業績が悪い会社・悪いリーダー5つの甘~い特徴【徳川家康の九十九里をもって半ばとせよの視点で】

事例体験から学びたい!

業績が悪い会社・悪いリーダー5つの甘~い特徴【徳川家康の九十九里をもって半ばとせよの視点で】

徳川家康の教えは、「百里の道を行く時は、九十九里をもって半ばとせよ!

二十一世紀の幕開けと共に毎月書き溜めてきたこのコラム(当時は機関紙)が、8年目九十九回を迎えた時のことだ。

長かった様で、とても短くも当時は感じていたようだ。

 

この節目を味わっていた時に、浮かんできたことの一つに、「百里の道を行く時は、九十九里をもって半ばとせよ!」という徳川家康の言葉があった。

 

天下を平定した家康は、そこに至るまでに幾つもの危機や苦難を乗り越える。

三方ヶ原(みかたがはら)の戦い・一言坂(ひとことざか)の戦い・本能寺の変(へん)直後の伊賀越え等々。

 

家康はその後、江戸時代という二百六十四年(1603〜1867)の永きに渡る天下泰平の世の礎を創ったリーダーでもある。

天下や地域を平定したリーダーは家康以外にも沢山いる。

家康の個性がひと際光り輝いているのは、長期安定政権を築いたことにある。

 

三日天下の明智光秀はもちろん、後世にその名を残した信長・秀吉や武田信玄・上杉謙信、また足利氏・平家・源氏であっても、安定や長期という意味では家康には遠く及ばない。

 

命からがら逃げ帰った経験をもつ家康だからこそ、詰めの甘さを戒め、最後までやり抜くことが大切だという教えがひしひしと伝わってくる。

そして、二百六十四年という歳月が彼の教えの真実を立証している様に感じるのである。

 

 

一つ目は業績の詰めが甘い、二つ目は行動の徹底が甘い

翻(ひるがえ)って、企業間の戦国時代を生き抜く経営者・幹部にとっても、この家康の言葉は重い。

まして、百年に一度と言われる未曾有の大不況とまで言われるリーマンショックも体験した今だからこそ、生きてくる言葉ではないだろうか!

 

家康であれば、今われわれ企業のリーダーに何を問いかけるだろうか?

何を戒めてくれるだろうか?

 

私のこころに浮かび上がったのは、まず次の二つである。

 

業績の詰めが甘い、「(たぶん)だろう」発言——
「わが社(部門)はたぶんいけるだろう」
「これまでもいけたのだから、たぶん今月も間違いないだろう」
「売上が横ばいでおさまっているから、たぶん利益もいけるだろう」
等が、まだまだ多いのではないのか。

 

行動の徹底が甘い、「つもり」発言——
「できているつもり」
「やっているつもり」
「わかって動いているつもり」

 

本物のリーダーとして安定を図れているのか!?

 

三つ目は自己コントロールが甘い、四つ目は総合力(利益)の視点が甘い

この家康の想いを通して、企業支援・リーダー支援の現場に立つと、さらに3つ目4つ目の甘いポイントが映し出されてくる。

 

事例として、先日訪問したある企業では、まず社会情勢や政治のこと等、自分達ののフィールド以外の話が延々と続く。

極めつけは、やれ景気が悪い、社会が悪いの一点張りだ。

さらに、業績管理の資料を拝見する段になると、ズバリ売上至上主義が幅をきかしていた。

利益重視は頭でわかっておられても、幹部とのやり取りは売上向上・新規開拓等々売上重視のことばかり。

 

例えれば、家計でも収入アップを主に考える人には、支出を減らすことには意外と無頓着なのと同じだ(過去には、莫大な売上をあげていた音楽プロヂューサーが、坂道を転げ落ち詐欺に手を染めるに至った事件もあった)。

 

このように、自分のコントロール外のことに時間を割くリーダー。

また売上や収入の視点でしか業績を見ていないリーダー。

これでは別角度からの対策が全く見えて来ない。

 

コストダウンや節約は、不況の今こそ追い風が吹いていること、今の時期は贅肉を剃り落とすビッグチャンスが到来していることに気付かぬままでは、とてもこの危機を乗り越えることは不可能である。

 

利は我の手にあり」「(売上でなく)粗利が第一ボタン」、原理原則に基づいて、今こそリーダー主導で進める体質革新のまたとないチャンスである。

 

売上(収入)向上というアプローチをいくら頑張っても、総合力を発揮して利益(残高)という詰めが甘くては永遠に豊かさを呼び込むことはできないのである。

 

 

③(業績に挑む)自己コントロールが甘い、「景気次第・環境次第でなく、自分次第」——

総合力(利益)の視点が甘い、「売上主義でなく、利益主義へ」——

 

 

 

五つ目は、先読みが甘い

 人生や事業には三つの坂があるとよく言われる。

 

上り坂の時もあれば下り坂の時もある。そしてもう1つは「まさかの坂」だ。

 

「こんなはずじゃなかった」という言葉は、自分に対する言い訳であり、まさかの坂を織り込んでいなかった経営者や組織のリーダーの怠慢だと感じる。

 

自分をさらに戒める意味合いで、

「(もしかして)かもしれない」という言葉をさらに増やすことが、詰めの甘さを解決する上で効果的だと強く感じる。

 

「もしかして業績が足りなくなるかもしれない」

「もしかして、できていないかもしれない」

「もしかして認識がずれていたかもしれない」

等々。

 

⑤(想定外も含んだ)先読みが甘い、「当月の業績管理でなく先行業績管理」——

 

今回、九十九という数字や、家康の言葉を深く噛み締める中で、詰めの大切さを実感として深めることができた様に想う。

その中でも特に、売り上げ(収入)ではなく安定利益(残高)が、安定組織の源であることを再確認する素晴らしい機会を得た。

 

あなたご自身は何を感じ、何に取り組んでおられますか?

甘さを払拭するリーダーのあなたへの言葉

  • 「百里の道を行く時は、九十九里をもって半ばとせよ!」
  • 「詰めの甘さを戒め、最後までやり抜く」
  • 「(たぶん)だろう発言⇒(もしかして)かもしれない発言へ」
  • 「利は我の手にあり・粗利が第一ボタン」
  • 「人生や事業には三つの坂あり—上り坂、下り坂、そして、まさかの坂」
  • 「安定利益(残高)が、安定組織の源」
水野秀則
水野秀則

  1. あなたの発言は、「だろう」と「かもしれない」どちらが多いでしょうか?
  2. あなたは家康から何を学んでおられますか?

(2020年12月20日リライト)

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