分”は嫌われる」
- 「相手次第や環境次第ではなく、自分次第。新人に矢印を向けるのではなく、上司自身に矢印を向ける」
- 「自らを目の粗い強烈なヤスリの上に身を置き、相手基準で自分を磨く」
- 「リ・スタートを切ることが出来たことに感謝」
- あなたはゆとり教育世代の若者といかに関わっておられますか? あなたが「やっている“つもり”になっていないだろうか」、と思い当たることは何かありますか?
(2020年9月2日リライト)