1.過去の延長線上にある小手先の改善に終始をしない
ここ数年、世界的に動向が注目されていたアメリカ自動車大手三社(ビッグスリー)。
クライスラーに続き、GM(ゼネラルモーターズ)もついに破綻した。報じられたGMの負債総額は実に1,728億ドル(約16兆4千億円)という膨大なものだった。
77年間続いた販売台数世界一という冠(かんむり)に隠れ、消費者の嗜好や社会構造が変化する中、抜本的な革新が遅れたのは言うまでもない。過去の成功体験に縛られ、利益率がいいからというだけでコンパクトカーではない車種の生産計画を強気で推し進める。在庫の山を解消するために、短期間に金銭的なメリットだけを追及し強引な販売を続ける。巨額の年金や退職者医療に歯止めをかけず、債務を垂れ流す等々。
このように歴史と伝統の上にあぐらをかき、過去の延長線上にある小手先の改善に終始しただけに留まったGM。破綻の本質は、環境変化という外部にあったのではなく、変わることを本気で推進しなかった首脳陣をはじめとする内部の人為的なミス(驕り・高ぶり)に思えてならない。(事実、GMはこれまでも専門家や政府から、数々の再生提案が出されていたがそれを真正面から謙虚に受け入れることはしなかった)
2. 名言1「ただ一つ、生き残るのは、変化し続けたものだけである」ダーウィン進化論
今回のGMの破綻劇をじっくりと観察する中で、こころに湧き上がってきたのは進化論を唱えたダーウインが唱えたとされる有名な一節だ。「大きいものが生き残るのではない。強いものが生き残るのでもない。賢明なものがまた生き残るのでもない。ただ一つ、生き残るのは、変化し続けたものだけである」
ところが人は、変わることの大切さを頭では分かってはいるつもりだが、周りから見ると必ずしも行動面で実践されていないことが多いものだ。
この様な中から、「何があれば、自分は変わり続けていると、胸を張れるだろうか」という想いが膨らんできた。
3. 変わり続けるのに必要なもの
変わり続けるために必要なものは何か?──先ず、これまでの成功体験を手放すということだ。人はとかく過去に縛られがちになる。過去うまくいったからといって必ずしも未来にそれが通用するとは言えない。特に、「人は成功した(得意な)ことで、失敗をする」という言葉もある。ゼロ発想で一回一回、何が効果的かを見つめてみる。
二番目には、自分の習慣(口癖、態度・表情、思考・行動パターン等)がどのようなものかを感じることだ。癖やパターンはその人にとって、その人らしさを生み出しているものだが、当人にとっては見えづらいものかもしれない。だからこそ変わった時には、大きな違いを生み出すことができる様に想う。
そして前の二つにも増して実践的な三番目は、異なる世界や異なる価値観の人々との積極的な交流だ。自分が変えようと想っていていくらそれに取り組んでみても、所詮変えようとしているスタート地点が自分自身の内側にある。そのため、自分の想いほどに本質的な革新には意外と結びつかないことが多いのである。日本が黒船という外圧があってこそ劇的に変われた様に、内なる改善だけでは難しいのだ。そこに、人々との交流から自己を見つめ直し、価値観から大胆に革新を図っていくことの重要性がある。
革新の前提は、まさに価値観そのものといえる。
4.名言2「素直なこころで」経営の神様、松下幸之助氏の教え
経営の神様、松下幸之助氏が最も大切にした言葉の一つが、「素直なこころで」というものだ。したがって自我をもったままいくら変化に挑むと意気込んでみても、せいぜい小手先の改善だけしか図れないものだ。自我を消し素直に忠告・諫言に耳を傾ける姿勢で、そのまま相手を受け入れ丸呑みする中から革新が生まれるのではないだろうか。
人は過去の束縛や呪縛から解き放たれた時、人間的な交流の量と質が充実している時、初めて自然と変化・成果・進化が手にできるはずだ。
あなたご自身は何を感じ、何に取り組んでおられますか?
5.中小企業の経営者のあなたへの言葉
- 「生き残るのは、変し続けたものだけである」
- 「変わり続けるために──
① 成功体験を手放す
② 自分の習慣がどのようなものかを感じる
③ 異なる世界や異なる価値観の人々と積極的に交流する」 - 「素直なこころで」
- 「そのまま相手を受け入れ丸呑みする中から革新が生まれる」
- 「自由で人間的な交流の量と質を充実」
- 「変化・成果・進化」
6.中小企業の経営者のあなたへの問い掛け
- 周りからの忠告や諫言を、自らが変わることにどれだけ活かしていますか?
- あなたは変わり続けるために、何に取り組んでおられますか?
(2019年3月17日リライト)