本は、著者の生き様を感じその教えを実行した時に付加価値が生れる

公開日: : 最終更新日:2013/11/14 事例体験から学びたい!

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(機関誌4号2001年4月)
真剣にアウトプットすることが、インプットしたものの理解と実行をより確実なものにする

1. こんな出来事が!

 これまでの私の人生を振り返ってみると、本を読むことが苦手な時期が長く続いていた。その当時本は読まなければいけないもの、勉強のために読むものという義務感にとらわれていたのかもしれない。それが高校1 年の読書課題で出会った1冊の本で、本への意識にちょっとした変化が芽生えたように思う。本は楽しいもの、読書は読みたいものを読むものへと変わっていったのである。こうして学生時代は読む量こそまだ少なかったが、苦手意識は徐々になくなっていった。とりわけ学生生活の最後の年に出会った田辺昇一著「心に革命を起こせ」では、それこそ自分の心に革命がおこり読書の面白さを実感するまでになっていた。そして社会人になってからは読書量も飛躍的に増えていった。

 そんな中で本と共に過ごす時間も多くなっていたが、もうひとつ物足りなさを感じ始めていたそんな時、幸か不幸か本を読むという意味では絶好の機会が訪れた。3ヶ月に及ぶ入院生活がそれである。昔読んだ本を今一度手にとってみて「多くの本を読んだけれど、はたしてどれだけ実践しているのだろうか」という想いが次第に高まってきた。

 そこで、入院中の読書では従来と少し異なる取り組みを試みてみた。今考えるとこれがその後、本を手にする時の意味合いを大きく変えたように思う。  それまでは要点には付箋をつけたり傍線を引いていたが、入院中はあり余る時間を利用してそれをさらに一歩進め、一冊のノートに「これは!!」という箇所を書き移すことにしてみた。何十冊もの本でこの書き移しを実行する中で、これまでとは全く異なるかたちで、著者がとても近い存在として私に迫り、ひと言ひと言を熱く語りかけてくれたように感じた。

 私の人生にとって、現実の師や友だけでなく、まだ会ったことのない著者が私の新しい師として登場することになったのである。それまでの私にとっての座右の書が、私の人生にとって本当に身近な親友のような、あるいは師のような存在に感じられるようになるまでそう日数はかからなかった。

2.私の想い

 本の要所要所を書き移す前の私は、「本は本、現実は現実」というようになにか切り離して考えていた傾向があったのかもしれない。当然の結果として、著者を身近に感ずることがなかったのも、そういうとらえ方に原因があったようにも思う。

 素晴らしい人に出会えばその方の教えをメモに書き移すことは誰もがすることである。著者の想いを書き移すことで、現実の人として、私の目の前に著者が現われてくることになったのはいうまでもない。

 こうして本というものが単なる文字や文章の連続としてではなく、著者の生き様や語りかけを感ずる場に変わっていった。本を読むことは、本を通じた一人の人間としての著者とのイキイキとした触れ合いであり交流であるという当たり前のことがわかったように思えたのである。

 「本は単なる書物ではなく、本は人間そのものである」と実感として私が受け止められるようになったことは、私の人生で大きな発見であった。

3.日々への影響

 「本は本」という世界から、書物が私の現実世界にも存在する身近なものになった。言うなれば、著者が私の目の前で熱く語り、それを私がノートにメモをし、「あなたに教えていただいた中でこのことを実行しますよ!」と著者に宣言しているような感覚であった。このことはまさしく、著者が私の現実世界に現われ見守ってもらっているような感じといってもよいと思う。

 これらの体験を通じて、「読書とは著者の生き様を感じ、その教えを実行するもの」「本は単に文章を読むものでなく、その心を感じて実行するもの」といった想いが固まっていった。そして何より本を読むことが友人と語り合うことのような楽しみでもあり、自然に私の生活の一部となったのである。このような経過を通じて、私は人生で本という豊かな友であり師を得たような気持ちに満ち溢れていた。

4.志(仕)事での実践

 本に書いてある言葉を真剣に書き移すというアウトプットを通じて、その内容がイキイキとして私の世界に現われる体験は大変貴重なものであった。本に書いてある情報を単なる情報として受身でとらえるだけでなく、噛みしめ再確認することで初めて真の理解につながり、確かな実行に結びつくのではないだろうかと強く感じている。「なるほど」と想った情報は、書いてみたり、周りの人に話してみる等自分なりにアウトプットしてみることだ。こうすることでそれまでの情報とは格段に違う密度の濃いものになるということもわかった。ある会社では社員が朝礼の場で、朝刊や読んだ本、人から聞いた話をもとに感じたことを発表している。これもアウトプットの好例であろう。情報を取り上げたその人とその内容が結びつき、人前で発表することで有言実行に力強く踏み出しているのである。

 このように自分が得た情報を自分なりの考えをもって話したその瞬間から、その情報は自分のものになるということも確認できる。

 「真剣にアウトプットすることがインプットしたものの理解と実行をより確実なものにする」  本をはじめとした様々な情報を数多くとることも大事である。が、そこから感じたことを徹底し、いかに実践できるかが何より大切であるとつくづく思う。単に本を読むことへの「苦手意識」の克服だけではなく、本を真に味わい徹底実行し自分のものにする。

 1冊の本を軽く読んだだけで、次々と渡り歩く「中途半端」からの脱皮こそが、読書だけに限らず人間の成長にとって決定的に重要なことであると改めて実感するところである。

5.毎日の言葉

  • 「本は楽しいもの、読書は読みたいものを読むもの」
  • 「多くの本を読んだけれど、はたしてどれだけ実践しているのだろうか」
  • 「本を読むことは、本を通じた一人の人間としての著者とのイキイキとした触れ合いであり交流である」
  • 「本は単なる書物ではなく、本は人間そのものである」
  • 「読書とは著者の生き様を感じ、その教えを実行するもの」
  • 「本は単に文章を読むものでなく、その心を感じて実行するもの」
  • 「真剣にアウトプットすることがインプットしたものの理解と実行をより確実なものにする」
  • 「中途半端からの脱皮こそが、人間の成長を決定づける」

6.自分を見つめる問い掛け

  1. 座右の書は何ですか?またその中で何を感じ何を実行しているでしょうか?
  2. 本で感じたことを実行し徹底するために、どのような工夫をされていますか?
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