給料で相互の気持ちを満たすには
ある経営者の方と、この冬支給するボーナスの話になった。
自社の支給額や個人評価そのもの、一般的な支給水準等の話。
そして対話が進む中、そもそも
限られた原資でいかにインパクト(金銭的刺激)を共有することができるかが大切ではないか
というテーマに移っていった。
「人には物質的な満足と、精神的な満足がある。給料以外でどの様に刺激を与えることが出来るのか。」
「企業の存在価値を自らに問い、社会貢献を含め働き甲斐のある組織をいかに創るのか。」
「給与水準の大幅な上昇が見込めない今の時代とはいえ、給料やボーナスを手にできるという根底の喜びを、社員と分かち合っていけるのか。」
「幹部や上司が新入社員によく問い掛ける質問──『給料は誰からもらっているのか? 』の真の答えは何なのか」
“給料”というものの捉え方や考え方に個人差がある中、相互のこころを満たすためにどのような取り組みをしていけばいいのかと、話は尽きなかった。
あなたにとって給料とは?
この時、私はこの方に
「給料を○○○ 」という問い掛けをしてみては?
という提案をした。
この○○○にどの様な言葉が入るか、皆に投げ掛けて答えを出してもらうのはどうだろうか、
と打ち出したのである。
社長からは幹部に、組織の幹部やリーダーからは第一線のスタッフに。
併せてこの問い掛けをこれまで様々な場面で行った私自身の体験の中から、いくつかの事例もお話しした。
ある組織では幹部であっても、
“給料をもらう、給料を上げる・下げる、給料を引き出す、給料を渡す”等々といった答えしか出てこなかった。
別の会社においては新入社員でも、
“給料をつかむ、給料を A 、給料を B ”等という言葉が次々に、一人ひとりの口から自然と出てきたこともあった。
(※ここではあえて、これらの答えは伏せておきますので、ぜひ組織のメンバーと一緒に考えてみてください)
給料は使うもの?つかみとるもの?
この問い掛けは、給料というものに日頃からどの様に関わっているか、給料に対するその人のものの見方や考え方・捉え方、スタンス(立ち位置)が浮かびあがるものである、と実感している。
例えば、給料はもらうもの、給料は使うもの、給料は上がるもの、といった意識が強い方が、給料が減れば当然の如く違和感や愚痴を周りにこぼすだろう。
しかし、給料はつかむものという考えがある人は、給料が減った場合、それを増やす取り組みを始めるのではないだろうか。
自分自身に矢印を当て、自分に何ができるだろうか、何が不足しているだろうか、と。
もちろん経営者にとっては、(労働対価として)給料は支払うものであり、給料やボーナス(の原資)を確保する・調達するものであるといえるだろう。
今の時代は報酬はあらゆる角度から見る視点が必要
今回、ボーナスや給与というものの対話を通じて、身近なこの“報酬”というものが人によっては全く違うもの
──当然与えられるもの⇔自らが貢献することでつかむもの──
に映っていることを実感した。
日本では報酬やお金についての話題をもち出すことは、何か引っ掛かりがあるとする場面が多い様に想う。
だからこそ余計に、お金についてのものの見方が偏りがちで視野の狭いものになっているのかもしれない。
しかし、お金について、あらゆる角度から見る視点を今後とも養っていきたいと強く感じた今回の体験であった。
家計で言えば、お金を、貯める・節約する・増やす・投資する・使う・つくる等々という視点があり、
企業で言えば、売り上げを上げるだけでなく、コストダウンや資金調達、回収・運用、利益や剰余金の活用等をするといった方向性もある。
単に利益を追求するだけでなく、その社会的な活用(貢献)も含めて問われる時代になってきているのは間違いのないことだから。
あなたご自身は何を感じ、何に取り組んでおられますか?
毎日の言葉
- 「生涯賃金は大卒で2億9千万円」
- 「報酬というものが人によっては全く違うもの──当然与えられるもの⇔自らが貢献することでつかむもの」
- 「お金について、あらゆる角度から見る視点」
- “給料を○○○”、──あなたは○○○にどのような言葉を続けますか?
- あなたはお金と関わる際、どの側面からの見方が強いと感じられますか?
(2019年10月8日リライト)