リーダーの健康に対する考えが、組織風土に充満する!

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リーダーの健康に対する考えが、組織風土に充満する!

あなたが所属する組織や、周りの人の喫煙率はどれ位でしょうか?

1.こんな出来事が!

マスコミにも公表された、大阪市の橋下市長が進めたある調査。賛否両論が出ている様だが、皆さんは何を感じられただろうか? 入れ墨やタトゥーそのものを否定しているのではなく、市民と接する時にはふさわしくないという考えですら、反対意見が出ることに私は驚きを隠せない。ある組織の当たり前が、別の組織の当たり前とはまったく違うということを痛切に感じた方も少なくないだろう。

この入れ墨の調査をしなければいけない組織が、意外と多いのか、やはり少ないのかはわからない。しかし、ある経営者と情報交換をする中で、「自身の組織で調査するならばこの調査だ」というものが浮かび上がってきた。
それは、今さらの感がある方もおられるだろうが“喫煙率”である。仕事柄私は、公共機関・民間企業を問わず様々な組織の方と触れ合う機会が多い。そこで如実に感じるのは煙草というものに対しての、組織としての考え方の違いだ。吸わないことが当たり前の組織もあるし、吸うことが当たり前ではないにしても、煙草を吸う方が多い組織もある。

2.私の想い

話を進める中で、私のこころにある企業が浮かび上がった。体脂肪計で目覚しい成長を遂げた企業、タニタだ。同社は最初から体重計、体脂肪計の専業メーカーであった訳ではない。そこに至る前までは、様々な事業を展開していたという。が、今は『健康を計る』というコンセプトを前面に打ち出し、推進する事業、撤退する事業を明確にした。

核となるものを絞り込むというリーダーの大きな決断があり、その成果が現在なのである。最近では実際の社員食堂の献立をまとめたレシピ本が482万部売れ、印象に残っている方も多いのではないだろうか。

このタニタでは、やはり喫煙率が全社をあげ低い、と社員の方から聞く。紺屋の白袴(しろばかま)、医者の不養生では、誰もが効果的でないことは知っている。しかしこのことを十分に知りつつも、また健康や食、安全に関する商品やサービスを仕事で扱いつつも、喫煙率が高い企業が存在することもまた事実かもしれない。

3.日々への影響

タニタだけでなく、健康・禁煙に真正面から組織をあげて取り組んでいる企業はたくさんある。例えば、機密文書の管理をしている国内最大手の株式会社ワンビシアーカイブズは火気取り扱いと社員健康増進の観点等から集配車内、事業所内の完全禁煙を実施。社員だけでなく訪問者も禁煙が求められているという。星野リゾートは喫煙者の採用はしていないし(※1)、京都にある中野製薬株式会社でも全従業員が非喫煙者(※2)。またトリンプ・インターナショナル・ジャパン株式会社が禁煙奨励金制度等により喫煙者をゼロにした活動はよく知られているかもしれない。大きな企業だけでなく、地方の企業でも報奨金や助成金を出したりして積極的に展開しているところも増えている(※3)。そしてその活動の全てはリーダーの気持ちと行動から生まれ、組織全体に広がっているのだ。

別の視点でいうと日々の清掃や整理・整頓で企業体質のベースを創り、規律ある風土が定着したことによって業績が変わった企業が少なくない。同じ様に、組織全体に禁煙を推奨することは、意識革新を促すだけでなく、業務で成果をあげる社員や風土も生み出すだろう。また、突然の病(やまい)発症(※4)からの戦線離脱を予防する等といった危機管理(リスク軽減)の一つとしても注目していかなくてはならない。特に年齢を重ね熟成してきた幹部陣の休職・戦線離脱は組織にとって大きな損失となるのだから・・・。

“健康”の促進活動が安定業績基盤づくりの礎としてますます大切になってきていることは間違いがないだろう。

(※1)同社のHPで採用情報を見ようとすると最初に「あなたはタバコを吸いますか?」と前提の質問がある。
(※2)同社は92年から段階的に禁煙に取り組み07年に100%達成。現在社員280人全員が非喫煙者。
(※3)青森の社員17名の株式会社ジェイホームズは禁煙を宣告した時点で5万円の奨励金を出す、等という例がある。
(※4)喫煙は脳梗塞・クモ膜下出血等の危険因子の一つ。1日平均40本のたばこを吸う人は、吸わない人に比べて4倍も脳卒中で死亡しやすいという(厚生労働省HP「脳卒中の予防法より」)。

4.生活・志(仕)事の中での実践

組織はリーダーの影、である。健康管理は本来であれば自己管理の分野かもしれない。ただ、組織の永続繁栄に関わることであれば、リーダーがいい意味で積極的に介入していくこともそろそろ必要になってきている様に想う。
折しも5月31日は世界禁煙デー、31日~6月6日は禁煙週間である。社員を想う気持ち、スタッフの幸せを願う気持ちが“本気”であれば、健康についても職場で“本音”で語り合う場面があってもいいのではないだろうか。 あなたご自身は何を感じ、何に取り組んでおられますか?

5.毎日の言葉

  • 「組織の当たり前が、別の組織の当たり前とはまったく違う」
  • 「コンセプトを明確にし、推進する事業、撤退する事業を絞り込む」
  • 「突然の休職・戦線離脱等を予防する」
  • 「願う気持ちが“本気”であれば、“本音”で語り合う」

6.自分を見つめる問いかけ

  1. あなたが所属する組織や、周りの人の喫煙率はどれ位でしょうか?
  2. あなたが健康管理で、最近自らが進め、周りにも薦めていることは何でしょうか?

参考資料:「現在習慣的に喫煙している者の割合の年次推移」(20歳以上) (平成15年~22年)
出典:「国民健康・栄養調査」 厚生労働省よりhttp://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000020qbb-att/2r98520000021c19.pdf

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