人を強くするもの、それは自らの熱い想いとそれを支えてくれる人との絆である

公開日: : 最終更新日:2013/11/14 リーダーのこの一言が組織を変える!

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(機関誌30号2003年6月)
「夢は牛のお医者さん!」を16年間あたため続けた一人の少女に学ぶ

1.こんな出来事が!

 その日は、珍しく朝からテレビに釘付けになっていた。新潟の過疎地に住む一人の少女(高橋知美さん)が成人するまでの軌跡を追った、ドキュメンタリー番組「夢は牛のお医者さん!」である。

 この小学生が通う学校は全校生徒が9人。そこに4月入ってきたのは新入生ならぬ、まだ足もとがおぼつかない子供の牛だ。酪農家が多いこの地方では、小学校をあげて体験学習として、子牛をクラスメートや後輩のように慕い面倒を見る時間がもうけられている。

 それは単に牛のお世話をするという枠をはるかに超えた人間教育、情操教育というレベルのものである。短期間に大きくたくましく育つ牛。だが、育つということは、別れの時が来るということ。それを小学生ながら微妙に感じ取り、複雑な心境で、しかしあたたかく見守る日々が続く。

 やがて子牛の旅立ちの日が来た。牛との別れをあたかも卒業式のように見立て、お別れの言葉をおくる少女は涙で顔をぐしゃぐしゃにしながらも、牛との出来事を昨日のことのように一つひとつ丹念に振り返り、熱いメッセージを読み上げる。

 娘の牛への想いにこころを熱くした父親は、一人で面倒をみることを条件に、一頭の子牛を誕生日のプレゼントとして自宅にもらってきたのである。それからというもの、少女の情熱は新しい子牛に注がれ、酪農のプロである父親自身が舌を巻くほど、こころがこもり念の入った面倒見であったようだ。

 少女はこの時の触れ合いの中から、「夢は牛のお医者さん!」という想いを膨らませていく。やがて夢を実現するには相当の勉強が必要であることを感じ、猛勉強を自ら開始したのである。やがて県でも有数の進学校に進み、国立大学の獣医学部を目指した。15歳の少女が、高校入学と同時に親元から遠く離れ、3年間の下宿生活を決意する。しかも、自らの甘えを断ち切るために、まったくTVを見ない生活を自分自身に誓ったのである。大学受験が近づいたある日、この少女のことが地元の話題となった。あるテレビ局のインタビューで「(合格の)自信はありますか?」と聞いた時、彼女は「自信がないと受けません」ときっぱりと言い切ったのである。父親の「そんなに気を詰めず来年(浪人)のことも視野にいれたり、他の大学や学部も考えてみてはどうか・・・」という助言も断り、志望校を競争率13.5倍という超難関の県外の国立大学ただ一校に絞りこんだ。まさに高い志に裏づけされた背水の陣である。

 強気で臨んだ入学試験ではあったが、合否結果を待つ中で不安が少しずつ広がりかけていた。待ちに待った知らせが速達で届いたその瞬間、それを握りしめて「合格」の二文字に感極まって涙があふれ出た。仕事に出掛けていた父親へ少しでも早く知らせたいとその場で電話をかけた。そこには、独りではなく家族と一緒に合格を目指してきたという熱い想いが湧き上がっていた。

 最後の難関となる獣医師の国家資格も一回で見事クリア。その時も遠く離れた祖母・父・母と二人の妹がいる家族の元へ真っ先に電話で伝えている。

 こうして故郷の上越家畜診療所で、子供の頃からの夢であった牛のお医者さんとして、晴れてスタートする。これも父親をはじめ家族のおかげで実現したのである。
小学生からあたため続けた16年間の想い。それがいま、6人の家族に支えられ大きく花開いた感動の瞬間であった。

2.私の想い

 現在は、豊かで多様な価値観の時代になり、人が一つのことを想い一途に命を懸けることが少なくなったのかもしれない。

 家族の一人が追い続ける夢や将来こうなりたい!という想いを、他の家族がそのこころをしっかりと受け止め一丸となって応援をする。その応援がまた夢を追い続けている人に元気を与える。その元気をもらった人が、また他の家族に感動を与える。そんな素晴らしい家族の関係を今回テレビを通じてではあったが、目の当たりにした私は深い感動にひたることができた。

 この少女が愚直なまでに自分の想いを追い続けることができたのは、家族という支えてくれるかけがえのない人々との熱い絆があったのは間違いがないところだ。どんなに遠く離れていても、こころは家族の絆という素晴らしい糸で結ばれている。家族の絆が人を強くするということを改めて実感したすばらしい朝であった。

3.日々への影響

 最近、子供が描いた絵を見ても、家庭の風景がないという話を耳にすることが多い。そして、建築物としての「家」は確かに立派になったが、生活の場としての「家庭」は粗末になる一方だという声も聞く。

 家族の団欒を求め何とか立派な家をローンで手にしたが、逆にその支払いやそれを稼ぐための仕事に追われ本当の意味での家庭の風景がなくなる・・・。そんな笑えないような現実にわたしたちは、知らず知らずの中に追い込まれていることはないだろうか。

 今回のテレビ番組を通じて、私は本物の家庭の風景や、家族の絆ということに想いをはせる大変よい機会をいただき、感謝している。

4.生活・志事(仕事)の中での実践

 これまでも仕事を取るか? 家庭を取るか? という議論が交わされることを多くの場面で体験した。しかし、これは仕事か家庭かという二者択一のものではない。仕事と家庭が相乗効果で、らせん階段のようにどちらも豊かになっていく。それが本来の姿ではないだろうかとしみじみ想う。家庭の絆が豊かになり、仕事もうまく進む。仕事が進むことで、家庭の絆がさらに豊かになっていく

  「人を強くするもの、それは自らの熱い想いとそれを一つのこころで支えてくれる人との絆である」と、一人の少女の生き様から学ばせていただいた。

  あなたご自身は何を感じられ、どのように進めておられますか?

5.毎日の言葉

  • 「小学生の時の出来事が、その人の人生に知らず知らずの内に影響を与える」
  • 「夢を育み続けることができるすばらしさ、それを共有できる家族がいることの喜び」
  • 「自ら志をもってスタートを切り、自ら甘えを断ち切る姿勢」
  • 「何事も背水の陣で臨むことで集中力が増す」
  • 「家族の熱い絆が人を強くする」
  • 「人を強くするもの、それは自らの熱い想いとそれを一つのこころで支えてくれる人との絆である」
  • 「建築物としての「家」は確かに立派になったが、生活の場としての「家庭」は粗末」
  • 「家庭の絆が豊かになり、仕事もうまく進む。仕事がうまく進むことで、家庭の絆がさらに豊かになっていく」

6.自分を見つめる問い掛け

  1. あなたは家族との絆を考えた時、どのような自分だという風に感じておられますか?
  2. あなたは何をどのようにして、家族との絆を深めておられますか?
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