数値を忘れた理念は寝言、数値に関心を!

事例体験から学びたい!

数値を忘れた理念は寝言、数値に関心を!

こんな出来事が!

17年ぶりに上がることが決まった。

──そう、消費税だ。

平成9年4月に5%になったものが、平成26年4月に8%、令和元年10月には10%へそれぞれ引き上げらる。

「ヨーロッパをはじめとする諸外国は20%くらいだから」

「税と社会保障との一体改革だから」

「震災の復興財源が必要だから」等々。

色々と上げる理由は耳に入ってくる。

税収の視点から見ると、1%のアップで約2.5兆円がいとも簡単に入ってくる仕組みになる、という見方があるという。

色々な情報を取ったり、様々な立場の方々と意見交換をしていくと、消費税と言っても実に多面的な視点が見えてくる

例えば、ヨーロッパ諸国は消費税が20%前後の国が多いが、アジア圏は比較的低め(韓国10%、シンガポール7%、台湾5%等)。

さらに言えば、サウジアラビアをはじめとする中東の湾岸協力会議諸国等では0%なのである。

ただ、多くの国で食料品等生活に直結するものは、通常税率より低い軽減税率が適用されている(イギリスでは一般的な食料品は0%)等、税の掛け方は国や地域によって仕組みが多種多様だ。

さらに、違う側面から見ると、日本は世界第二位という主張もある。

それは、国税収入全体に占める消費税割合のランキングだ。

日本は現状の5%であっても、約40%。引き上げた場合、諸外国の比率を超え特異な体質が浮かび上がるのだ。

(ヨーロッパの国々ではこれが30%以下のところも多い。)

消費税も、視点を少し変えて数値を見つめると、その数の示す多面的な部分が見えてくるように感じた。

私の想い

ところでこの10月、年度の上半期が終わり下半期に入った。節目となる上期の業績動向や数値の変化はどうであっただろうか?(もちろん決算年度が異なる企業もあるが、直近6ヶ月の半期業績で考えて欲しい。)

一方、経済や暮らしの中では10月1日から様々なものが値上げされた。環境税の導入でガソリンが1リットルあたり0.25円アップ。北米干ばつの影響で大豆や穀物が高騰、食用油も1キロあたり10円以上上げられた。他、バター乳製品等々…身近なものばかりである。

我々を取り巻く環境や状況は日々刻々と変化し、それが様々な数値となって跳ね返ってきているのは間違いのないことだ。

しかし、消費税ひとつをとっても、身近なところで議論されることは少ない。我々の生活に直結することにも関わらず、意外と関心が薄いように感じるのは何があるからだろうか。

日々への影響

日々の研修会や講演、コンサルティングの中で、よくお伝えていることがある。

このことが、当月私自身もこころに広がって身に染みた。

それは、“組織にとって黒字社員に対比して、赤字社員が増えることは怖い。

しかし、さらに怖いのは自分が組織に、業績や成果で貢献しているかどうかがよくわかっていない“白字社員”が増えていることではないだろうか?”ということである。

当然この白字社員は、チーム全体の業績動向や、取り巻く経済環境や数値変化についても意識が希薄。

赤字か黒字かということすら知らない、また知ろうとしないのかもしれない(この機関紙第81号http://www.e-keieisya.com/column/kikou/?m=200709でも詳述)。

──あなたのまわりを見渡してみて欲しい。白字社員は潜んでいないだろうか?

ただ、彼らが組織で仮に増殖しているとするならば、それは白字社長・白字幹部の影響が伝播している部分が大きいのは否めないことかもしれない。

生活・志(仕)事の中での実践

この“数字に弱い、数値変化に関心が低い”症状を緩和するためには何が効き目につながるだろうか。
 

1)数字で表現する癖をつける。

例えば、暑い寒いだけでなく、24℃と数字表現を言葉に出してみる。他にも、参加人数が多かった→120人参加、体重が増えた→2.5kg増等々。(もちろん、情緒や感覚的におさえるアナログ思考と、この数値でおさえるデジタル思考のバランスを取ることも大切。)

2)結果だけでなくプロセスを数字で表現する

売り上げが3000万円増加という結果だけではなく、訪問件数が5%増(有効面談時間8%増、新商品Aの構成比10%増等)の要因(プロセス)で売り上げが3000万円増加。

3)定性目標だけでなく、定量目標を設定する。

「頑張る」「やります」発言に終始せず、「何の数値を」「いつまでに」「どの様な時間や頻度で」をさらに明確化する。

最後に、貧困にあえぐ農村や藩の財政を立て直した二宮尊徳の教えをご一緒にかみしめたい。彼が唱えた言葉が今、我々に熱く語りかけてくるのではないだろうか。

道徳(理念)無き経済(数値)は犯罪であり、経済(数値)なき道徳(理念・想い・単なる声掛け等)は寝言である”。

あなたご自身は何を感じ、何に取り組んでおられますか?

毎日の言葉

  • 「情報を取ったり、様々な立場の方と意見交換をしていくと、多面的に見えてくる」
  • 「取り巻く環境や状況は刻々と変化し、それが様々な数値となって跳ね返ってきている」
  • 「業績や成果で貢献しているかどうかがよくわかっていない“白字社員”が増えている」
  • 「数字で表現する癖、プロセスを数字で表現、定量目標を設定」
  • 「道徳無き経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言」
水野秀則
水野秀則

  1. 知らずしらずの内に白字社長、白字幹部、白字社員、に陥ってないだろうか?
  2. あなたであれば、数字に弱い、数値変化に意識が低い人に何を提案するだろうか?

(2019年7月16日リライト)

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