病気が治らないのは、医師が病人に向かい合っていないから

健康経営

病気が治らないのは、医師が病人に向かい合っていないから

1.病気を治そうとする医師の言動からの気付き

「そこの紙の筒をくわえて!」と、その医師は部屋に入るなりせかすような口調で冷たく言い放った。私の八十日に及ぶ闘病生活の中での、呼吸器検査の一場面である。発病原因がわからず自分にあった最高の医療、最適の治療を自らが求めた病院で、その声は何ともむなしく私の耳に突き刺さったことか。

気が付くと肺の機能を計測する機械からは、ものも言わず自動的に長い管が手元まで伸びていた。その先端がダンボールでできており、その医師は私にその筒を早く口にくわえさせたかったようだ。

どれだけ無味乾燥な検査をすればすむのか!検査づけの不安な日々が続き、ましてや入院以来数十日経っても病名や発病原因が特定されず、ウンザリし始めていた私。そんなやるせなく迷いのある私のこころは、副担当とはいえ私とのこれまでの長い付き合いの中でも、この医師にはまったく映ってないようだった。私の両足はそのしびれで動きが鈍いこともあるが、こころの壁で緩慢さにさらに拍車がかかってしまっていた。これまでも、話しても受け止めてもらえていないもどかしさが常にあった。

しかし、どうしても良くしたい、元の体に戻りたい、という自分の素直な気持ちを今一度確認し、私はやっといつもらしさを取り戻すことができた。砂を噛んだ時の様な何とも味気ない触感の筒をくわえ、とても長く感じられたその時の検査も乗り切ることができた。

また、これと同じように患者の心を無視した行為は、大学付属病院の名のもとに、当然の権利のように行われていたことがあった。部長回診というのもそのひとつである。十数人の医師やインターン(実習生)の前で脚が動かないぶざまな格好をあたかも実験動物の様に否が応でも見せなくてはいけなかったのである。その度に、私の心は深く沈んでいった。病気を治そうとはしているが、目の前の病人に全く向き合っていない医師に寂しさを覚えた。

2.心を癒し真に病人を治せる医師は少ない

あまりにも人のこころへの配慮が欠けているのではないか?」という気持ちが日ごとに湧き上がって来た。前日に呼吸器の検査をすると聞いただけで、何も説明を聞いていない。この検査は何のためにするのか? 自分の今の症状とどう関わってくるのか?  検査で浮かび上がった結果をどう生かすのか?何もわからないままに、入院以来の様々な不安な気持ちが冒頭のぞんざいな言葉を投げつけられたことでピークに達していた。

インフォームドコンセント(説明と同意)という院内に張られたポスターの言葉が、私のこころにその時ほどむなしく響いたことはなかった。

何より一人ひとりが今置かれている不安や迷いに関心を示す訳でもなく、人間が淡々と機械の様に処理していく感じが何よりいたたまれない気持ちであった。指示しさえすれば患者は動く、といった態度に嫌悪感さえ抱いた。同一検査で何度も指示し繰り返し検査をしている立場からすれば当たり前のことなのかもしれない。が、初めて検査を受ける私の立場からは「人には感情があり、決してロボットではない!!」という気持ちが湧き上がった。

さらには、医療技術は確かに一流かもしれないが、メンタルケア三流の現状を感じ「単に病気だけを治せる医師はいるが、心を癒し真に病人を治せる医師は少ない」とその時つくづく思ったものである。

3.病気だけを見て病人を見ていない医師に触れ浮かんだ名言

こうした闘病生活を経験したからこそ、体調や健康を崩している時の気持ちや苦しみを痛いほど感じるようになったように思う。自分が体験し味わうことで、他人の気持ちをより身近に何事も感じることができるような気がし始めてきた。

実体験こそが自分に変化を創る」という名言が、心から浮かび納得できた。
こうして、相手はどんな気持ちでいるのか?どんな感情や心情でこの人は立ち止まっているのか?そんな相手のこころの揺れ動きにまで関心や理解を示し、相手のこころに添っていける人に自分はなりたいという想いが高まった。

そういう点で、この闘病生活は私の人生に大きな意味を持つものとなった。

4.ビジネスで病気を見ず病人を見るとは、相手への関心と理解

日常、人との関係でふと行き詰まった時、あなたはどうされますか? 「自分が相手なら」「自分がお客様の立場だったら」と視点を変えることで、新たに突破口を創ったことはないでしょうか。こちらが言いたい点でなく、相手がどういう気持ちになっているかという点にまず理解を示す。セールスポイントでなくバイイングポイントで営業トークを考える。書類を作成する視点ではなく、読み手の視点で再確認する等々。

このことは繰り返し繰り返し徹底することで始めて、周りからの信頼と協力を手にすることが出来るのではないだろうか。今回の体験や浮かんできた名言から、病気ではなく病人を見る大切さを学んだ。ビジネスでも相手との信頼関係を確かなものにするには、人の「心」への徹底した関心と理解が重要であると再確認できた

あなたご自身は何を感じ、どのように進めておられますか?

5.相手との信頼関係を確かなものにするあなたへの言葉

  • 「人には感情があり、決してロボットではない」「ただ単に病気だけを治せる医師はいるが、心を癒し真に病人を治せる医師は少ない」
  • 「実体験こそが自分に変化を創る」
  • 「自分が相手なら」
  • 「人の心への徹底した関心と理解が、相手との信頼関係を確かなものにする」

6.大切な人の気持ちを考えるあなたへの問い掛け

  1. 大切な人の気持ちが見えていますか?
  2. 大切な人に関心を示し理解をするために、何に取り組んでいますか?

(2019年4月9日リライト)

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